臨床研修ブログ

水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
医師の生涯のうち最も実りある初期臨床研修期間を私たちは強力にサポートします。

P(リン)のお話・2

2019.02.02

今回は高P血症についてです。

ほとんどは低Ca血症に伴うもの

と言われていますが、高P血症の

原因としては

 

①腎臓からの排泄低下

②腸管からの吸収亢進

③細胞内からの移行

④偽性高P血症

に分けることができます。

 

①腎臓からの排泄低下

 腎機能低下

 副甲状腺機能低下症

 偽性副甲状腺機能低下症

 末端肥大症

 ビスホスホネート製剤

 

②腸管からの吸収亢進

 経口摂取の増加

 ビタミンD過剰

 

③細胞内からの移行

 二次性副甲状腺機能亢進症

 呼吸性アシドーシス

 腫瘍崩壊症候群

 

④偽性高P血症

 高γ―グロブリン血症

 高ビリルビン血症

 脂質異常症

 溶血

 

以上のような鑑別が挙げられます。

副甲状腺機能低下症と二次性

副甲状腺機能亢進症があるので

混乱があると思いますが、

副甲状腺機能低下症の場合には

腎臓からのP排泄にかかわるPTHが

不足するため高P血症となります。

 

一方、二次性副甲状腺機能亢進症

の場合には腎機能が廃絶している

ためPが排泄されず、PTHの作用

により骨からPが遊離するために

起こります。

 

臨床でよく見かける内服薬として

ビスホスホネート製剤もありますが、

こちらは近位尿細管からのP吸収を

増大させる作用があるため起こります。

 

治療としては食事からのP制限と

P吸着薬が基本となります。

 

食事のP制限に関しては乳製品や

たんぱく質を多く含むものの制限が

必要になることが多く、いつも

栄養士さんが良く指導をしてくれます。

 

おなじ肉でも鶏肉のほうが牛肉より

Pの含有率が低いなど食材の工夫も

必要になります。

 

P吸着薬に関してはいくつか種類が

あり、Ca系、Fe系、ポリマー系、Rn系

などがあります。透析をしているか

どうか、Caやi-PTHなどのホルモンも

含めて個々の患者さんに合わせて

どの薬剤を選択するのかを検討する

必要があります。

 

またP低下作用の強さや副作用なども

それぞれ違いますし、内服のしやすさ

なども検討する必要があります。

 

次回は低P血症について紹介します。

 (腎臓内科のベイマックス)

 

病棟での一コマ

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

◆第19回水戸医学生セミナー 

~内科と救急のエッセンスを体験しよう~

 

平成31年3月2日(土) 、3日(日) 

2日間で開催します。

 

多発外傷患者が搬送されて来た時、

初めに何をしますか?

 

もし多数傷病者が発生する多重事故や

災害が発生した時、あなたが最初に

するべきことは何ですか?

 

大学では教えてくれない現場での対応を、

この「究極の体験型セミナー」で

身に付けてください!

 

現在参加者募集中です。

定員まで若干名の空きがあります。

お急ぎお申し込み下さい!!

 

開催概要はこちらから

http://www.mito-saisei.jp/resident/mitoigakuseiseminar19.html

 

 

◆病院見学や、ご質問・お問い合わせは

こちらからご連絡ください。

http://www.mito-saisei.jp/resident/contact.html 

 

◆感想やコメントは

Facebookページからお願いします!

https://www.facebook.com/mitosaiseikai/

—–