臨床研修ブログ

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肺炎患者の対応 その8

2019.09.17
カテゴリー: カンファレンス 内科

今回もNHCAPの続きで。

誤嚥のリスクについてです。

 

誤嚥と言うと、「誤嚥性肺炎」と

ほぼ同義に用いられているのが、

実情だと思います。あなたも、

聞いたり、使ったことがあると

思います。

 

では、誤嚥性肺炎の定義が

どうなっているのか

あなたは知っていますか?

 

実は誤嚥性肺炎の明確な定義は

ないのですが、一般的には、

「ADLや全身機能の低下、特に

脳血管障害を有する場合に認め

られやすい嚥下機能障害を背景に

起きる肺炎で、高齢者の食事摂取に

関連して発症する」

と理解されています。

 

実際のところNHCAPの患者さんは、

高齢でADLの低下を来しており、

脳血管疾患の既往も多いなど、

誤嚥性肺炎とかなりオーバーラップ

しているというのは、あなたも

直感的に理解できると思います。

 

HAPでも、免疫能が低下した

耐性菌リスクの高い肺炎と、

脳血管障害を背景とする誤嚥が

関与する肺炎との二面性を

併せ持っているのも理解できます。

 

実際、誤嚥のリスクが多いほど

急性期や慢性期の死亡率、

さらに再入院率の上昇に関連しており、

そのリスク因子を考慮することで

急性期死亡率を低下させる可能性が

あります。

 

そこで、NHCAPでもHAPでも、

最初に患者背景のアセスメントで

誤嚥のリスク評価をしましょうと、

ガイドラインで推奨しています。 

ただし、ここで注意点があります。

誤嚥性肺炎の明確な定義はないと

先述しましたが、誤嚥のリスクが

多いから、誤嚥性肺炎を起こす

という訳ではありません。

 

つまり、

誤嚥のリスクが多い≠誤嚥性肺炎

ということです。

 

編集長も、ガイドラインなどの文献を

読みながら、モヤモヤが解消されま

せんでした。なので、このブログでも

今まで記事にできずにいたのです。

 

でも、高齢者の肺炎だから抗菌薬は

ABPC/SBTと、何も考えずに機械的に

選択するのではなく、患者さんの

状態をよく把握して、「どこで?何が?」

考えながら治療にあたることが

大事だと思います。

 

*このシリーズは今回で終了します。

(編集長)

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