臨床研修ブログ

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ERでSTMIに遭遇した時の対処法②

2024.10.17
カテゴリー: カンファレンス循環器

ERでSTEMI患者さんに遭遇した時の対応を紹介しています。

 

前回は、

①患者の到着前に少ない情報から鑑別疾患を考えておく。過去のカルテがあるなら目を通しておく。

②患者が到着したら、まず患者さんを見て第一印象で全身状態の把握をする。

③バイタルサインの確認と共有。

ここまでを紹介しました。今回はその続きで心電図からです。

 

バイタルサインの確認と共有をすると同時に心電図の確認をしていきます。ガイドラインでは「問診・身体所見・心電図をERに到着してから10分以内に評価」と記載されています。実際のERではそれほど慌てる必要はありませんが、常に時間を意識してスピーディな対応をしましょう。心電図をとるのに前後してモニターの装着も必須ですね。

 

そして点滴ラインの確保もほぼ同時に行いましょう。入院時採血のオーダーも忘れてはいけませんね。

 

他に、点滴のメニューやラインの長さ、三活の位置など細かいルールを決めている施設も多いと思います。スピードアップのために大事なので、その施設のルールを良く把握しておくことが重要ですが、なぜそうしているのか?を理解しておきましょう。いざという時に応用が利きます。

 

例えば当院では、点滴ラインを長くしておかないとPCI中にカテ台を動かす時に点滴台が倒れてしまうからとか、三活の位置を患者に近いところでつけておかないと側管から投与した薬がなかなか体内に入らず効きが遅くなるとかの理由でルールを決めています。もちろんこういったものには、たまにホントかどうか疑問なものもありますが、そうなった経緯や理由は知っておいて良いと思います。

 

心電図で明らかにST上昇を認めればSTEMIとしてPCIを行います。ST上昇がどの誘導で見られるかで前壁梗塞なのか下壁梗塞なのかを推定します。これによってPCIの時に必要なもの、例えば前壁梗塞なら「IABPが必要になるかも」とか下壁梗塞なら「徐脈になる可能性が高いから一緒に一時ペーシングも入れた方がよさそうだな」と想像します。

 

もし、PCIが出来ない施設であれば、できる施設へ速やかに搬送することを考えます。状況によっては血栓溶解療法を選択する場合がありますが、日本では圧倒的にPCIが選択されます。

 

PCIについては各施設のルールがあればそれに従いましょう。例えば橈骨動脈(手首)からなのか、ソケイからのアプローチなのかとか、フォーレを必ず入れるとか、使用する薬剤(ヘパリンなど)を決めているなどです。

 

またSTEMIでは抗血小板薬は必須の薬剤です。PCIでステントを入れることを考えるとアスピリン(バイアスピリンやバファリン)に加えてプラスグレル(エフィエント®)やクロピドグレル(プラビックス®)が必須薬です。ですからSTEMIと診断されたらERで速やかに内服してもらうことが必要です。

 

ちなみにアスピリンは口の中で噛み砕いて服用すると30分程度で抗血小板作用が出てきます。プラスグレルには20㎎錠と3.75㎎錠の2つの規格があります。高用量(20㎎錠)だと、効果発現まで2~4時間と速いので、PCIをやる施設ではこちらを使用することが多いと思います。プラスグレルがなければクロピドグレルを用いますが、通常量の1錠(75mg)を服用しても効果発現に2~3日かかりますが、最初に高用量(4錠、300mg)を服用すると約6時間後には効果が出てくると言われています。

(編集長)

救急車を待つER

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