臨床研修ブログ
水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
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HIVで知っておくべきこと(1)・・・松永先生レクチャーより
32歳男性が咳と呼吸困難感で受診しました。
2週間前から乾性咳嗽を自覚。徐々に増悪し、特に労作時に増悪する呼吸困難となりました。屋内外で症状の変化なし。既往歴は花粉症。家族歴に特記なく、内服薬もなし。喫煙は20本/日 x 15年。機会飲酒程度。
身体所見では体温 37.8 ℃, 血圧 124/65 mmHg, 脈拍 76/min,呼吸数 18/min, SpO2 95% (RA)
肺:呼吸音清で、他に特記所見はありませんでした。
胸部レントゲンで異常を指摘され、CTを撮影したところ下のようなすりガラス陰影を認めて、ニューモシスチス肺炎(PcP)と診断されました。
PcPは徐々に進行する乾性咳嗽・呼吸困難で、安静時で問題なくても、歩行させてみて初めて、呼吸困難がはっきりすることもあるので安心できません。LDH高値、β-Dグルカン高値や胸部レントゲンでは間質影が典型的ですが、正常のこともあります。
PcPはステロイドを長期服用している患者さんでは発症することがあり、多くの患者さんでPcP予防のためにST合剤を処方されているのは、あなたも見たことがあるかもしれません
でも、30歳台でステロイドも服用していないのにPcPを発症するのでしょうか?
こんな時はPcPと診断して安心せずに、背景に何かあると疑うこと、特にHIVの存在を疑うことが重要です。実際のところPcPはCD4 <200になると発症するAIDSの指標疾患の一つになっています。
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先日のことですが、今年4回目となる松永先生の感染症レクチャーが開催されました。今回のテーマは「HIV」でした。
正直なところ当院でHIVに遭遇することは非常に稀です。そのためにHIV治療の進歩についていけていないところがあります。つまり我々が間違った理解していて、それに気づけていない危険があります。その結果、患者さんに遭遇した時にやってはいけないことをしてしまうかもしれません。そういう点で松永先生のレクチャーは重要でした。
冒頭の症例のように、経過に違和感を感じてHIVも鑑別に挙げることは我々にとって大事なことです。そこで今回の松永先生のレクチャーではHIVに関して非専門家が知っておくべきことをまとめていただきました。次回もそのエッセンスを紹介していきます
(編集長)
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