臨床研修ブログ

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今年度最終・松永先生の感染症レクチャー報告

2025.03.20

先週のことですが、水戸済生会の定番となっている帝京大学感染制御部の松永先生の感染症レクチャーを開催しました。

 

今年度の最終回でしたが、タイトルは「人工物・デバイス感染」でした。まず、「人工物・デバイス感染」というと、あなたは何を思い浮かべますか?

 

末梢の点滴ラインやCVカテ、尿道カテは日常臨床でも感染源になるのは何度も経験すみだと思いますが、他にも主なものだけでも以下のようなものがあります。

 

<心血管系>

人工弁、ペースメーカー、植え込み型除細動器、中心静脈カテーテル、人工血管、補助人工心臓、CVポート、両心室ペーシング付植え込み型除細動器、末梢静脈カテーテル

 

<中枢神経系>

脳室―腹腔シャント(VPシャント)、脳深部刺激装置、腰椎-腹腔シャント(LPシャント)、脳室ドレーン

 

<腎・泌尿器系>

腹膜透析カテーテル、血液透析カテーテル、尿道留置カテーテル

 

眼科領域>
眼内レンズ、人工硝子体

 

<整形外科領域>

人工関節、骨折固定デバイス、脊椎固定装置

 

<耳鼻科領域>

人工内耳

 

<口腔外科領域>

義歯

 

<形成外科領域>

ブレストインプラント、鼻インプラント

 

あなたはいくつ挙げることができたでしょうか?この他にも各領域で新しいデバイスが開発されて、植え込みが行われていますが、本人からの病歴聴取やカルテから植え込まれたデバイスを把握しておくことがとても重要です。

 

 

そして人工物・デバイス感染症にも型があり、松永先生は最初から最後まで繰り返していたので、ぜひあなたも覚えておいてください。

 

人工物・デバイス感染症の型とは、

・疑うことが大事

・抜くのが基本

・静注抗菌薬での治療

 

デバイス感染では発赤や膿瘍形成がなくとも感染源ということが多々あります。なので、体内にある人工物やデバイスを把握して、疑っていくことが大事です。当然画像検査も必要になります。

 

そして人工物を取り除くのが大原則。でも、人工血管など取り除くことができない状況も出てきますが、その際はゴールをどうするかについて院内のチーム内で協議する必要があります。

 

最後に、十分な抗菌薬が到達する必要があるので経口抗菌薬では不十分で、静注抗菌薬が基本となります。それでも人工物の表面にバイオフィルムが形成されて抗菌薬活性が低下しますので、人工物をすべて取り除く必要があるのです。

 

 

さて、2年間で計10回もご指導いただいたJ2のみんなも、これから初期研修を終えてそれぞれの専門に進みますが、どの診療科に進んだとしても感染症と縁を切ることはできません。

 

松永先生のカンファで繰り返された

    「どこで? 何が?」・・・診断の軸

    「物理的・化学的」・・・治療の2つの軸 

    「抗菌薬は2度選ぶ」 

    「全身のパラメータと局所のパラメータ」・・・経過観察の2つの軸

 

これらを忘れることなく、それぞれの領域で診療にあたってほしいと思います。

(編集長)

 

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