臨床研修ブログ

水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
医師の生涯のうち最も実りある初期臨床研修期間を私たちは強力にサポートします。

いつまで続ける?  投与期間の決定

2019.07.06

来週7月9日の開催予定の

松永先生の感染症カンファの前に、

「感染症診療の流れ」における

6つのポイントを紹介しています。

 

今回は最後に残った

「投与期間の決定」についてです。

 

例えば、あなたが蜂窩織炎の患者

さんを担当したとします。血液培養で

黄色ブドウ球菌(MSSA)が検出され

ました。第1世代セフェムのセファゾリン

(CEZ)の投与で順調に改善しています。

患者さんも元気になってきて

「いつ退院できますか?」とか

「点滴はいつまでやるの?」と

聞いてきました。

 

こんな時、あなたは何と答えますか?

 

結論から言うと、投与期間の判断は、

「各疾患の一般的な目安+個々の

患者の状態」

で決めることになります。

 

血液培養でMSSAが検出されて

いれば、抗菌薬の10~14日間投与

を考えます。

 

でも、人工血管などのデバイスが

ある患者さんだったら、かなり

悩んでしまいます。血液培養の

陰性化も確認しなくてはなりません。

 

ということで、「決まり」ではなく、

「目安」をもとに、培養結果や

感染局所の指標を見ながら

判断することになります。

 

「抗菌剤投与の目安」には

以下のようなものがあります。

 

【髄膜炎】

髄膜炎菌、インフルエンザ菌 ・・・・7日間

肺炎球菌 ・・・・・・・・・・・・・14日間

リステリア菌 ・・・・・・・・・・・21日間

 

【肺炎】

肺炎球菌 ・・・・・・・・・・・・・解熱後3~5日

  (最短5日)

レジオネラ・非定型 ・・・・・・・・7~14日

腸内細菌科、緑膿菌 ・・・・・・・・21日

  (しばしば42日)

 

【心内膜炎】

緑色連鎖球菌 ・・・・・・・・・・・14日

  (GM使用下)

腸球菌 ・・・・・・・・・・・・・・28日~42日

黄色ブドウ球菌 ・・・・・・・・・・28日~42日

 

【腎盂腎炎】

・・・・・・・・・・・・・・・・・・14日

CPFX、LVFX使用 ・・それぞれ7日、5日

 

【菌血症】

感染源除去可能 ・・・・・・・・・・10~14日

 

(編集長)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

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何に注目するべきか?  経過観察の2つの軸

2019.07.04

だいぶ間が空いてしまいましたが、

4月末に開催された松永先生の

感染症カンファからです。

 

実は来週7月9日に、今年度2回目の

感染症カンファが開催されます。

その前に、感染症診療の基本を

おさえておきましょう。

 

前回までは感染症診療の流れとして

①感染症?それとも感染症以外?

②診断の2つの軸

③治療の2つの軸

④抗菌薬

を順に紹介してきました。

 

今回は⑤経過観察の2つの軸

ついて紹介します。

 

例えば、肺炎の患者さんに抗菌薬を

開始したけど、一向に熱が下がらない、

WBCやCRPが下がらない。

抗菌剤を代えた方がいいか?

 

なんて不安になることは

しばしば経験しますよね。

 

あなたはそんな時はどうしますか?

 

まず、抗菌剤を変更する前に、

感染症治療が上手くいっているかの

判断をする必要がありますが、

あなたは何を根拠に治療が

上手くいっているかを判断して

いますか?

 

たいていの人は

「発熱」が続いている、

「WBC」や「CRP」が下がらない、

と答えてくれます。

 

確かに、分かりやすく有用な指標

ですが、その特徴と限界を把握

しておく必要がありますね。

 

松永先生は「2つの指標」

よく理解する必要性を強調

しています。

 

それは

「身体全体の総体を表す指標」

「感染局所の病態を表す指標」

です。

 

「身体全体の総体を表す指標」とは、

体温、WBCやCRP、プロカルシトニン

などの炎症マーカー、そして

敗血症性ショックの治療に用いられる

ノルアドレナリンの用量、インスリンの

用量、乳酸値などを指します。

 

「感染局所の病態を表す指標」とは、

感染局所の症状、徴候、グラム染色

などの検査所見を指します。

 

例えば、肺炎の患者さんなら、

呼吸回数や酸素飽和度(吸入酸素量)

喀痰量などが感染局所の指標に

なります。

 

つまり、CRPが上昇していても、

呼吸回数や酸素飽和度(吸入酸素量)が

改善傾向なら抗菌薬を変更する必要は

ありません。

 

「検査値を治しているんじゃない!

患者を治しているんだ!」

というのが、松永先生のメッセージです。

 

具体的な感染局所の指標には・・・、

 

肺炎

症状(咳、痰、呼吸困難感)、

徴候(呼吸数、呼吸器の設定、痰の量・質)

検査(血液ガス、喀痰のグラム染色)  

 

尿路感染

症状(排尿困難、頻尿など)

徴候(腹部の圧痛、背部の叩打痛)

検査(尿中白血球数、尿グラム染色)

 

蜂窩織炎

症状(疼痛)、

徴候(発赤、腫脹、熱感、浸出液の量・質)

検査(浸出液のグラム染色)

 

心内膜炎

血液培養が検出されるまでの日数

血液培養の陰性化

 

 

感染症治療では発熱やCRPだけでなく、

感染局所の指標に注目して、

それを追いかけることが重要です。

 

これらの指標は診断する時点、治療を

開始する時点で、経過を見る指標を

決めていくことが大事です。

 

発熱とCRPに惑わされないで

頑張ってみてください。

(編集長)

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振り返りをしていますか?

2019.07.02
カテゴリー: 初期研修

研修が始まって4か月目になります。

患者さんとのやり取りや、病棟業務

などにも、少し余裕ができてきた頃

でしょうか?

 

そうなると、例えばCVカテを入れたり

ドレーンを入れたり、縫合したりなど

色々な手技をする機会が増えてきます。

 

当院でも手技はできるだけやって

もらうようにしています。もちろん

患者さんに不利益があっては

いけませんから、質のコントロール

と言う意味で、全てやってもらうのは

無理です。

 

でも、自分でやってみることで

初めて気づくことがあります。

見るのとやるのは大違いですよね。

 

編集長はIVRにも携わっている

のですが、以前にアメリカでIVR医を

やっている先生の話を聞いた時に

こんなことを言っていました。

 

「アメリカでは指導医がカテ室で

手技に参加することが、フェローに

最も嫌われること」

 

そして、

「5症例を見学するより、2症例を

自分でやる方が勉強になる。」

とも話していました。

 

納得ですね。

 

この写真は研修医が心カテで

上肢からPICCを入れている時の

ものです。助手をしているのも研修医。

(もちろん指導者が近くにいます)

上手くいっても、よく振り返りをしておく、

上手くいかなかった時も、どこが敗因

なのか振り返っておくことが大事です。

 

一番よくないのが、手技でも症例でも、

自分で振り返りをしないこと。

 

振り返りをして、次に同様な場面に

遭遇した時に、もっと上手くできるように、

何度も何度もイメージトレーニングを

しましょう。

 

この毎回の振り返りの積み重ねが、

後になるほど大きな差になります。

 

そして指導医は、あなたの小さな努力の

積み重ねを必ず見てくれていますよ。

(編集長)

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