臨床研修ブログ

水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
医師の生涯のうち最も実りある初期臨床研修期間を私たちは強力にサポートします。

感染症診療の流れ

2024.05.07

あなたが研修医外来に出ていると、消化器外科からのコンサルトが回ってきました。70歳台の男性で約半年前に消化器外科で大腸の手術を行い、本日は定期外来のための受診でした。本人は特に症状もなかったのですが、ルーチンの血液検査でCRPが8.6㎎/dlと上昇していました。

 

外科の担当医からは「CRPが上がっているので感染だと思うんだけど、どの診療科にお願いしたらいいのか分からないし、抗菌薬は何にしたらいいのかな?」ということで研修医外来に回って来たようです。

 

こんな時は外科の先生よりも、各科をローテーションしている研修医が力を発揮できる場面ですが、あなたならどうしますか? ちょっと考えてみてください。

先日開催された松永先生の感染症レクチャーのテーマが「感染症診療の基本」でしたが、この中で松永先生は「感染症診療を学ぶ時は、抗菌薬の使い方よりも感染症診療の流れを把握することが重要」と繰り返されていました。

 

松永先生の言う「感染症診療の流れ」とは、以下の6つのポイントです。

①感染症? 感染症以外?

②診断の2つの軸

③治療の2つの軸

④抗菌薬

⑤経過観察の2つの軸

⑥投与期間の決定 

 

感染症のよくある誤解に、

発熱=感染症  CRP上昇=感染症  発熱=抗菌剤  抗菌剤=解熱剤  

というのがありますが、これは全て間違いです。

 

正しくは、

発熱≠感染症  CRP上昇≠感染症  発熱≠抗菌剤  抗菌剤≠解熱剤 

です。

 

冒頭の症例に戻ると、CRPが高値で症状がないのであれば、まずはホントに感染症なのか?ホントに抗菌薬が必要なのか?と疑ってかかることから始めましょう。

 

そして感染のフォーカスを探しです。感染症ならば必ず燃え盛っている現場があるので、そこを探すことに尽きる」と松永先生が繰り返していました。もちろんフォーカスを探しに行くのも型があります。

 

まずは 3か所(肺、腹部、尿路)+α で考えます。具体的には、肺、腹部、尿路の3か所、そして人工物(CVカテーテル)や皮膚(創部)さらに中枢神経系(髄液) です。

 

もちろん感染部位が分からないこともありますが、その時の型としては、

・全身性疾患   HIV、マラリア、リケッチ etc

・深部の膿瘍

・深部の人工物感染

・副鼻腔炎(特に胃管留置患者)

・腎盂腎炎(特に高齢者)

 

一緒に見落としやすいものも覚えておきましょう。

・腎盂腎炎

・胆道系感染症

・前立腺炎

・皮膚・軟部組織感染症

・カテーテル関連菌血症

・偽膜性腸炎

・浅部の人工物感染  ペースメーカー、CVポート

・ダニ媒介性疾患

・心内膜炎

(編集長) 

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水戸済生会総合病院の臨床研修は

総合診断能力を有するスペシャリスト

を目指します

 

◆エムスリーの座談会に登壇します!

5月15日(水) 18:00~18:30

 

当院の研修医がどんなふうに仕事しているのか?

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参加にはエムスリーのサイトから予約が必要です。

下記リンクからご予約下さい。

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◆病院見学に来ませんか?

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病院見学をご希望の方は、下のフォームからご連絡ください。

 

なお、病院見学がむずかしい時は、Zoomで個別説明会を行っていますので、

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1か月が経ちましたが・・・・

2024.05.04
カテゴリー: 初期研修

J1のあなたが病棟にデビューして1か月が経ちますね。恐らく、あっという間だったと思います。学生時代と大きく環境が変わって、目の前のことを覚えるのが精いっぱいで、ろくに昼食もとれなかったかもしれません。でも1か月経って、ようやく昼食を食べるタイミングとか、それこそトイレに行くタイミングが分かってきたのではないでしょうか?

 

働き方改革のおかげで編集長の研修医時代と比べるとずっと良い労働環境になったとはいえ、あなたにとっては非常にストレスフルであることに間違いありません。そんな状況の時だからこそ、体調管理に気を付けていきましょう。

 

月並みですが、以下の3つのポイントは実際にやれていないことが多いことばかりです。改めて意識してみてください。

 

・朝食をしっかり食べる

当直明けでも、何か食べないと力も出ないし、頭も回りません。タイミングによっては昼食が摂れるとは限りません。しっかり食べましょう。

 

・睡眠時間をしっかりとる

医学部を卒業したあなたにとって、睡眠時間を削って勉強することはそれほど苦痛ではないかもしれません。人より多く勉強するにはそれくらいのことは当然と思っているかもしれません。

でも、いくら若いあなたでも睡眠不足だと間違いなくパフォーマンスが落ちます。ミスにつながり、患者さんや看護師さんに迷惑がかかる事態になります。当直の時はやむを得ませんが、それ以外の日は睡眠時間をしっかり確保しましょう。

 

・体を動かす

まだまだペースがつかめないということは、常に緊張して張り詰めたままということです。ほんの15分でも20分でもいいので、体を動かす時間を週に何度か確保しましょう。運動することで仕事の緊張がほぐれます。時間の使い方もうまくなります。

 

あなたのような真面目な研修医は、あれもこれもやらないと!と思いがちですが、それと同じくらい体調管理に気を配る必要があります。まだ始まったばかりです。焦らずにいきましょう。

(編集長) 

総合内科の朝カンファから

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5月15日(水) 18:00~18:30

 

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今年度1回目!・・・松永先生の感染症レクチャー

2024.05.02

4月30日に感染症の松永先生による今年度1回目のレクチャーが開催されました。

 

感染症レクチャーのことは、このブログでは何度も紹介していますが、今年で16年目となる当院のコアなレクチャーの一つです。J1にとっては感染症の何から手を付けて良いのが分かる「感染症の道しるべ」的なレクチャーですし、J2にとっては症例を経験して苦労したこと、疑問に感じていたことを改めて整理できる「噛むほど味わい深い」レクチャーだと思います。

 

松永先生のことを紹介すると、東大医学部を卒業後に在沖縄米国海軍病院インターン、東大医学部附属病院内科研修医、そして茨城県立中央病院内科研修医を経て、2002年から米国コロンビア大学関連病院St.Luke’s-Roosevelt Hospital Center内科レジデント、2005年からUCLA関連フェローシッププログラム感染症科臨床フェローを修了されています。

 

帰国後は東京医科大学病院感染制御部を経て、2010年から帝京大学医学部付属病院の感染制御部の病院教授としてご活躍の先生です。

 

当院には平成21年から感染症カンファや院内講演会などでお越しいただいており、現在も年5回の研修医向けの感染症レクチャーをお願いしています。

 

これだけ長い期間に渡って一人の感染症専門医から教えを受けるのは、なかなか無いことかもしれません。実際に10年前に松永先生のレクチャーを受けた先輩ドクターが院内で一緒に働いていて、筋の通った文化のようになっているように思います。

 

そして松永先生のレクチャーで学んだことを総合内科をローテーション中に繰り返し実践し、身につけていくていくのが水戸済生会での初期研修の強みです。

 

年度初めのテーマは昨年同様に、関心が薄くなっているけど重要な「COVID19感染症&標準予防策」から始まって「感染症診療の基本」でした。COVID19の動向に加えて標準予防策の重要性を確認しました。そして編集長的には16年間聴き続けている「感染症診療の基本」は非常に重要な内容なので、今後も復習もかねて紹介していきます。

(編集長) 

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