臨床研修ブログ
水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
医師の生涯のうち最も実りある初期臨床研修期間を私たちは強力にサポートします。
慢性の便秘・・・第26回鑑別診断道場より
11月1日に
第26回茨城県央レジデントセミナー
~鑑別診断道場~
が当院で開催されました。
このセミナーは水戸地区の研修病院
(当院の他に水戸協同病院、ひたちなか
総合病院、水戸医療センター)の研修医が
集まって、年に3回のペースで開催して
いるものです。
サブタイトルの「鑑別診断道場」に
あるように、研修医が経験した症例を
提示し、グループで鑑別診断を考えながら
症例を検討していきます。
同じ研修医同士なので恥ずかしがらずに
どんどん発言して、素朴な疑問を解決
できる場になっています。
今回はその中からシェアしたいと思います。
症例提示をしてくれたのは
水戸医療センターの塚田先生。
症例は60歳台の男性
主訴は便秘・腹部膨満感
既往は高血圧でアムロジピン服用中
現病歴は、半年前から腹部膨満感
2か月前から便秘が出現し、近医で
腹部レントゲンとエコー検査を受けたが
異常なしで下剤を処方された。しかし、
症状改善せずに水戸医療センターを
受診しました。
内服はアムロジピンのみ
喫煙なし、飲酒なし
いろいろ確認したいことがあるとは
思いますが、あなたはどうアプローチ
していきますか?考えてみて下さい。
↓
↓
年齢を考えると大腸癌などの悪性腫瘍を
考えておく必要がありますよね。
なので、CTや下部消化管内視鏡は
チェックしたいところです。
当日も各グループから指摘されていました。
幸い、CTでも内視鏡でも特に異常は
なかったそうです。
こんな時、次はどうアプローチしましょう?
こんな時は便秘の原因を4つに分類して
考えると良いそうです。
①器質性便秘
大腸癌やイレウスなど
②機能性便秘
蠕動運動異常 直腸の反射低下など。
長期間にわたって刺激性下剤を使用して
いると起こることがあります。また過敏性
腸症候群も含まれます
③症候性便秘
内分泌疾患(糖尿病など)、神経疾患
(パーキンソン病など)、精神疾患、
脳脊髄疾患などに伴ってみられるもの
④薬剤性便秘
抗コリン薬やモルヒネなどが有名ですね。
さて、この症例では器質性や薬剤性は
否定的で、長期の刺激性下剤使用も
ありませんでした。結論としては、
甲状腺機能低下症による便秘で、
甲状腺ホルモンの補充で症状が改善し、
下剤も不要になったそうです。
便秘の多くは慢性に経過するので、
正直なところ、下剤を処方しておしまい
ということが多々あります。
しかし塚田先生の素晴らしいところは
きちんとシステムレビューをやっており、
腹部膨満感や便秘の症状が現れた時期に
一致して寒がりになったと聞き出して、
これが診断のきっかけになったそうです。
塚田先生のTake home messageとしては
・便秘=消化器内科ではない
・プロブレムリストを挙げて
きちんと鑑別を行う
・問診が重要
ということでした。
次回も鑑別診断道場について紹介します。
(編集長)
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小児救急はこわくない
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