臨床研修ブログ
水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
医師の生涯のうち最も実りある初期臨床研修期間を私たちは強力にサポートします。
過換気を見たら・・・第26回鑑別診断道場より
前回に引き続き、第26回
茨城県央レジデントセミナー
~鑑別診断道場~ からです。
もう一例の症例提示をしてくれたのは
ひたちなか総合病院の木下先生。
そしてファシリテーターを
同じくひたちなか総合病院の
柴崎先生にお願いしました。
とても勉強になる症例でしたが、
その中の一部をあなたとシェア
したいと思います。
症例は30歳台の女性
主訴は嘔吐と過換気
既往は特記なし、内服薬もなし
現病歴は、2日前から嘔吐するようになり
段々息苦しくなったので救急要請しました。
救急隊からのバイタルは
意識レベル:JCSⅠ-1
体温:37.1℃
血圧:160/112mmHg,
心拍数:130bpm 整,
呼吸数:32/min,
SpO2:95%(ambient air)
来院後に聴取した追加の現病歴は
1か月前から倦怠感あり
体重減少あり
嘔吐と過換気は初のエピソード
嘔吐の前後から過換気が出現
咳嗽・痰・動悸・腹痛などなし
過去に心療内科・精神科の通院なし
2-3か月前は日常生活動作で息切なし
最近の長時間旅行なし
さて、これらの情報からあなたは
何を考えますか?
↓
↓
病歴では過換気の誘因がイマイチ
はっきりしません。随伴症状も
典型的ではありません。
単なる過換気症候群として
片付けてはダメそうです。
さらにバイタルで気になるところは
ありませんか?
↓
↓
SpO2が低いのに気づきましたか?
通常の過換気ならSpO2の低下を
来すことはありません。
この症例の血液ガスは以下の通りでした。
pH 7.091 pCO2 6.3Torr pO2 131Torr
HCO3- 1.8mEq/L
さらに血糖が488㎎/dlと高値で
診断は糖尿病性ケトアシドーシスでした。
ポイントは
SpO2≦95%は過換気症候群としては
いけない ということです。
編集長も過換気で痛い経験があります。
あなたも過換気だと安易に診断
しないように気を付けてください!
(編集長)
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