臨床研修ブログ
水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
医師の生涯のうち最も実りある初期臨床研修期間を私たちは強力にサポートします。
心不全患者さんを診る時は・その4(クリニカルシナリオ)
前回は心不全患者さんの基礎疾患を探っていく時に最初に除外すべきは、虚血と大動脈弁狭窄(AS)の2つということを紹介しました。
虚血はSTEMIのように分かり易ければイイのですが、実際はなかなか難しいことも多いので、治療と並行しながら考えていきます。ASは聴診であなたが見つけ出せるので、ぜひ聴診器を当ててみてください。
さて、虚血もASでもなさそうとなれば、基礎疾患の検索は少し後回しにしてもOKで患者さんの症状を早くとってあげることが必要ですね。
このような初期対応で使われるのがクリニカルシナリオ(CS)です。
CSは基礎疾患よりは、病態を早く把握して治療を開始するためツールです。でも時々、入院していつまでも「CS1の心不全の患者さんで・・・」とプレゼンしている人がいますが、CS1は診断名ではないのでこのようなプレゼンはイケてません(笑)。
今回は、このCSを確認しておきます。
CS1:収縮期血圧>140mmHg
・急激に発症するびまん性肺水腫
・体液貯留は少ない(=浮腫が無い)
・治療はNPPV、硝酸薬
CS2:収縮期血圧100~140mmHg
・全身性の浮腫、体重増加を伴う
・肺水腫としては軽度
・治療はNPPV、硝酸薬、利尿薬
CS3:収縮期血圧<100mmHg
・低潅流が主で、肺水腫や浮腫は軽度のことが多い
・心原性ショックを含む
・治療はカテコラミン、状況によって輸液
CS4:急性冠症候群
・心原性ショック
・治療はNPPV、硝酸薬、PCIなどの再灌流療法
・さらにIABPやインペラなどの機械的補助
CS5:右心不全
・肺うっ血はなく、全身性の浮腫
・輸液負荷は避けつつ、利尿剤やカテコラミンを使用
ERで良く遭遇するのはCS1と2です。CS4は循環器内科医の出番ですが、CS3と5は循環器内科医でも治療が難しいことがほとんどです。
(編集長)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
水戸済生会総合病院の臨床研修は
総合診断能力を有するスペシャリスト
を目指します
◆専門研修ブログもご覧ください!
当院には基幹型内科専門研修プログラムがありますが、その強みは消化器内科、循環器内科、腎臓内科の診療体制です。あなたも最短で内科専門医、そして施設を異動することなくサブスペシャルティ専門医と関連する各種の資格を取得できます。そんな内科専門研修プログラムを紹介するブログもぜひご覧ください。
↓
◆水戸済生会の内科専門研修説明動画はこちら
「レジナビFair 専門研修(内科)プログラム」で紹介された説明動画がご覧いただけます。
◆病院見学に来ませんか?
当院の研修医がどんなふうに仕事しているのか?どんな生活を送っているのか?あなたの目で確かめてみてください!
病院見学をご希望の方は、こちらからご連絡ください。
↓
https://recruit-mito-saisei.jp/entry
◆レジナビFairでの病院紹介動画が見れます!
11月30日に開催されたレジナビFairでの紹介動画(11分)を、こちらからご覧いただけます。ぜひご覧ください!