臨床研修ブログ
水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
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補充収縮 その2
前回の記事で、補充収縮(Escape
contraction)は、予定の収縮タイミング
よりも遅く収縮した不整脈のことだと
紹介しました。
ここで復習ですが、心筋の一部には
規則的な興奮を自動的に発生させる
性質をもっており、この性質を自動能と
呼んでいます。
この自動能を持つのが、洞結節や
房室結節とHis束の接合部、His束、
プルキンエ線維などです。
興奮の発生頻度(つまり心拍数)は、
上位(つまり洞結節)ほど速く、下位に
行くほど遅くなります。なので、
通常は洞結節からの興奮が心臓の
リズムを支配しています。
ところが、何らかの理由で洞結節の
興奮が発生しないと、下位からの
興奮が心臓のリズムを支配すること
になりま、この現象を補充収縮と
呼んでいます。
ちなみに下位からの興奮が1回だけ
なら「補充収縮」ですが、2回以上の
興奮がある時には「補充調律」と呼び
ます。
順番で行くと、洞結節の興奮が起こらな
ければ、次に興奮頻度が高いのが
房室結節とHis束の接合部で、これを
房室接合部収縮(Junctional contraction)
と呼びます。
房室接合部収縮は、QRSの形も正常
波形と同じになります。
ところが、より下位のプルキンエ線維
(つまり心室)からの補充収縮であれば、
QRSが幅広くなります。
循環器の先生は、よく「接合部由来の
補充収縮だ」とか、「心室由来の補充収縮」
といったことを気にするのですが、これは
接合部なら、心拍数もそれほど落ちる
ことも少なく、徐脈にともなう症状も
ないことが多いので、一時ペーシングなど
までは慌てて考える必要がない、という
ことです。
一方で、心室由来の補充収縮が頻回に
みられているなら、心臓の基礎疾患を
確認したり、薬剤の影響がないか、
一時ペーシングを入れた方がいいか、
といったことを考えながら、患者情報を
収集します。
あなたも、補充収縮を見た時には
接合部なのか? 心室なのか?
そして、一時ペーシングを入れた方が
良い状況なのかを確認してから、
循環器医に相談してみてください。
(編集長)
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