臨床研修ブログ
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感染症【抗菌薬】の考え方・・・三角形を考えながら2度選ぶ
4月に開催された松永先生の感染症レクチャーから、基本の復習です。今回は抗菌薬の考え方についてです。
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抗菌薬を選択する時のキーワードは、「三角形を考える」そして、「抗菌薬は2度選ぶ」です。
「三角形を考える」とは図のように感染部位、微生物、抗菌薬の関係を考えるということです。
大腸菌による膀胱炎を例にしてみましょう。
「感染部位」は膀胱、「微生物」は大腸菌。「抗菌剤」は、あなたなら何を選択しますか?
尿路感染症と言えば、よく処方されているのがキノロンですが、これって正しいのでしょうか?
実はキノロン耐性の大腸菌が多く、施設によっては約40%がキノロン耐性の大腸菌だったりします。これでは第一選択として不適当(だって40%の症例で効かないってことです)。つまり、抗菌薬を選択するときに感受性を意識することは重要です。
さらに感受性だけでなく、もう一つ、病変部への移行性も考慮します。
良く例に出されるのが、髄膜炎の際の髄液移行性です。感染部位は髄膜(中枢神経系)、微生物は肺炎球菌とします。抗菌剤は、いくら肺炎球菌をカバーしているといっても、第2世代セフェムは髄液移行性が悪いので使いません。移行性の良いセフトリアキソン(CTRX)などの第3世代セフェムを選択します。
抗菌薬を選択する時に三角形を考えるとは、感染部位に抗菌剤が到達するために投与経路(静注、経口)や用量はどうしたら良いのか?その他に、ドレナージなど物理的治療は必要ないか?人工物を除去する必要はないか?といった、感染部位、微生物、抗菌薬の関係性を常に意識しましょうということです。
とは言っても、臨床では原因微生物が判明しないうちに抗菌剤の投与を決めなくてはいけませんよね。そこで、経験的(empirical)に感染部位からよくある原因微生物を考えて抗菌薬を選択します。
その後に原因微生物が判明したら、それにあわせて標的治療(definitive therapy)に切り替えます。これがde-escalation(デ・エスカレーション)と呼ばれるもので、すなわち「抗菌剤は2度選ぶ」ということです。
この2度目の抗菌薬の選択は、十分な抗菌力があること、なるべくカバーする範囲が狭いもの、を基準に選択します。経験的治療で上手くいっている治療を、あえて抗菌薬を変える訳ですからなんとなく抵抗がありますが、「de-escalationは未来の患者さんため」と、松永先生は強調しています。AMR対策が国を挙げて進められている今こそ、肝に銘じるべき言葉ですね。
(編集長)
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