臨床研修ブログ
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脊髄空洞症
J1の Dr.muscle が自分の経験症例からのまとめを書いてくれたのでシェアします。
この記事のように、自分が関わった患者さんの主病名はもちろん、主病名以外の既往などから知らない疾患とかあやふやな点を拾い上げ、調べて整理しておくのが一番効率の良い勉強法だと思います。
ちなみにペンネームのDr.muscleは同期の研修医たちが名付け親です。理由はあなたのご想像通り・・・です。
(編集長)
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今回、既往に脊髄空洞症の手術歴があり、尿道カテーテル長期留置患者の尿路感染症という症例を受け持つことになったので、脊髄空洞症について調べてみました。
【脊髄空洞症とは】
脊髄の中に液体がたまり、脊髄がちくわのように空洞が形成され、脊髄の中心部分を交差する温痛覚が宙吊り型(上肢・胸部のみ障害され、頭部や下肢は正常)に障害されます。また、病状の進行に伴い、脊髄の中心以外にも空洞が広がるため、筋力低下や自律神経障害など多様な神経症状を引き起こします。
原因としてはキアリ奇形が原因となることが多いですが、脊髄損傷や脳脊髄神経の癒着を起こすような病気でも起こります。片手の痛みや温痛覚障害で発症することが多く、その後徐々に両上肢の麻痺が進行し、治療せずに放置した場合は下肢にまで麻痺がおよび、車いすが必要になることも。
ちなみに、キアリ(Chiari)奇形の定義は以下の通りです。
1型:小脳扁桃が大後頭孔より3mm以上下垂し、原則として小脳扁桃の変形を生じているもの。延髄の下垂を伴ってもよい。
2型:小脳下部(主に虫部)と延髄が大後頭孔より下垂し、第4脳室も下垂する。原則として腰仙部に脊髄瘤又は脊髄髄膜瘤を伴う。
治療としては空洞を縮小させる手術の他はありません。
手術法としては大後頭拡大術・空洞短絡術があり、どちらも全身麻酔下に行います。
・大後頭拡大術
キアリ奇形が原因となっている脊髄空洞症に有効
頭蓋骨から脊柱管に移行する部分を拡大させて、脳脊髄液の流れを改善する。
・空洞短絡術
脊髄空洞内に直接カテーテルを留置し、そのチューブから他の場所へ空洞内にたまった水を逃がす。具体的には『空洞-くも膜下腔シャント(SS shunt)』が行われることが多い。
手術による合併症としては手足のしびれや動きの悪化、髄液瘻や髄膜炎、感染などが挙げられます。手術によって空洞は縮小し症状の悪化を止められることは多いですが、空洞が縮小しても、手足のしびれや痛みは残存し、期待通りの神経症状の回復はできないことは少なくなく、そのような場合は内服での治療を継続する必要があります。
以上です。国家試験の際になんとなく宙づり型というキーワードは目にしたことはあったのですが、それ以外、治療法や予後などについてはほとんど知らなかったのでとても勉強になりました。
(Dr. muscle)
頚髄レベルの脊髄空洞症
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