臨床研修ブログ

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「先生、酸素始めなくていいですか?」

2024.01.16
カテゴリー: カンファレンス循環器

あなたがER当直をしている時でした。ようやくERの患者が途切れた夜中に病棟からあなたのPHSにコールが来ました。

 

「先生、肺炎と心不全で入院中の87歳の○○さんですが、SpO2が80台に下がっています。酸素始めなくていいですか?」と言われました。

 

確か、この患者さんは先週入院して、今はだいぶ改善していたはず。そろそろ退院について家族に話をしていた患者さんです。調子がよかったはずなのに・・・

 

さて、何が起こったのでしょう? そして何を確認すればいいのか? ちょっと考えてみて下さい。

編集長なら、まず看護さんにこう尋ねます。

「SpO2下がっているけど、本人の様子はスヤスヤ寝ていますか?」

 

苦しそうなら、まず心不全の悪化を考えて、すぐに病棟に向かい、本人の呼吸状態やバイタルを確認します。必要なら夜中でも胸部レントゲンや血ガスをチェックします。

 

でも、スヤスヤと寝ていたら何を考えればいいでしょう?

 

ここで編集長が真っ先に考えたのはチェーンストークス(Cheyne-Stokes)呼吸です。

 

チェーンストークス呼吸とは呼吸が段々と深くなり、また段々と浅くなり、最後には無呼吸になる。そしてまた浅い呼吸が始まり段々と深くなる、という周期を繰り返す呼吸です。

 

1周期はだいたい1~2分くらいで、繰り返すため「交代性無呼吸」とも呼ばれています。睡眠時など覚醒レベルが低下している時に出現し、脳梗塞後や心不全、肺炎の時などによく見られます。

 

冒頭の患者さんは、高齢で心不全の方ですからチェーンストークス呼吸があってもおかしくありません。無呼吸や呼吸が浅い時にSpO2を測れば、当然低下しています。

 

対応の基本は原疾患の治療なので、この場合

「スヤスヤ眠っている」=「心不全の悪化は来していない」

と考えて、そのまま経過観察でOKです。

 

ところで、看護師さんに「・・・・しなくてイイですか?」と言われると、何かしないとマズい気になってしまいますよね。

 

なのでつい、あまり根拠もないのに「じゃ、お願いします」と言ってしまいがちです。もちろん編集長も何度もやったことがありますが、看護師さん達に分かってもらえるように説明して、必要のないことは「必要がない」と言えるようにするとイイですね。

(編集長)

ベッドサイドで診察中

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