
臨床研修ブログ
水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
医師の生涯のうち最も実りある初期臨床研修期間を私たちは強力にサポートします。
CPC報告 赤痢アメーバ(2)
CPCからのシェアの続きです。
症例は50歳台の独身男性。主訴は下痢、腹痛でした。近医で加療を受けたものの症状改善なく、腎機能も悪化したため当院に紹介となった患者さんで、約1か月の経過で腸管穿孔、汎発性腹膜炎、多臓器不全となり亡くなったケースです。
<赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)>
【重症化リスク】
糖尿病、アルコール中毒、悪性腫瘍、妊娠、ステロイド投与、免疫不全状態など
【診断】
・糞便検査で原虫(嚢子or栄養体)を検出 → 栄養体は速やかに検鏡することが重要
・内視鏡検査:多発する潰瘍病変、潰瘍間の粘膜は正常であることが多い
・E.histolycaに対する血清抗体検査も有用であったが2019年3月時点で試薬製造が中止された。
→現在はE.histolycaの抗原検出法やPCR法による検出は一部の施設に依頼可能である。
【治療】
・メトロニダゾール内服が第一選択
・治療効果判定 → 治療終了1-2週間後に糞便検査で赤痢アメーバの陰性化を確認する。
・メトロニダゾール治療後に嚢子に対する治療として、パロモマイシンによる根治治療が推奨される。
この症例の反省点は、渡航歴や性交歴の確認ができていなかったため、赤痢アメーバを鑑別に挙げられていなかったことに尽きます。独居の独身男性のため性行為感染症(STI)も鑑別に入れるべきで、もし把握できていれば鑑別に挙げることは比較的容易であった可能性が高いです。しかし一般的に、性行為感染症(STI)の鑑別に性交歴を聞き出すのは、ある程度患者さんとのコミュニケーションが取れていないと聴取は困難ですし、家族も把握していないのは当然です。この症例のように急速に病状が悪化する時は、さらに聞き出すのは困難になります。当院に入院した時点で重症化していたので、結果は変わらなかったかもしれませんが、もしかしたら助けられた症例であったと思うと悔しいですね。
今回は赤痢アメーバによる重症腸炎の症例でしたが、良く分からない症例ほど病歴を詳細に聴取することがとても大事で、聴取した病歴からいろいろな可能性を考えて鑑別疾患を挙げていくことができます。良く分からないときは患者さんのところに行ってみると大きなヒントが隠されています。
(編集長)
赤痢アメーバの栄養型
(大腸病変部の固定標本)
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CPC報告 赤痢アメーバ(1)
先月のことですが、院内でCPCが開催されました。CPCでは2症例が提示されましたが、そのうちのJ2の2人が発表してくれた赤痢アメーバによる重症大腸炎の症例を2回に分けてシェアします。
症例は50歳台の独身男性。主訴は下痢、腹痛でした。近医で加療を受けたものの症状改善なく、腎機能も悪化したため当院に紹介となった患者さんで、約1か月の経過で腸管穿孔、汎発性腹膜炎、多臓器不全となり亡くなったケースです。
ちなみに、この症例の診断のキモは問診でした(次回に紹介します♪)。
<赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)>
【感染経路】
感染者の糞便に排泄されるシスト(嚢子)の経口感染による。発展途上国では汚染された水や飲食物を介して感染が起き、本邦では同性間・異性間性的接触(口腔・肛門性交)で感染する
【流行地域】
発展途上国を中心に世界中で流行。本邦では流行地域への渡航・滞在、男性同性愛者間、知的障害者施設入所者に多い
【発生頻度】
日本では年間800件ほどで、9割が男性
【潜伏期間】
通常2-4週間が潜伏期間だが数か月~数年に及ぶ場合もある。
【症状、検査所見】
感染者のうち5-10%が発症。
イチゴゼリー状の粘血便、下痢、テネスムス、排便時の下腹部痛、体重減少など(発熱に至る例は肝膿瘍を認めることが多い、基本的には稀)。盲腸~上行結腸、S状結腸~直腸など大腸に病変が多い。時に肉芽腫様病変や潰瘍部が壊死性に穿孔することがある。
(編集長)
矢頭はS状結腸壁の菲薄化・大きな穿孔
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下剤のキホン
J1のネギトロ先生が下剤についてまとめてくれたのでシェアします。
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まだ入職して4か月ほどしか経っていませんが、いまのところ入院中の患者さんのお悩み第1位といっても過言ではないな、と思うのは「お通じが出ない」です。
確かに、入院すると普段と比べて格段に活動量が落ちるし、それはそうですよね。でも下剤のことなんて国試じゃほとんど勉強しないし、
いろいろ種類あるけど、何を使えばいいんだろう?と思ったわけです。
ということで、今回は下剤のことについて勉強してみたので皆さんにも共有したいと思います。
下剤には大きく分けて2種類
・便を柔らかくする系(緩下剤)
・腸を動かす系(刺激性下剤)
があります。
なのでまず、患者さんから「お通じがない」といった訴えがあったときは便の柔らかさはどうなのか?ということを聞く必要があるわけです。
ここで患者さんが「便が硬くて、踏ん張っても出ないんだ」のように訴えてくるのであれば、便を柔らかくする系の下剤を出す必要がありますし、「出る便は柔らかいんだけど、どうにも出ない」ようであれば、腸を動かす系の下剤を出す必要があります。
では、代表的な下剤について簡単に説明していこうと思います。
【便を柔らかくする系(緩下剤)】
・酸化マグネシウム
・アミティーザ(ルピプロストン)
一般的に、緩下剤は長期的な使用に向いているといわれています。酸化マグネシウムに関しては、腎機能障害がある方だと高Mg血症をきたすので注意です。
【腸を動かす系(刺激性下剤)】
・アジャスト(センナエキス)
・ラキソベロン(ピコスルファートナトリウム)
刺激性下剤は有効性の高い薬剤ですが、連用すると耐性がついてしまうので頓用・短期間での使用が推奨されています。
【その他】
・グーフィス(エロビキシバット)
胆汁酸トランスポーターを阻害することによって胆汁酸の再吸収を抑制し、便を柔らかくするほか、消化管運動も亢進させます。
・リンゼス(リナクロチド)
腸管分泌と腸管輸送能を促進し、また大腸の痛覚の閾値を下げることによって排便を促進します。
・レシカルボン坐薬(炭酸水素ナトリウム・無水リン酸二水素ナトリウム)
肛門に挿入すると炭酸ガスを発生して直腸を刺激します。
種類が多くてよくわからないなあと思いがちですが、各薬剤の特性を押さえて使いこなせるようにしたいものですね。
(ネギトロ)
カテの準備中
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直腸潰瘍 その5
くま先生がまとめてくれた直腸潰瘍についての記事ですが、今回がシリーズの最後になります。
最後に取り上げるのは、直腸粘膜脱症候群についてです。
【直腸粘膜脱症候群(mucosal prolapse syndrome:MPS)】
以前は孤発性直腸潰瘍症候群(Solitary rectal ulcer syndrome:SRUS)と呼ばれていたもの(今でもPubMedやUpToDateではSRUSで出てきます)ですが、最近はMPSと呼ぶそうです。
<好発年齢>
青壮年
<性 差>
性差なし
<機 序>
直腸粘膜脱のために粘膜が肛門管に擦り付けられる機械的刺激
<基礎疾患>
直腸粘膜脱、いきみの習慣、長い排便時間
<症 状>
下血、肛門痛、直腸粘膜脱、残便感
<発生部位>
直腸中部
<内視鏡所見>
辺縁鋭、白苔を伴う浅い潰瘍、前壁に多い
<病 理>
粘膜固有層の線維筋症(Fibromuscular obliteration)
<治 療>
排便習慣の改善、便秘改善、保存的に改善がなければ手術療法
(くま)
PICCもだいぶ経験したので、
後輩にも指導できるようになりました♪
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直腸潰瘍 その4
直腸潰瘍についてくま先生のまとめの続きです。今回はNSAIDS起因性大腸潰瘍についてです。
【NSAIDS起因性大腸潰瘍】
*NSAIDSでも坐薬と内服で臨床像が異なるようです。
<好発年齢>
坐薬:高齢者
内服:年齢は20~90歳台と幅広いが、60歳台に好発
<性 差>
坐薬、内服とも性差なし
<機 序>
NSAIDSの腸管循環に伴う局所濃度の上昇により粘膜防御機転の破綻や透過性亢進が惹起されることによる。
<発症時期>
坐薬:投与後数週間
内服:投与後数週間(膜様狭窄は数年)
<症 状>
坐薬、内服ともに下血
<発生部位>
坐薬:直腸下部
内服:回盲弁上唇、右側結腸
<内視鏡所見>
境界明瞭な潰瘍
類円形・地図状
膜様狭窄+輪状狭窄
<病 理>
非特異的所見
<治 療>
NSAIDS中止
手術、ステロイド
メサラジン
狭窄に対しては内視鏡下バルーン拡張
(くま)
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直腸潰瘍 その3
くま先生がまとめてくれた直腸潰瘍の続きです。今回は虚血性直大腸炎についてです。
【虚血性直大腸炎】
<好発年齢>:高齢者
<性 差>:女性>男性
<機 序>:血流低下
<基礎疾患>:
心疾患、脳血管疾患、糖尿病、膠原病、便秘、動脈硬化
<症 状>
腹痛、下痢、下血
<発生部位>
左側結腸
<内視鏡所見>
結腸紐に沿った縦走潰瘍
周辺粘膜の変化が強く、粘膜の暗赤色の隆起と粘膜出血
時に偽膜形成
<病 理>
腺管壊死剥離(ghost-like appearance)
<治 療>
絶食
補液
多くは無治療で治癒
(くま)
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直腸潰瘍 その2
入院中の患者さんで時々遭遇する直腸潰瘍について、くま先生がまとめてくれたのものをシェアしています。今回はその2回目ですが、宿便性潰瘍についてのまとめです。
【宿便性潰瘍】
<好発年齢>:高齢者
<性 差>:なし
<機 序>:高度の便秘による糞便塊が腸管を機械的に圧迫することにより生じるが、長期臥床などによる血流低下が背景にある。
<基礎疾患>:
循環障害(心不全、閉塞性動脈硬化症など)、慢性腎不全、脳血管疾患、整形外科手術後、癌末期、精神疾患患者、麻薬常用者 鎮静剤、抗うつ剤、制酸剤(腸蠕動運動を抑制、粘液分泌低下)、大腸癌による腸管狭窄、Hirschsprung病、全身性硬化症
<症 状>
高度の便秘
浣腸や摘便などの機械的刺激
腹痛や肛門部痛はあっても軽度
<発生部位>
直腸が約6割を占める。S状結腸は2割程度、盲腸や回腸終末部での報告もある。
宿便性腸管穿孔はS状結腸が約半数を占める
<内視鏡所見>
不整形地図状潰瘍、周辺粘膜との境界明瞭、陥凹
単発も多発もある
潰瘍底は通常は黄色ないし黄褐色
縦走潰瘍
<病 理>
粘膜上皮の剥離、上皮層内への糞便成分の混入
粘膜筋板の乱れ
粘膜下層に達する腺管構造
*非特異的な変化しかみられないことが多い
<治 療>
補液
止血処置(内視鏡、経肛門的結紮術、動脈塞栓術、直腸部分切除、直腸切断術、人工肛門)
治癒までには平均2~10週
(くま)
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直腸潰瘍 その1
あなたは80歳台の心不全患者さんを担当していました。心不全は落ち着いていますが、入院を契機にADLが低下してしまい、リハビリ以外はベッド上で過ごすことがほとんどでした。
そんなある日、病棟の看護師さんから「先生!下血しています。結構な量ですよ」とコールがありました。行って見ると、おむつに野球ボールくらいのコアグラがありました。患者さんは腹痛の訴えはなく、腹部を触診しても柔らかく圧痛もありませんでした。
さて、あなたは鑑別に何を考えますか?
↓
↓
黒色便ではない下血の時は一般的に下部消化管からの出血を考えますが、腹痛を伴わない下血では①内痔核、②憩室出血、③直腸潰瘍
この3つを考えてみてください。冒頭の症例は直腸潰瘍からの出血で、内視鏡で止血を行ってもらいました。
でも、直腸潰瘍ってどんな患者さんにできるのでしょうか?
意外と鑑別に挙げられないのですが、入院中の患者さんで時々遭遇する直腸潰瘍について、J1のくま先生がまとめてくれたのでシェアします。
(編集長)
****************
直腸に発症する潰瘍性病変は、疾患概念や臨床病理学的特徴から急性出血性直腸潰瘍(acute hemorrhagic rectal ulcer : AHRU)、直腸粘膜脱症候群(mucosal prolapse syndrome : MPS)、宿便性潰瘍、虚血性大腸炎、NSAID起因性大腸潰瘍、外傷(浣腸、異物)などに分類されます。特にAHRUや宿便性潰瘍は高齢者の長期臥床患者に多く、直腸粘膜への血流障害が原因となります。
今回はAHRUについてポイントを紹介します。
【急性出血性直腸潰瘍(AHRU】
<好発年齢>:高齢者
<性 差>:女性>男性
<機 序>:ストレスや臥床による血流低下など
<基礎疾患>:
脳血管疾患(最多、脳血管疾患と脳腫瘍を合わせると半数を超えるとされている)、肺炎、閉塞性黄疸、糖尿病性ケトアシドーシス、腎不全、心不全、肝不全、COPD、敗血症、多臓器不全、膵炎、脱水、不明熱
<症 状>
突然の大量新鮮血下血(1000ml超が多いが、ごく少量の場合もある)
無痛性が多いが、肛門部痛と下痢を契機に診断されたケースも
<発生部位>
歯状戦に接するか、その近傍の下部直腸に限局
<内視鏡所見>
不整形、帯状、地図状の潰瘍で横軸方向に長く分布
単発も多発もある
潰瘍内部に露出血管を伴うことが多い
<病 理>
全周性、輪状、不整形、地図状、類円形、
潰瘍底に露出血管を伴うことが多い
単発も多発もある
<治 療>
補液
止血処置(内視鏡、経肛門的結紮術、動脈塞栓術、直腸部分切除、直腸切断術、人工肛門)
治癒までには平均3~5週
(くま)
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合格祈願2022
医師国家試験も、いよいよ今週末となりました。受験生のあなたは最後の追い込みですね。
2年前からのコロナ流行で、大学での実習も大きく影響を受け、さらにこのところの感染患者の激増と、受験環境は決して良いとは言えません。しかし、そんな中であなたは幾多の試験を乗り越えて、コツコツと勉強を続けてきた訳ですから、必ずや合格するはずです。
もちろん試験では何が起こるか分かりませんので、あと少し、最後まで気を抜かずに頑張ってください!
合格を手にして、春から臨床の現場で一緒に人のために役立つ仕事をしましょう!
当院スタッフ一同、あなたの合格を心よりお祈り申し上げます。
(編集長)
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胃潰瘍とピロリ(2)
前回の続きで、ここからはH.pyloriに関してです。
・H.pylori除菌
従来はPPI+アモキシシリン+クラリスロマイシンの7日間投与が一次除菌のレジメンとして普及していましたが、近年はPPIよりも強力な酸分泌抑制薬であるボノプラザン(VPZ)の使用が可能になり、VPZとアモキシシリン、クラリスロマイシンの併用療法がガイドラインでも推奨されています。また本邦ではクラリスロマイシン耐性菌が35%~40%ほどに増加しているという報告もあり、除菌療法に対する考え方は近年変化しています。一次除菌無効例では二次除菌としてメトロニダゾールが用いられ、二次除菌まで保険適応があります。一次除菌の成功率は92.6%、二次除菌の成功率は98.0%とされています。ちなみに三次除菌のレジメンも存在します。
・H.pyloriの診断法
胃生検材料を用いる侵襲的検査としては培養法・組織鏡検法・迅速ウレアーゼ試験。非侵襲的診断法としては、抗体測定法・尿素呼気試験・便中抗原測定法があります。除菌終了後4週間以降に尿素呼気試験や便中抗原法で治療効果判定を行います。除菌後でも胃がんの発生リスクを考え、定期的内視鏡検査は必要です。
・H.pyloriと胃癌
胃潰瘍との関係は明らかですが、もう一つ胃癌との関係も有名です。機序としては、H.pyloriが感染した胃では小さな炎症が常に起こっている状態(萎縮性胃炎)なので、「持続する炎症」は遺伝子に傷をつけやすくなり、これが癌のリスクを高めます。
実際にピロリ菌感染者1246人を10年間観察したところ、36人(約2.9%)が胃癌を発症したと報告されています。非感染者では胃癌は認められませんでした。(Uemura N.: N. Engl. J. Med. 345, 784, 2001)。また早期胃がんの患者さんを対象に行った研究では、ピロリ菌除菌により、胃癌のリスクは3分の1にまで抑えられる(Fukase K.: Lancet 372, 392, 2008)ことが分かったため、2013年2月から日本では萎縮性胃炎患者さんのピロリ除菌が可能となっています。
以上になります。胃潰瘍は非常にコモンな疾患でありどの診療科に進んでも目にすることは多いと思います。H.pylori除菌のレジメンとして耐性菌の増加やVPZの登場など、知らない知識も多くとても勉強になりました。
(Dr. Muscle)
PICCは一人でも大丈夫♪
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