
臨床研修ブログ
水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
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直腸潰瘍 その5
くま先生がまとめてくれた直腸潰瘍についての記事ですが、今回がシリーズの最後になります。
最後に取り上げるのは、直腸粘膜脱症候群についてです。
【直腸粘膜脱症候群(mucosal prolapse syndrome:MPS)】
以前は孤発性直腸潰瘍症候群(Solitary rectal ulcer syndrome:SRUS)と呼ばれていたもの(今でもPubMedやUpToDateではSRUSで出てきます)ですが、最近はMPSと呼ぶそうです。
<好発年齢>
青壮年
<性 差>
性差なし
<機 序>
直腸粘膜脱のために粘膜が肛門管に擦り付けられる機械的刺激
<基礎疾患>
直腸粘膜脱、いきみの習慣、長い排便時間
<症 状>
下血、肛門痛、直腸粘膜脱、残便感
<発生部位>
直腸中部
<内視鏡所見>
辺縁鋭、白苔を伴う浅い潰瘍、前壁に多い
<病 理>
粘膜固有層の線維筋症(Fibromuscular obliteration)
<治 療>
排便習慣の改善、便秘改善、保存的に改善がなければ手術療法
(くま)
PICCもだいぶ経験したので、
後輩にも指導できるようになりました♪
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直腸潰瘍 その4
直腸潰瘍についてくま先生のまとめの続きです。今回はNSAIDS起因性大腸潰瘍についてです。
【NSAIDS起因性大腸潰瘍】
*NSAIDSでも坐薬と内服で臨床像が異なるようです。
<好発年齢>
坐薬:高齢者
内服:年齢は20~90歳台と幅広いが、60歳台に好発
<性 差>
坐薬、内服とも性差なし
<機 序>
NSAIDSの腸管循環に伴う局所濃度の上昇により粘膜防御機転の破綻や透過性亢進が惹起されることによる。
<発症時期>
坐薬:投与後数週間
内服:投与後数週間(膜様狭窄は数年)
<症 状>
坐薬、内服ともに下血
<発生部位>
坐薬:直腸下部
内服:回盲弁上唇、右側結腸
<内視鏡所見>
境界明瞭な潰瘍
類円形・地図状
膜様狭窄+輪状狭窄
<病 理>
非特異的所見
<治 療>
NSAIDS中止
手術、ステロイド
メサラジン
狭窄に対しては内視鏡下バルーン拡張
(くま)
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直腸潰瘍 その3
くま先生がまとめてくれた直腸潰瘍の続きです。今回は虚血性直大腸炎についてです。
【虚血性直大腸炎】
<好発年齢>:高齢者
<性 差>:女性>男性
<機 序>:血流低下
<基礎疾患>:
心疾患、脳血管疾患、糖尿病、膠原病、便秘、動脈硬化
<症 状>
腹痛、下痢、下血
<発生部位>
左側結腸
<内視鏡所見>
結腸紐に沿った縦走潰瘍
周辺粘膜の変化が強く、粘膜の暗赤色の隆起と粘膜出血
時に偽膜形成
<病 理>
腺管壊死剥離(ghost-like appearance)
<治 療>
絶食
補液
多くは無治療で治癒
(くま)
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直腸潰瘍 その2
入院中の患者さんで時々遭遇する直腸潰瘍について、くま先生がまとめてくれたのものをシェアしています。今回はその2回目ですが、宿便性潰瘍についてのまとめです。
【宿便性潰瘍】
<好発年齢>:高齢者
<性 差>:なし
<機 序>:高度の便秘による糞便塊が腸管を機械的に圧迫することにより生じるが、長期臥床などによる血流低下が背景にある。
<基礎疾患>:
循環障害(心不全、閉塞性動脈硬化症など)、慢性腎不全、脳血管疾患、整形外科手術後、癌末期、精神疾患患者、麻薬常用者 鎮静剤、抗うつ剤、制酸剤(腸蠕動運動を抑制、粘液分泌低下)、大腸癌による腸管狭窄、Hirschsprung病、全身性硬化症
<症 状>
高度の便秘
浣腸や摘便などの機械的刺激
腹痛や肛門部痛はあっても軽度
<発生部位>
直腸が約6割を占める。S状結腸は2割程度、盲腸や回腸終末部での報告もある。
宿便性腸管穿孔はS状結腸が約半数を占める
<内視鏡所見>
不整形地図状潰瘍、周辺粘膜との境界明瞭、陥凹
単発も多発もある
潰瘍底は通常は黄色ないし黄褐色
縦走潰瘍
<病 理>
粘膜上皮の剥離、上皮層内への糞便成分の混入
粘膜筋板の乱れ
粘膜下層に達する腺管構造
*非特異的な変化しかみられないことが多い
<治 療>
補液
止血処置(内視鏡、経肛門的結紮術、動脈塞栓術、直腸部分切除、直腸切断術、人工肛門)
治癒までには平均2~10週
(くま)
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直腸潰瘍 その1
あなたは80歳台の心不全患者さんを担当していました。心不全は落ち着いていますが、入院を契機にADLが低下してしまい、リハビリ以外はベッド上で過ごすことがほとんどでした。
そんなある日、病棟の看護師さんから「先生!下血しています。結構な量ですよ」とコールがありました。行って見ると、おむつに野球ボールくらいのコアグラがありました。患者さんは腹痛の訴えはなく、腹部を触診しても柔らかく圧痛もありませんでした。
さて、あなたは鑑別に何を考えますか?
↓
↓
黒色便ではない下血の時は一般的に下部消化管からの出血を考えますが、腹痛を伴わない下血では①内痔核、②憩室出血、③直腸潰瘍
この3つを考えてみてください。冒頭の症例は直腸潰瘍からの出血で、内視鏡で止血を行ってもらいました。
でも、直腸潰瘍ってどんな患者さんにできるのでしょうか?
意外と鑑別に挙げられないのですが、入院中の患者さんで時々遭遇する直腸潰瘍について、J1のくま先生がまとめてくれたのでシェアします。
(編集長)
****************
直腸に発症する潰瘍性病変は、疾患概念や臨床病理学的特徴から急性出血性直腸潰瘍(acute hemorrhagic rectal ulcer : AHRU)、直腸粘膜脱症候群(mucosal prolapse syndrome : MPS)、宿便性潰瘍、虚血性大腸炎、NSAID起因性大腸潰瘍、外傷(浣腸、異物)などに分類されます。特にAHRUや宿便性潰瘍は高齢者の長期臥床患者に多く、直腸粘膜への血流障害が原因となります。
今回はAHRUについてポイントを紹介します。
【急性出血性直腸潰瘍(AHRU】
<好発年齢>:高齢者
<性 差>:女性>男性
<機 序>:ストレスや臥床による血流低下など
<基礎疾患>:
脳血管疾患(最多、脳血管疾患と脳腫瘍を合わせると半数を超えるとされている)、肺炎、閉塞性黄疸、糖尿病性ケトアシドーシス、腎不全、心不全、肝不全、COPD、敗血症、多臓器不全、膵炎、脱水、不明熱
<症 状>
突然の大量新鮮血下血(1000ml超が多いが、ごく少量の場合もある)
無痛性が多いが、肛門部痛と下痢を契機に診断されたケースも
<発生部位>
歯状戦に接するか、その近傍の下部直腸に限局
<内視鏡所見>
不整形、帯状、地図状の潰瘍で横軸方向に長く分布
単発も多発もある
潰瘍内部に露出血管を伴うことが多い
<病 理>
全周性、輪状、不整形、地図状、類円形、
潰瘍底に露出血管を伴うことが多い
単発も多発もある
<治 療>
補液
止血処置(内視鏡、経肛門的結紮術、動脈塞栓術、直腸部分切除、直腸切断術、人工肛門)
治癒までには平均3~5週
(くま)
患者さんとお話し中
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合格祈願2022
医師国家試験も、いよいよ今週末となりました。受験生のあなたは最後の追い込みですね。
2年前からのコロナ流行で、大学での実習も大きく影響を受け、さらにこのところの感染患者の激増と、受験環境は決して良いとは言えません。しかし、そんな中であなたは幾多の試験を乗り越えて、コツコツと勉強を続けてきた訳ですから、必ずや合格するはずです。
もちろん試験では何が起こるか分かりませんので、あと少し、最後まで気を抜かずに頑張ってください!
合格を手にして、春から臨床の現場で一緒に人のために役立つ仕事をしましょう!
当院スタッフ一同、あなたの合格を心よりお祈り申し上げます。
(編集長)
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胃潰瘍とピロリ(2)
前回の続きで、ここからはH.pyloriに関してです。
・H.pylori除菌
従来はPPI+アモキシシリン+クラリスロマイシンの7日間投与が一次除菌のレジメンとして普及していましたが、近年はPPIよりも強力な酸分泌抑制薬であるボノプラザン(VPZ)の使用が可能になり、VPZとアモキシシリン、クラリスロマイシンの併用療法がガイドラインでも推奨されています。また本邦ではクラリスロマイシン耐性菌が35%~40%ほどに増加しているという報告もあり、除菌療法に対する考え方は近年変化しています。一次除菌無効例では二次除菌としてメトロニダゾールが用いられ、二次除菌まで保険適応があります。一次除菌の成功率は92.6%、二次除菌の成功率は98.0%とされています。ちなみに三次除菌のレジメンも存在します。
・H.pyloriの診断法
胃生検材料を用いる侵襲的検査としては培養法・組織鏡検法・迅速ウレアーゼ試験。非侵襲的診断法としては、抗体測定法・尿素呼気試験・便中抗原測定法があります。除菌終了後4週間以降に尿素呼気試験や便中抗原法で治療効果判定を行います。除菌後でも胃がんの発生リスクを考え、定期的内視鏡検査は必要です。
・H.pyloriと胃癌
胃潰瘍との関係は明らかですが、もう一つ胃癌との関係も有名です。機序としては、H.pyloriが感染した胃では小さな炎症が常に起こっている状態(萎縮性胃炎)なので、「持続する炎症」は遺伝子に傷をつけやすくなり、これが癌のリスクを高めます。
実際にピロリ菌感染者1246人を10年間観察したところ、36人(約2.9%)が胃癌を発症したと報告されています。非感染者では胃癌は認められませんでした。(Uemura N.: N. Engl. J. Med. 345, 784, 2001)。また早期胃がんの患者さんを対象に行った研究では、ピロリ菌除菌により、胃癌のリスクは3分の1にまで抑えられる(Fukase K.: Lancet 372, 392, 2008)ことが分かったため、2013年2月から日本では萎縮性胃炎患者さんのピロリ除菌が可能となっています。
以上になります。胃潰瘍は非常にコモンな疾患でありどの診療科に進んでも目にすることは多いと思います。H.pylori除菌のレジメンとして耐性菌の増加やVPZの登場など、知らない知識も多くとても勉強になりました。
(Dr. Muscle)
PICCは一人でも大丈夫♪
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胃潰瘍とピロリ(1)
コロナのせいでジムに行けてないDr. Muscleの記事です。今回も自分の経験症例からのまとめです。
今回は胃潰瘍について。Commonな疾患ですが、研修医に質問すると、歯切れのよい答えが返ってこないことが意外と多いと思います。ぜひ読んでみてください。
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今回は入院中の担当患者さんで黒色便を認め、内視鏡検査で多発性の胃潰瘍を認めた症例を経験したので胃潰瘍について簡単にまとめてみました。
・胃潰瘍の原因としては、ほとんどはNSAIDs内服、H.pylori感染です。
そのほかの原因としては、組織血行障害を起こす基礎疾患(肝硬変による門脈圧亢進や糖尿病、狭心症)やビスホスホネート製剤、Zolinger-Ellison症候群、サイトメガロウイルスや単純ヘルペスウイルス感染によるものなどが稀ではありますが挙げられます。
・症状としては心窩部痛、上腹部不快感、胸やけ、げっぷ、呑酸と多様な症状がありますが、どれも特異度は低く、高齢者では消化管出血や穿孔などの合併症が起こるまで全く無症状ということも多くあります。
・重篤な合併症としては吐血・下血・穿通・穿孔・狭窄があげられます。
出血が大量にあれば血圧低下や頻脈をきたしますが、少量の場合は症状がみられず動悸、息切れ、めまいで来院することもあります。穿通・穿孔は十二指腸潰瘍に多く、穿通が起こると疼痛は限局し背部に放散し、強度の疼痛を訴えます。突然腹部全体に重度のびまん性の腹痛が生じた場合は穿孔が示唆されます。
・次に胃潰瘍ステージ分類についてです。
胃潰瘍は内視鏡検査の所見によってActive stage(A1,A2), healing stage(H1,H2), scarring stage(S1,S2)に分類されます。
(日本医師会ホームページ 健康の森より)
A1では潰瘍辺縁に浮腫を伴い、潰瘍底は一般に白苔または黒苔でおおわれています。
A2ステージに移行すると辺縁の浮腫が改善し潰瘍底は白苔に覆われます。
これらの時期には悪性腫瘍との鑑別が難しいため、潰瘍辺縁からの生検が鑑別診断に有効です。
H1・H2ステージでは潰瘍辺縁に再生上皮を認め、白苔を伴う潰瘍底の面積は減少します。白苔が残存している場合はhealing stageとされます。
Scarring stageでは白苔は消失。赤色瘢痕を認めるS1と白色瘢痕を認めるS2に分類されます。
・内視鏡にて活動性の出血を認める場合や非出血性の露出血管を認める場合には内視鏡的止血術の適応となります。内視鏡的止血術としてはクリップ法や凝固法、血管収縮剤や硬化剤の局注法が存在します。
・薬物治療としてPPI・H2RA・ボノプラザン(VPZ)内服、H.pylori除菌などがあります。
次回はピロリについてです。
(Dr. Muscle)
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メトロニダゾール誘発性脳症
6月のこのブログで、消化器学会地方会の奨励賞をいただいたことを紹介しました。(その時の記事はこちら)
今回は目時先生が発表したメトロニダゾール誘発性脳症についてシェアします。
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メトロニダゾール誘発性脳症 (MIE:Metronidazole-induced-encephalopathy)
メトロニダゾール(MNZ)の継続使用により、構音障害、歩行障害、意識障害、失調など多様な中枢神経症状をきたす。MNZ中止後数日で症状改善を認めることが多い。発症機序として血管原性浮腫による細胞機能不全などの説があるが、いまだ不明。
【初発症状】
構音障害、失調、歩行障害、嘔気、意識障害
【MNZ投与開始から症状出現まで】
平均61.3日 中央値 51日(2~210日)
【診断】
病歴に加えて、MRIが有用なことが多い
病変部位は、小脳歯状核>脳梁膨大部>中脳>橋背側、大脳白質、脳室周囲
【経過】
中止により94%で症状改善
改善までの期間 2~30日 平均8.5日 中央値6.5日
参考文献:加藤英明ら 「メトロニダゾール誘発性脳症2例の症例報告および国内32例の文献的考察」 感染症学雑誌 89巻5号(H27.9.20)
(目時)
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急性胆嚢炎 その4
今回も、急性胆嚢炎の治療の続きです。
ドレナージや手術は、自分一人でやる
ことは無いと思いますが、抗菌薬治療に
ついては、あなたが一人で判断する
場面に遭遇する可能性が十分あります。
いざと言う時に慌てないように、
十分に知っておきましょう。
【急性胆嚢炎の原因菌】
・グラム陰性桿菌
大腸菌 クレブシエラ、緑膿菌
エンテロバクター、アシネトバクター、
シトロバクターなどの腸内細菌群
・グラム陽性球菌
腸球菌、連鎖球菌、ブドウ球菌
・嫌気性菌
注意点としては、ESBL産生菌や
カルバペネマーゼ産生菌が
検出されることが増えています。
普段から各施設でのアンチバイオ
グラムに目を通しておきましょう。
【治療戦略】
市中発生か、医療関連感染かで
起炎菌が異なります。まずは。
そこをはっきりさせましょう。
①市中発生の場合
・軽症・中等症:
腸内細菌群をカバーする抗菌薬
・重症例:
培養結果が判明するまで、緑膿菌も
カバーする抗菌薬を選択
腸球菌対策にはバンコマイシンの
併用を推奨
(当然、培養結果を見て、De-escalation)
②医療関連感染
・培養結果が出るまでは、緑膿菌も
カバーする抗菌薬を選択
・バンコマイシンは、患者が耐性グラム
陽性菌(MRSA、腸球菌)を保菌している
場合に併用が推奨される
【投与期間】
・軽症・中等症:
術前または術中のみ投与。術中の穿孔や
気腫性変化、壊疽がある場合は4~7日間
・重症:
感染源コントロール(ドレナージ)後、
4~7日間。グラム陽性球菌による
菌血症であれば14日間以上
なお、胆嚢周囲膿瘍、胆嚢穿孔がある
場合には、発熱の消失、白血球の正常化、
腹部症状の消失などを参考に、さらに
長期間の投与を考慮します。
(マッキー)
ベンチレーターは理屈だけでなく、
実践も大事
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