臨床研修ブログ
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低カリウム血症
今回は、J2のナス顔研修医が経験症例をもとに低K血症についてまとめてくれたのでシェアします。
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カリウム(K)の正常範囲としては3.6~5.0mEq/Lであり、主にそれ未満の値を低K血症といいます。特に血清K2.5mEq/L未満になると筋力低下や不整脈が起こる可能性が高くなり、循環器内科Drから言わせれば高K血症よりも低K血症の方が怖いとのこと(だいぶ意外でした)。
高K血症はなんとなく危ないイメージだからこの一年で対応は学べたけど、そもそもなんで低K血症になるんだろう?そんな迷える研修医の先生の方々(自分も含め)のために実際に経験した症例を踏まえて低Kの鑑別の仕方についてまとめました。
症例は80代男性。誤嚥性肺炎で入院しました。入院時の採血でK3.2と低値であり、内服薬の中に利尿剤などの低K血症を来す疑わしい薬剤もなく、元々入院前のADLは自立して食事摂取も良好だったのですが早急にPICC挿入し補正を開始しました。
ここで、低K血症の原因として、
①細胞内へのシフト
②腎からのK喪失
③腎外でのK喪失
これらを考ていきます。
低K血症を見た時は病歴の聴取や薬剤の確認のほかに、まず随時尿で尿中Kと尿中Cl、血液ガスを調べます。
尿中Kが20mEq/L未満の場合、③の腎外でのK喪失を考えます。具体的には摂取不足、嘔吐、下痢がないかを確認します。消化管の術後やイレウスなどで胃管挿入中も同様に低K血症になります。
尿中Kが20mEq/L以上の場合、まず②の腎からのK喪失を考えます。しかし微妙な時は①の細胞内へのシフトも含めて考える必要がでてくるので、血液ガスをチェックします。①の細胞内シフトは、アルカローシス(代謝性・呼吸性とも)やインスリンの使用、周期性四肢麻痺などでみられます。
②の腎からのK喪失では高血圧の有無を確認します。高血圧の既往があるならアルドステロン症や腎血管性高血圧などが鑑別となるので、レニン、アルドステロンを測定します。
高血圧の既往がなければ血液ガスをもう一度確認し、アシドーシスがあってHCO3<22mEq/Lなら尿細管性アシドーシスの可能性が出てきます。
高血圧なしでアシドーシスもなく、HCO3が低下していなけば、次に尿中Clを確認します。尿中Clが10mEq/L未満であれば嘔吐や利尿薬使用後を考えます。尿中Clが10mEq/L以上であれば利尿薬、Bartter症候群、Gitelman、Mg欠乏などを考えます。薬剤の中で合成ペニシリン、アミノグリコシドなどの抗菌薬も低K血症の原因になるそうです。
鑑別疾患が非常に多くあり、ちょっと分かりにくくなりましたが、低K血症を見たときは尿の電解質と血液ガスをチェックして鑑別を考えていきます。
ちなみに冒頭の症例は、入院時に呼吸性アルカローシスを呈しており、点滴や経口でのK補充でも当初はあまり改善しませんでした。しかし肺炎の改善とともにK補充なしで正常範囲になったことから、アルカローシスの影響と考えられた症例でした。
(ナス顔研修医)
鑑別を考え中
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