臨床研修ブログ
水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
医師の生涯のうち最も実りある初期臨床研修期間を私たちは強力にサポートします。
救命救急センターだより「医療とお金」
皆さんこんにちは。空飛ぶ消化器内科医をめざすNaoです。
突然ですが、皆さん、命とお金どちらが大切でしょうか?命は金に換えられない。かけがえのないものだ。本気でそう思いますか?
僕は昔ブラックジャックを好きでずっと読んでいましたが、ブラックジャック先生は、この質問をずっと患者に投げかけ続けていました。金のあるものはいとわずブラックジャック先生の最高の医療を享受でき、金のないものは苦労して金を工面してブラックジャック先生の医療を受ける。資本主義の最たるものなのかもしれません。
さて救命センターで使用する薬剤には非常に高額なものがあります。例えば抗凝固薬の拮抗薬であるイダルシズマブやヒトプロトロンビン複合製剤などはそれぞれ1回あたりの薬剤コストが20万や15万ほどかかります。抗DIC薬のトロンボモジュリンアルファは1日当たり8万程度のものを数日間投与します。
抗がん剤治療に目を向けますと、ニボルマブという薬剤は発売当初の話ですが、1年あたりの一人の薬剤費が3500万円に上るといわれていました(現在は薬価改定されています、依然として高価ですが)。
私たちの使用する薬剤のコストは医療費という形で、みんなで背負っているわけですが、これがもし、日本の皆保険制度が破綻し、全て自費診療となった場合に、それでもなお、お金より命が大切だと言えますか。
コロナで人工呼吸器からECMO, CHDFとなった場合に、1日当たり10万円以上のお金をかけて延命していくわけですが、1日10万円のお金を全額自分で払うとなった場合にも、お金より命が大切だと言えますか。
実際に医師として働く中では、こっちの薬よりこっちのほうが効果は強いけど、でも効果のわりに薬価は倍違うし…など色々な小さなことを天秤にかけながら医療を推し進めていくことになります。それでも、日本の医者はまだいいほうですね。みんな保険に入っていますから、自費診療の患者さんの懐具合を心配する必要は殆どの場合ありません。
救命センターにはいろいろな事情で医療に近づけなかった人が、消えかけの灯状態で搬送されてくることが多々あります。でも、救急外来では、目の前の消えゆく灯を保ち続けるために、とにかく全力を尽くし続けます。そこに打算はありません。こんな医療を行ったら費用が、この薬剤を投与したら費用が、などと細かいことを天秤にかけて検討している間に灯が消えてしまうのです。ですから目の前の患者さんにとにかく全力を尽くします。
なので、あとで「あちゃーっ」となることもないわけではないのですが、それも含めて救命センターは楽しいところです。
ちなみに当院は済生会の一員でありますので、命は金に換えられない、かけがいのないもので、それに最も近い医療ができる場所であると思います。当院は、医療者としての技術だけでなく、心も育てられる、そんな研修病院であると思っています。
(Nao)
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