
臨床研修ブログ
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SGLT2阻害薬の落とし穴(その2)
今回も研修医のマッコイ先生の記事の続きです。
<DKAの主な所⾒>
・DKAの主な初期症状としては、悪⼼・嘔吐、⾷欲減退、腹痛、過度な⼝渇、倦怠感、呼吸困難、意識障害など
・⾝体所⾒では、Kussmaul⼤呼吸(過呼吸)、呼気のアセトン臭、⼝腔粘膜の乾燥、低⾎圧、頻脈などが主なものとなる
・アニオンギャップ開⼤性の代謝性アシドーシス(AGMA)
・⾎糖:250~1,000mg/dL
・⾎清総ケトン体≧3mmol/L
・HCO3≧18mEq/L
・pH≦7.3
以上が⼀般的なDKAの簡単な所⾒です。
次に、はぐれDKAとでも⾔いますか、euDKAについてまとめます。
<euDKA(WHO pharmacovigilance database)>
・上記の通り、DKAは典型的には⾼⾎糖があることが特徴ではあるが、SGLT2阻害薬内服中、妊娠中、⾷事摂取量低下(飢餓)、アルコール使⽤障害や肝硬変などでは1/3以上の割合で⾼⾎糖がない(<250mg/dL)が認められないことがある
・⾼⾎糖ではないことと、⾼⾎糖による浸透圧利尿が軽度であることから診断が遅れる可能性がある
・SGLT2阻害薬の観察研究によれば…1型糖尿病患者でのDKA発⽣頻度が相対的に⾼い
1型糖尿病…7.3 events/1000 patients-years
2型糖尿病…1.3-8.8 events/1000-years
・特に治療開始から最初の数か⽉でリスクが⾼くなる
・DKAイベントの76.8-85.2%が、SGLT2阻害薬開始から180⽇以内に発症している
・⾼⽤量の使⽤は低⽤量に⽐較して4.9倍リスクが⾼い
今回はここまで。
次回はこれらを踏まえて、当初の疑問である「SGLT2阻害薬内服している⼈で意識障害起こして救急搬送されたら何に気を付ける?」の答えとしてどこで疑って検査に進み、診断をつけたら良いかを考察したいと思います。
(マッコイ)
朝の慌ただしいEHCUの一コマ
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