臨床研修ブログ
水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
医師の生涯のうち最も実りある初期臨床研修期間を私たちは強力にサポートします。
Fisher症候群・・・山中先生のZoomレクチャー
先月のことになりますが、今年度2回目となる山中克郎先生のZoomレクチャーを開催しました。
山中先生は、福島県立医大会津医療センター総合内科の教授として活躍されていますが、総合内科の大御所の一人です。著書もたくさんあります。
コロナ前は当院にお越しいただいていましたが、コロナになってからは年に2回のペースでZoomでのレクチャーをお願いしています。今年度は昨年5月に開催しましたが、それに続いてのレクチャーとなりました。
今回は神経内科領域の話題でした。その中から1つシェアしたいと思います。
40歳代男性が「ふらつき」と「話しにくい」を主訴に受診。病歴では2週間前に友人と焼肉を食べて、その後発熱と水様性の下痢を来しました。3日前からふらつきと話しにくさ、むせこむようになりました。受診時は複視の訴えもありました。身体所見では左右の眼球運動が悪く、嚥下障害と構音障害を認めました。膝踵試験は両側で稚拙。さらに上腕二頭筋、上腕三頭筋、膝蓋腱、アキレス腱反射は消失していました。さて、疾患は?? (ちなみにJ1の研修医S先生は見事に診断していました♪)
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急性の外眼筋麻痺、運動失調、腱反射消失があり、さらに抗GQ1b IgG抗体>3.00 陽性が判明し、Fisher症候群と診断されました。
Fisher症候群
• ①急性の外眼筋⿇痺、②運動失調、③腱反射消失
• 瞳孔異常、眼瞼下垂、顔⾯神経⿇痺、球⿇痺、四肢の痺れ
• 先⾏感染(インフルエンザ桿菌、カンピロバクター)後に発症。1~2週間の進⾏後に⾃然軽快
• ギランバレー症候群の亜型
• ⾎清ガングリオシドGQ1b IgG抗体陽性(80-90%)
• 動眼、滑⾞、外転神経はGQ1bが豊富
• 男︓⼥=2︓1 平均発症年齢40歳
• 意識障害などを起こしBickerstaff型脳幹脳炎に移⾏することあり
さらに、今回の契機となったのは焼肉(たぶん生焼けの肉)からのカンピロバクター感染ですが、これについてもまとめていただきました。
カンピロバクター感染症
症 状)・⽔様性下痢(しばし⾎便)
・臍周囲の腹痛
・嘔気/嘔吐
・前駆症状︓発熱、悪寒、頭痛、倦怠感
その他)・潜伏期︓2-7⽇
・最も多い⾷中毒
・5-6⽉、9-10⽉に多い
・鶏⾁の>50%は感染
・⼗分加熱されていない鶏⾁は危ない
・ギラン・バレー症候群と関連あり
(編集長)
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水戸済生会総合病院の臨床研修は
総合診断能力を有するスペシャリスト
を目指します
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