臨床研修ブログ
水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
医師の生涯のうち最も実りある初期臨床研修期間を私たちは強力にサポートします。
低ナトリウム血症の対処・1
あなたが内科外来をやっていると、
予約外で患者さんがやってきました。
普段はスタッフの先生が外来フォロー
している患者さんですが、
外来の予約日を勘違いして
受診してしまったようです。
診察前にざっとカルテに目を通すと、
70歳代の男性で8年前に陳旧性
心筋梗塞による心不全のため
入院歴があり、PCIも行っています。
その後は心不全での入院や
狭心症状もなく経過。
他には糖尿病、高血圧、脂質異常症も
内服薬が処方されていました。
いつも通り診察前に採血がオーダー
されていて、結果がでたので次に呼ぶ番
になりました。
検査データを確認すると、HbA1cは6.9%と
いつもと変わりなさそうです。
でも、Na117mEq/lと著明な低Na血症
になっています。前回2か月前の採血では
Na136mEq/lと正常範囲でした。
看護師さんがカルテに記載してくれた
バイタルは問題なし。その看護師さんの
話では、患者さんの様子は
いつもと変わりなそうとのこと。
少々ビビりながら患者さんを診察室呼び入れ
ましたが、患者さんはニコニコして元気そう。
特に倦怠感の訴えも意識障害もありません。
患者さんの電解質異常には、良く遭遇すると
思います。中でも低Na血症は入院中の
患者さんでよく見かけます。特に経口摂取せず、
輸液や経管栄養で管理している患者さんの
電解質異常は我々の責任ですから、
正しく対処できる必要があります。
冒頭の症例に戻りますが、
Na値が117mEq/lというはパニック値です。
パニック値とは
「基準値から明らかに外れていて、
危機的な状態であることを示す値」
と定義して良いと思います。
もちろん見なかったことにするのはNGです。
でも症状がないとなると悩んでしまいます。
こんな時、あなたなら最初に何をしますか?
↓
↓
編集長なら、症状と検査データに解離
があるので、最初に電解質の再検をします。
他に利尿剤や電解質に影響しそうな
薬剤を確認します。
この患者さんの内服薬は
利尿剤としてフロセミド20㎎と
スピロノラクトン25㎎を服用していました。
他に中等量のARBや少量のβ遮断薬、
そしてスタチンと抗血小板薬。
糖尿病はメトホルミンとDPP4阻害薬。
患者さんにお願いして、再検しましたが
同様にNa118mEq/lでした。
やはり低Na血症は間違いないようです。
では、原因を鑑別していくために、
どんな検査をオーダーすればよいでしょう?
次回から鑑別の進め方を紹介しますが、
あなたも考えてみて下さい。
(編集長)
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