臨床研修ブログ
水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
医師の生涯のうち最も実りある初期臨床研修期間を私たちは強力にサポートします。
小児を診察はPATから・・・・第26回鑑別診断道場より
前回は小児の発熱で除外すべき
疾患を紹介しました。特に3か月未満の
小児の発熱は要注意です。
なぜなら、重症細菌感染症の頻度が
10~15%と高いにも関わらず、
発熱以外の症状がはっきりしない場合も多い。
そして身体所見では重症細菌感染症の
除外が困難だからです。
身体所見があまりあてにならないので
「何となく元気がない」が大事ですが、
それを評価するのが、
PAT(Periatric assessment triangle)です。
PATは「あれっ、なんだかこの子やばそう」
というのを
Appearance(外観・見かけ)
Work of Breathing(呼吸仕事量)
Circulation(循環・皮膚色)
で評価します。
Appearanceは「見た目が元気そう」
ということですが、具体的には
・筋緊張(ぐったりしていない、
手足を動かす)
・疎通性(呼ぶと振り向く、笑う)
・精神的安定(抱っこすると泣き止む)
・視線(視線を合わせる、おもちゃを
目で追いかける)
・会話/泣き声(声を出している)
これらが出来ていればOKと判断します。
Work of Breathingでは
・呼吸の速さ
・努力呼吸
・明らかな呼吸音の異常の有無
これらに注目します。
聴診器なしで呼吸音が聴こえたらヤバイし、
陥没呼吸(Retraction)が肋骨弓下や
胸骨下だけでなく、鎖骨上窩や胸骨上、
胸骨で見られたら重症です。
Circulation (to Skin)は
大人と違って、小児はバイタルサインが
循環動態を正確に反映しないうえ、
年齢によって正常値が異なるので
なかなか使いにくいのですが、
皮膚の状態が、全身の循環動態の
指標になります。
例えば皮膚の蒼白、チアノーゼ、
まだら模様は危ないサインです。
また、毛細血管再充満時間(Capillary
Refilling Time:CRT)も良く用いられます。
CRTは成人と異なり、小児では四肢を
心臓よりやや高い位置に持ち上げた
状態で、四肢の皮膚を押して素早く離し
ます。押した部分の皮膚の色が戻るまで
に何秒かかるかを確認し、正常なら2秒
以内に皮膚の色が元に戻ります。室温で
評価しないと間違えてしまいます。
ERを受診した小児を観察して、
笑顔が見られ、おもちゃに目を向ける
(Appearance)
頻呼吸や陥没呼吸なし
(Work of Breathing)
チアノーゼなし、末梢冷感なし
(Circulation)
ならば、PAT異常なしとして、現時点では
全身状態は良好と判断してください。
もちろんPATは3か月以上の小児でも、
使うことが出来ます。
(編集長)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
◆病院見学に来ませんか?
どうやって研修病院を決めたらいいのか
分からない・・・。
それには病院見学をするのが一番です。
さらに直接研修医から話を聞くのがベストです。
実際に見学に行くと、想像以上に雰囲気が
違うことに気づくでしょう。
ぜひ冬休みを利用して、当院へ見学に
お越しください。あなたの目でリアルな
研修生活をのぞいてみて下さい。
病院見学や、その他のご質問・お問い合わせは
こちらからご連絡ください。
↓
http://www.mito-saisei.jp/resident/contact.html
◆感想やコメントはFacebookページから
お願いします!
↓
https://www.facebook.com/mitosaiseikai/
—–