臨床研修ブログ

水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
医師の生涯のうち最も実りある初期臨床研修期間を私たちは強力にサポートします。

麻疹に注意

2019.06.04

当院のHPでもお知らせしていますが、

先月、麻疹患者が当院のERを受診した

ので、注意喚起を行っています。

 

麻疹は一度診察すれば忘れませんが、

とにかく患者さんがぐったりして、

とても辛そうで、重症感が半端

ありません。

 

いろいろとニュースになっていますが、

国内各地で麻疹患者の報告が相次いで

いるので、国立感染症研究所のHPを

時々チェックすることをお勧めします。

国立感染症研究所の麻疹情報

 

麻疹に関して覚えておくことは

・空気感染、飛沫感染、接触感染など

 様々な感染経路を持ち、感染力が

 非常に強い(すれ違っただけでも

 感染します)。

・潜伏期間は10~12日

・治療法は予防接種のみ。発症して

 からは対症療法しかない

・二大死因は肺炎と脳炎

・罹患後平均7年の経過で発症する

 亜急性硬化性全脳炎(SSPE)

 は国試でも出ますね。

 

さらに修飾麻疹というものがあります。

これは麻疹に対する免疫が不十分な

人が麻疹を発症すると、症状は一般的に

軽く、発疹も非定型的になり診断が

困難となります。感染力も通常より

弱いとされていますが、麻疹患者との

接触歴が重要になります。

 

ワクチン接種歴や渡航歴に加えて、

麻疹患者との接触歴がないかを

詳細に聞き出すことが重要になって

きます。

 

最近は海外からの持ち帰り例が多い

ので、患者さんの職業や渡航歴の

聴取を忘れないだけでなく、

ニュースなどの報道にも関心を持って

おきましょう。

 

ちなみに、先月の麻疹患者を診断した

のはJ1の研修医です。休日のERでしたが、

本人曰く「麻疹だったらヤダナー」と

初めから鑑別に挙げて診察を始めて、

すぐにコプリック斑を見つけたそうです。

 

それを受けて、当日の後期研修医が

すぐにICT(感染対策チーム)に連絡をして、

患者を隔離、保健所への連絡を行いました。

 

ICTのメンバーからは、かなり迅速な

対応ができたとお褒めの言葉をいただき

ました。

 

あなたが当直しているときに

麻疹患者が来るかもしれません。

まさか遭遇しないだろうと

油断しないようにしてください。

(編集長)

ERの一コマ

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

◆第20回水戸医学生セミナー 

~内科と救急のエッセンスを体験しよう~

 

令和元年8月2日(金) 3日(土) 

2日間で開催します。

 

多発外傷患者が搬送されて来た時、

初めに何をしますか?

 

もし多数傷病者が発生する多重事故や

災害が発生した時、あなたが最初に

するべきことは何ですか?

 

大学では教えてくれない現場での対応を、

この「究極の体験型セミナー」で

身に付けてください!

 

現在参加者受付中です。

詳細はこちらから

 

 

◆病院見学や、ご質問・お問い合わせは

こちらからご連絡ください。

◆感想やコメントは

Facebookページからお願いします!

https://www.facebook.com/mitosaiseikai/

—–