臨床研修ブログ
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抗菌薬の整理法10 抗MRSA薬その2
松永先生の感染症カンファから、
今回は抗MRSA薬の使い方です。
MRSAの治療薬として、以下の
4つが代表的なものとして挙げらます。
[バンコマイシン(VCM)]
・点滴、経口
・MRSA感染症治療の第一選択
・グラム陽性菌にのみ有効であり、
MRSAにも有効
・経口の場合は、クロストリジウム
ディフィシル(CD)に対して
・主な副作用
①腎障害(他の腎毒性薬併用時)
→予防:4日以上投与する場合は
血中濃度測定(トラフ値)を行う
※トラフ値:薬物を反復投与した際の
定常状態における最低血中薬物濃度。
VCMでは目標トラフ値は10-20に保ち、
腎機能が正常ならば15-20を保つ。
10以下では、MRSA感染症治療の
有効性が低く、耐性株の発現リスクあり
20以上では腎毒性の発現が高率となる
②レッドマン症候群
VCM急速投与でヒスタミンが遊離し、
体幹上部の皮膚が発赤する
→予防:1時間以上かけて投与する、
抗ヒスタミン薬を併用する
[テイコプラニン(TEIC)]
・タゴシット®(点滴)
・VCMに類似した抗菌薬であり、
トラフ値測定が必要
・ただし、VCMより優れているという
データはなく、第一選択とはならない
・VCMより副作用の頻度が少ない
・何らかの理由でVCMが使用できない
時、比較的安全に使用できる
[ダプトマイシン(DAP)]
・キュビシン® (点滴)
・グラム陽性菌にのみ有効であり、
MRSAにも有効
・血中濃度測定が不要
・使用する際の注意点
①肺炎には無効(肺サーファクタント
により不活化されるため)
②髄膜炎に無効
(髄膜移行性0~8%と不良のため)
③CK上昇がないかフォローが必要
[リネゾリド(LZD)]
・ザイボックス(経口・点滴)
・グラム陽性菌にのみ有効であり、
MRSAにも有効
・経口薬があり、外来治療が可能
・肝排泄型であり、腎機能障害が
あっても使用できる
・副作用頻度が増加するため、
原則として4週間を超えて使用しない
特に≧2週で血小板減少、骨髄抑制
特に≧4週で末梢神経障害、視神経炎
SSRIとの併用でセロトニン症候群
[アルベカシン(ABK)]
・ハベカシン®(点滴)
・アミノグリコシド系抗菌薬
・通常、アミノグリコシド系は原則として
グラム陰性桿菌にのみ有効だが、
アルベカシンは例外的にMRSAを
カバーする。
・通常は上記4つが用いられることが
多く、あまり使用されない。
松永先生のカンファ中
〈参考文献〉
・感染症プラチナマニュアル2020
(岡秀昭著)
・使いこなす抗菌薬
(天沢ヒロ著)
(リサ)
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