臨床研修ブログ

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梅毒の診断

2022.09.15

前回は梅毒の臨床症状についてまとめました。今回は梅毒の診断についてです。

 

基本的には感染初期(第一期・第二期)以外は潜伏する疾患であるため、血清学による診断に依存します。

 

①非トレポネーマ抗原による検査

梅毒に感染するとリアゲンと呼ばれる脂質と反応する抗体を産生し、この抗体を検出するのにRPRVDRLなどがあります。定量化することで疾患の活動性や治療に対する反応の指標となる点で有用です。感染直後(リアゲンに対する抗体産生まで3-6週間必要)や第三期梅毒(特に脊髄ろう)では偽陰性となることに注意が必要です。また、膠原病や急性ウイルス性疾患、Hansen病、妊婦などで生物学的偽陽性になることもあります。

 

②トレポネーマ抗原による検査

TPHAFTA-ABSで検出します。感度が高く(80%以上)、感染初期や第三期梅毒で非トレポネーマ抗原抗原検査が偽陰性を示すときでも、真の陽性を示します。また特異度も高く、非トレポネーマ抗原検査による陽性が偽陽性か真の陽性かを確認できます。トレポネーマ抗原検査は一度陽性となれば生涯陽性です。

 

まとめると以下の表になります。

 

なお、どの病期であっても神経梅毒を来しうるので、常に神経梅毒も鑑別に挙げておく必要があるそうです。神経梅毒の診断は以下の条件を満たす必要があります。

 

・トレポネーマ抗原検査で陽性。

・髄液5mm3中に最低5つの単核細胞が存在+髄液蛋白>40mg/dL

・髄液中のFTA-ABSやVDRLが陽性。

 

*梅毒は5類全数把握疾患でRPR値が16倍以上の場合は7日以内に保健所に届け出が必要なことも覚えておいてください。

(新潟県産もやし)

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