臨床研修ブログ
水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
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成人Still病
県央レジデントセミナーで行った症例提示からのシェアです。前回は皮疹を伴う発熱患者を診察する時のポイントをシェアしましたが、その患者さんの診断は成人Still病でした。そこで今回は成人Still病についてのまとめをシェアします。
Still病とは関係ないですが、10月30日に水戸漫遊マラソンが開催され、研修医もランナーとして、また救護ボランティアとして参加しました。インスタにありますのでぜひご覧ください。
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どうもこんにちは。新潟県産もやしです。10月20日にレジデントセミナーが開催され、症例発表させていただきました。とても緊張して、早口になったり、視聴者の質問に上手く答えられなかったりと反省点が多々ある発表でしたが、良い経験になったと思います。
さて、今回症例提示した患者さんは成人Still病でしたので、成人Still病について少しまとめたいと思います。成人Still病は全身性の炎症疾患で病因は不明です。比較的若年成人女性に多いですが(平均年齢38.1歳)高齢者の発症例も報告されています。
【臨床徴候】
T細胞やマクロファージの活性化に伴う高サイトカイン血症によって引き起こされる多彩な臨床徴候を呈します。頻度が多いものとして高熱、関節痛、皮疹がありますが、咽頭痛、筋痛、眼球症状、神経症状、心筋炎などもきたします。多くは敗血症を思わせる臨床像で来院されるため、発熱+皮疹やリンパ節腫脹、関節痛の鑑別疾患として成人Still病を挙げましょう。
・発熱:39度以上に上昇し、解熱する弛張熱の熱型をとります。感染症とは異なり、消耗性が少なく解熱時には比較的元気で食欲もあります。
・関節痛:膝、手首、足首、肘、肩などの比較的大きな関節の関節痛や関節炎が多いです。関節炎の程度は体温と並行することが多く、高熱時に疼痛や熱感は著明となりますが、解熱時は症状改善します。
・皮膚症状:サーモンピンク疹と表現される紅斑性丘疹で直径は数mm程度です。特に初期には発熱時にのみ出現しやすく、解熱時に消褪します。掻痒感が少ないのも特徴です。
【診断】
感度・特異度ともに高い山口らの成人Still病の分類基準が用いられます。合計5項目以上(大項目は少なくとも2項目以上)で成人Still病と分類されます。
【治療】
NSAIDsとステロイドが基本的な治療です。
・軽症例(発熱と関節症状が主体で臓器病変を伴わない):NSAIDsのみで寛解にいたります。
・多くの症例:中等量のステロイド(プレドニン20-40mg)を用います。
・重篤な臓器病変(間質性肺炎、漿膜炎、中枢神経症状)を伴う重症例:ステロイドパルス。トシリズマブ(IL-6阻害薬)を使用することもあります。
成人Still病はなかなか遭遇する疾患ではないかもしれませんが、成人Still病を疑った際は参考にしてみてください。疾患特異的な徴候や所見はなく、特に病初期には典型的な所見が揃わないことが多く、診断が難しいです。診断するときに大切なことは、盲目的にならず除外すべき疾患(悪性腫瘍、感染症、膠原病)をしっかりと鑑別にあげることです。
(新潟県産もやし)
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