臨床研修ブログ

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救命救急センターだより「ECPELLA」

2022.12.15
カテゴリー: 救命救急センター

空飛ぶ消化器内科医を目指して修行中(いつまで続くんだろう…)のNaoです、こんばんは。

 

当院の救急科Drs+研修医たちはメールでつながっており(slackやteamsではないところがポイント)、毎日情報交換が行われています。そこで救急対応や集中管理で必要な知識を適宜共有してくれます。先日の救急医学会に関する話題が出ていた中で、「ECPELLA(エクペラ)」という言葉が出てきました。

 

ECPELLAの話の前に皆さんはE-CPRというものをご存じでしょうか。心肺停止例に対して心臓マッサージは当然行うのですが、これにV-A ECMOを導入することで(E-CPR)救命を図る方法です。PCPS研究会からの報告では2015年度のE-CPRによる救命率は44.6%に達したとされています。E-CPR症例は多少症例が選別されているかと思いますので、何でもかんでもE-CPRすれば救命できるというものではありませんが、症例を選ぶと単に救命率の向上だけでなく、救命後の神経学的予後を含めた向上が期待されます。

 

しかし、救命のためにV-A ECMOには悪い点もあります。それは、心停止から回復直後の心臓は機能が落ちていることが多く(有効な血圧が出せない、EFが保たれていないなど)、どうしてもV-A ECMOによるサポート量が多くなります。それでも、心機能の改善とともに機会によるサポート量を減らしてECMO離脱可能な症例がほとんどです。しかしながら、ECMO依存度が高い心臓の場合、V-A ECMOによる後負荷の増大がかえって回復の妨げになるということがあります。

 

ここで登場するのがIMPELLA(インペラ)であり、IMPELLA(インペラ)とECMO(エクモ)の組み合わせが、ECPELLA(エクペラ)といい、今後大きく期待されている領域です。

 

さて皆さんはIMPELLAをご存じでしょうか。IMPELLAは左室負荷を直接軽減する補助人工心臓の一つです。実は当院は茨城県で2番目にIMPELLAが可能となった施設で、2019年に施設認定を受けています。

 

IMPELLAは・・・と話を続けようと思ったのですが、話が長くなるうえに、よく見てみたら当院の循環器内科のホームページでとても詳しく解説されていますのでそちらを診てもらったほうが良いでしょう。

 

IMPELLA、ECPELLAについて

 

3次救急の世界は、治療法があるだけではだめです。救命に携わる者が、その治療法があることを理解していないといけません。ECPELLAは医療コストはかかる治療ですので、乱発することは許されませんが、これにより職場復帰している症例が少なからず存在していることもまた事実ですので、いざというときの一つの治療手段として皆さんも覚えていてください。

 

研修医のうちに救急救命の世界を見ておきませんか?将来、救急医になるつもりがないあなたこそ、初期研修中に三次救急の世界で一緒に戦いましょう!待ってます!

(Nao)

ERの一コマ

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