臨床研修ブログ

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救命救急センターだより「急性アルコール中毒」

2023.01.28
カテゴリー: 救命救急センター

皆さんこんにちは。2023年も空飛ぶ消化器内科医をめざすNaoです。こんにちは。

 

年末年始、成人式と12~1月は酩酊状態の患者さんが搬送されてくる事例が多数あります。急性アルコール中毒のほか、アルコール+喧嘩、アルコール+交通事故など色々な形でアルコールが絡んでくる時期です。

 

コロナでアルコールは下火でしたが、この年末年始は復活してきましたね。この後、春に向けて花見や送別会、新年会がありますので、また風物詩的にアルコール患者さんと向き合う時期だなーっと思っております。

 

さて、前置きが長くなりましたが、今までは酩酊状態の患者さんが来ると補液をガンガンしておしっこ出して薄めろー!ってやっていたのですが、先日救命の先生に、その考え方は本当に正しいですか?と聞かれて、はっとして調べてみました。

 

オーストラリアで行われた研究では144名の急性アルコール中毒患者に対して20ml/kgの生食ボーラス投与群と経過観察のみの群でランダム化比較試験が行われました。病院滞在時間は輸液群では287分、経過観察のみの群では274分で有意差はなく、そのほかバイタルサインや血中アルコール濃度の変化、その他症状においても有意な差は認められなかったは認められなかったとのことです。

 

日本においては東京ベイ・浦安市川医療センターからの短施設の後ろ向き研究で、106例の急性アルコール中毒患者さんについて点滴群と非点滴群で滞在時間を比較したところ、点滴群で254分、非点滴群で189分と有意差はないものの点滴群で長い傾向でした。年齢や性別、外傷の有無などを調整して多変量解析を行ったところでは、点滴群では非点滴群に比べ、有意に早期帰宅が半減していたとのことです。

 

この二つの研究から言えることは、点滴することが早期帰宅につながることは、少なくともないという点でしょうか。だって、アルコールって肝代謝ですもんね。消化器内科医なのに頭に入っていませんでした(笑)

 

ただ、アルコールにより脱水をきたしている部分もありますので、脱水の補正という意味での補液は必要になることもありますから、現場判断ということになりますよね。救急搬送されてきて、点滴の一本もないのか!って怒る方も、酔っていると特にありますし。。。

 

ということで、皆さんも固定観念にとらわれず、自分の考えを疑うことも忘れずに!という話でした。

(Nao)

ERの一コマ

(酩酊者の対応ではありません)

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