臨床研修ブログ

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インスリンを処方する時に覚えておくべきこと

2023.03.04
カテゴリー: カンファレンス 内科

病棟で看護師さんから「インスリンがもうなくなるので処方して下さい」と言われました。つい2日前にその患者さんに処方した記憶があるけど・・・、と思いつつ言われた通りに処方しましたが、どうもスッキリしません。

 

ちなみにその患者さんは、入院前には3種類の経口糖尿病薬を処方されていましたが、今回は肺炎で入院して、血糖コントロールが悪化していたのでインスリン強化療法を行っていました。具体的にはノボラピッド朝14単位、昼10単位、夕10単位とグラルギンを眠前に12単位で打っています。実は2日前に処方したのはグラルギンで、今日言われたのはノボラピッドの方でした。

 

さて、あなたはグラルギンが何日で無くなるか、ノボラピッドは次に何日後に処方しなくてはいけないか、分かりますか?

 

研修医に聞いてみると、たいてい答えが返ってきません(笑)。でも難しくないので、覚えておくと便利です。

 

患者さんが使うインスリンには、プレフィルドタイプとカートリッジタイプの2種類がありますが、いずれも1本あたり300単位入っています(ランタスXRという製剤のみ450単位入っています)。そして、インスリンを1回打つごとに、空打ち分として2単位必要になります。

 

つまり、1回打つたびに「打つ単位数+2単位」必要になることを覚えておけば大丈夫です。

 

冒頭の例で考えると・・・・、

 

グラルギンは1日1回12単位ですから、1日あたり12+2=14単位を使用することになります。グラルギン1本に300単位入っていますから、300÷14=21日分ということになります。

 

ノボラピッドでは、1日3回で14+10+10=34単位となりますが、空打ち分として毎回2単位ずつ必要になるので2×3=6単位

つまり1日あたり34+6=40単位を使用することになります。ノボラピッドも1本に300単位入っていますので、300÷40≒7日分ということになります。

 

そうなると、グラルギンは3週間に1本処方、ノボラピッドは1週間に1本処方でOKということになります。

 

またインスリンの際に必要な注射針についても簡単です。当院で採用されているナノパスニードル®は1パックに14本入っているので、インスリン強化療法(=1日4回打ち)をやっている時は、2パック処方すれは1週間もつことになります。

 

これらを前もって処方しておけば、看護師さんからのPHSが減ることになりますので、ぜひ覚えておいてください。

(編集長)

病棟で看護師さんと情報共有

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