臨床研修ブログ
水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
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救命救急センターだより「 思い込みとの戦い」
空を目指す消化器内科医ことNaoです。
そろそろ「空を目指す消化器内科医」から「空飛ぶ消化器内科医」に昇格したいなと夢見ております。救命センターのボスにも「急変対応がもうすっかり救急医になったね」と言ってもらえてうれしいばかりです。今後は山P目指して、プライベートでも聴診器を持ち歩こうかと思います。
さて、いろんなものを目指しすぎて何が何だかよくわからない状態になっていますが、この記事を書いている今日はゴールデンウィーク初日です。ヘリから地上を診ていると、田植えの準備がすすみ一面水のはられた田畑が広がっており、美しい景色だなと思うと同時に、この時期に一生懸命田植えをしてくださっている農家の方々に感謝の気持ちでいっぱいです。また、茨城の田舎にもたくさんの車が走っていて、活気づいているのが見て取れて大変うれしく思います。
GWとは全く関係ありませんが、先日立て続けに「思い込み」に注意しなければ、と思う症例に出会いました。いずれもヘリ症例でした。
一例目
第一報は、車VS歩行者の交通外傷、歩行者の高齢男性が意識レベル低下しており、切迫するDを疑っての覚知要請。この時点で、僕は重症頭部外傷と「診断」し挿管準備などを整えていました。しかし、この時の救急医は、元脳外科医。第2報で、そのほかのvitalや自然止血された鼻出血などの情報から、内因性先行の症例ではないかと言っていました。
実際に接触してみると、ふらついて車道に倒れこんできた患者をよけきれずに車が接触したものの、撥ねたわけではない、交通事故としてはほぼ接触事故に過ぎないことがわかりました。結果的には内因性の脳出血が先行した症例でした。
二例目
第一報は高齢女性の意識障害、けいれん。接触すると全身性強直性間代性けいれんをきたしており、右共同偏視、右上肢麻痺が認められました。けいれんをとめてヘリへ収容し帰院。自分としてはLVOあるいは脳出血と思っていましたが、脳血管障害としては違和感があるとヘリドクターは言いながら帰ってきました。
胸部レントゲンを撮ると、あれ…?CTでは多発脳腫瘍が認められました。
いずれも思い込みがそこまで大きな問題をきたす状態ではありませんでしたが、時として思い込みが正しい診断を妨げ、正しい治療介入を遅らせることになります。救急医たるもの、判断は早めなければならないが、安易に思い込みで診断してはいけないと思わされる事態でした。
病院前診療は、限られた資材で判断し対応しなければならない分、緊張感はありますがとても楽しいです。あなたも、救急医を目指しませんか?
(Nao)
慌ただしいERの一コマ
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