臨床研修ブログ

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心不全患者でおさえるべきポイント1(基礎疾患)

2024.02.10
カテゴリー: カンファレンス循環器

このところ連日冷え込んでいる影響で、特に高齢者の心不全が毎日のように入院してきます。

 

もしかしたら、あなたも「心不全パンデミック」という言葉も聞いたことがあるかもしれませんが、今でも多い高齢者の心不全が今後はさらに激増すると予想されています。そうなると、循環器内科医だけでは到底対応できないので、たとえあなたが循環器に苦手意識があっても、ある程度は対応できないといけません。

 

そこで今回から心不全患者をみた時におさえておくべきポイントを紹介します。

 

心不全患者の問診や病歴でおさえるポイントは「基礎疾患」「誘因」の2つです。

 

心不全の「基礎疾患」とは、例えば「陳旧性心筋梗塞」による心不全とか、「大動脈弁狭窄症」による心不全(心臓の構造的異常を伴う)、「甲状腺機能亢進症」による心不全(機能的異常による心不全)という感じです。

 

ここで話を少し戻してみますが、「心不全の定義は?」と研修医に質問すると、「EFが低下している」とか「胸水がある」とか、ハズレではありませんが正解とも言えません。

 

日本循環器学会の心不全ガイドラインが2021年版には心不全の定義は以下のようになっています。

 

「心不全」とは「なんらかの心臓機能障害,すなわち,心臓に器質的および/あるいは機能的異常が生じて心ポンプ機能の代償機転が破綻した結果,呼吸困難・倦怠感や浮腫が出現し,それに伴い運動耐容能が低下する臨床症候群」

 

ここにはEFの値も書いていませんし、実際のところEFが低下していない心不全は6割以上とされています。そして症候群ということは、原因がいろいろあるということですので、基礎疾患を明らかにしておく必要があります。そして、基礎疾患が分かれば治療方針もある程度決まってきます。

 

具体的には・・・、

陳旧性心筋梗塞なら、新たな虚血が関与していないか?関与しているとすれば、その虚血を解除するために、冠動脈造影やPCIを考慮します。

 

弁膜症なら、内科的治療には限界があるので、手術適応がないのかを検討。

 

甲状腺機能亢進症なら、甲状腺に対する治療の効果が出るまでの間は内科的治療でねばる。

といった具合です。

 

あなたも患者さんから話を聞く時や、カルテから情報を探す時は、心不全の基礎疾患が何なのかに注意を払ってみてください。

 

次回は「誘因」について紹介します。

(編集長)

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