臨床研修ブログ
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本当に糖尿病は感染の危険因子なのか?
今年度3回目となる松永先生の感染症レクチャーが9月10日に開催されました。平成21年度(2009年度)から15年目になる当院の定番レクチャーです。
今回のテーマは「糖尿病と感染症」でした。あなたも糖尿病患者さんの感染症で怖い思いをしたことがあると思いますが、レクチャーから重要なところをシェアしますので、糖尿病だからと思考停止にならないで頭の中を整理してみましょう。
まずは「本当に糖尿病は感染の危険因子なのか?」
なんか当たり前の気がしますが、でも言われてみるとホントにそうなのか・・・、根拠が希薄な気がしてきました。データでみると、2011年から2020年において糖尿病患者68,555人の死因を分析したところ、感染症の死亡率は17.0%で、一般人口における感染症の死亡率10.3%より高かったそうです。
(中村ら 糖尿病 2024 67:106-128)
また糖尿病患者は非糖尿病患者に比べて感染症による死亡率が4.7倍多かったそうです。
(Algre-Diaz J, et.al. NEJM 2016; 375:1961-1971)
ということで、「糖尿病で発症率が上昇する感染症はある」と言えそうです。
もっとも糖尿病だからと言って、あらゆる感染症が増える訳ではありません。下の表のように糖尿病で見られる感染症には傾向があって、特に皮膚軟部組織感染症が増えることは覚えておくべきポイントだと教えてくれました。
代表的なものとしては、糖尿病性足病変の感染(DM foot infection)があります。これは糖尿病の影響で知覚低下や血流障害を来すため、皮膚潰瘍ができても痛みを自覚せず、そこを侵入経路として皮膚軟部組織の感染を起こしてしまうものです。
糖尿病患者さんで感染のフォーカスが分からない場合には、足などを中心に皮膚所見をよく確認することが重要です。
次回も続きます。
(編集長)
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