臨床研修ブログ
水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
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その心筋梗塞はヤバイのか?
あなたは担当患者さんの既往歴に「心筋梗塞」とか「STEMI」とあったら、それ以上の情報を取りに行っていますか?
もしあなたが循環器内科のローテーションを終えているのなら経験しているかもしれませんが、STEMIといってもPCI後は何事もなく、すぐに退院してその後も入院前と変わりなく生活している人も多くいます。一方で、なかなか退院できなかったり、退院しても心不全などで何度も入院を繰り返す人もいます。さらに元気に過ごしている患者さんの中でも、EFが正常な人もいれば、EFが30~40%と低下している人もいます。
あなたの担当患者さんがこれから化学療法を予定しているなら、レジメの中には心機能に影響するため避けなければいけないレジメもあります。これから手術を受ける患者さんなら、周術期の管理や輸液に注意しなければいけない患者さんもいます。
でも、上述のように心筋梗塞の既往がある患者さんの中でも、ヤバイ患者さんから、ほぼ心配しなくて良い患者さんまで幅広くいるので、心筋梗塞の既往があるだけでレジメが使えないとか、手術ができないと判断するのは良いことではないと思います。
それよりも心筋梗塞の既往がある患者さんの中から「ヤバイ心筋梗塞」の患者さんを、あなたが見つけ出せるようにしておくことが重要です。
では、心筋梗塞の既往がある患者さんのなかで、どこを見れば「ヤバイ心筋梗塞」を見つけ出せるでしょうか?あなたは考えてみたことがありますか?
編集長は心筋梗塞の既往を見つけたら、カルテを遡って以下の項目をチェックしているので参考にしてみて下さい。
・EF
循環器が苦手な人でも知っているのがEFです。循環器内科医にとってはEFが低いだけで恐れることはないのですが、そうは言ってもEFが低い人は注意が必要です。
・発症時の最大CPK
心筋梗塞発症時の最大CPKが分かればチェックしておきます。このCPKは梗塞量(=心筋ダメージ)を反映するので、高いほどヤバイ心筋梗塞と言えます。ザックリですが、CPKが6000以上ならダメージは大きいと思ってOKです。8000以上、特に10000以上なら循環器内科医でも相当にヤバイと考えて慎重に見ているはずです。
・残存病変の有無
心筋梗塞を起こした部位(責任病変)以外に狭窄病変があれば要注意です。
・合併症の有無
心筋梗塞発症直後やPCI中の心室頻拍(VT)や心室細動(Vf)は急性虚血によるものなので、その後はあまり心配いりません。ところが発症から1週間以上経過してからのVTやVfは植え込み型除細動器(ICD)が必要になり要注意です。また、重篤な機械的合併症(乳頭筋不全、心室中隔穿孔、左室自由壁破裂)はそれだけ心筋ダメージが大きいことを意味しますのでヤバイ心筋梗塞です。また心筋梗塞後に心不全を来したのであれば、これだけでヤバイ心筋梗塞と思ってください。
あなたもこれらの情報をカルテから探して、ヤバイ心筋梗塞を見つけ出せるようになってください。
(編集長)
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