臨床研修ブログ
水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
医師の生涯のうち最も実りある初期臨床研修期間を私たちは強力にサポートします。
喘息の診断は?・・・井上先生の呼吸器レクチャーより
「喘息って、どうやって診断するの?」
研修医に質問すると、ほぼ全員が無言になります。
喘息の治療のことは覚えていても、診断となると自信をもって答える研修医はごくわずか。
それもそのはずです。
喘息の定義を確認してみると、「気道の慢性炎症を本態とし、変動性を持った気道狭窄による喘鳴、呼吸困難、胸苦しさや咳などの臨床症状で特徴づけられる多様性を有する疾患」とフワッとしたものになっていて、例えば、COPDのように「1秒率が70%未満」など、数値では定義されないのが喘息の難しいところだと言えます。
先日のことですが、そんな喘息に関して山形大学呼吸器内科の井上先生にレクチャーしていただきました。
喘息の特徴をまとめておくと、
・喘息は小児から高齢者まですべての年代において発症し得る疾患
・喘息の診断には臨床症状がより重要であるため、詳細な問診が必要
・喘息の診断には「ゴールデンスタンダード」となりうる客観的指標はない
・症状の中で最も特異性の高い症状が「喘鳴」、最も頻度が多いのが「咳嗽」
・喘息を疑う症状(喘鳴、咳嗽、喀痰、胸苦しさ、息苦しさ、胸痛)がある場合には下の問診チェックリストに従って問診を行う
喘息と診断するには問診が重要なのですが、見落としを防ぐために以下の問診チェックリストを利用してください。
<問診チェックリスト>
大項目
喘息を疑う症状(喘鳴、咳嗽、喀痰、胸苦しさ、息苦しさ、胸痛)がある
小項目
〔症状〕
①ステロイドを含む吸入薬もしくは経口ステロイド薬で呼吸器症状が改善したことがある
②喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒュー)を感じたことがある
③3週間以上持続する咳嗽を経験したことがある
④夜間を中心とした咳嗽を経験したことがある
⑤息苦しい感じを伴う咳嗽を経験したことがある
⑥症状は日内変動がある
⑦症状は季節性に変化する
⑧症状は香水や選考などの香りで誘発される
⑨冷気によって呼吸器症状が誘発される
〔背景〕
⑩喘息を指摘されたことがある(小児喘息も含む)
⑪両親もしくは兄弟に喘息がいる
⑫好酸球性副鼻腔炎がある
⑬アレルギー性鼻炎がある
⑭ペットを飼い始めて1年以内である
⑮末梢血好酸球が300/μl以上
⑯アレルギー検査(血液もしくは皮膚検査)にてダニ、真菌、動物に陽性を示す
「大項目+小項目のうちいずれか1つ以上」あれば喘息を疑います。
(喘息診療実践ガイドライン2024)
繰り返しになりますが、喘息の診断は問診から疑っていくことが重要です。あなたもチェックリストを使いながら、喘息を診断できるようになって下さい。
(編集長)
背景は山形の銀山温泉♪
いいところですよ!
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癌性髄膜炎
10月に開催された茨城県内科学会で、当院J1のちくわ先生が発表した症例からのシェアです。
70歳台男性が9日前から頭痛を自覚。さらに2日前から両側の難聴と全身の疼痛が出現し、入院となりました。意識はJCS I-3、GCS E4V4M6で項部硬直はなく、難聴以外の脳神経所見はなく、麻痺や病的反射もありませんでした。
頭部CTで出血や脳梗塞の所見はありませんでしたが、髄液検査で初圧の著しい上昇(>300mmH2O)と細胞数増多、糖低下を認めました。髄液の細胞診から印環細胞癌が、内視鏡で胃癌が見つかり、胃癌に伴う癌性髄膜炎の診断となった症例です。
癌性髄膜炎は遠隔部位の腫瘍から軟膜への癌細胞浸潤を指します。
発症機序としては
・脈絡叢や血管周囲腔への血行性拡散
・頚部リンパ節を介した直接伝達
・傍椎骨レベルでの神経根に沿った拡散
・神経周囲リンパ管や神経鞘に沿った逆行性播種
などが考えられています。
発症率はすべての癌患者のうちおおむね5%前後の報告が多く、疾患別に見ると固形癌では肺癌、メラノーマ、乳癌での発症が多く、それ以外ではALLで比較的高頻度に見られます。
消化管原発の癌ではがん性髄膜炎の発症は少なく、今回の患者と同じ胃癌からの発症は0.14%との報告がありました。全体としては診断精度の向上と癌治療進歩による余命延長から、発症率は増加傾向となっています。
この症例では急激に両側の難聴を来したことが特徴ですが、脳脊髄液は脳底槽や小脳橋角部に停滞しやすく、脳脊髄液中に浸潤した腫瘍細胞がその領域に広がりやすい特徴があるとされており、そこから内耳道に侵入した腫瘍細胞により蝸牛神経の軸索が破壊される説,蝸牛に到達した腫瘍細胞が、直接的に蝸牛の構造破壊を引き起こす説,内耳道に腫瘍が形成されることで内耳動脈が圧迫され、虚血性に蝸牛機能障害を生じる説などが考えられています。
(ちくわ)
なお、ちくわ先生は今回が初めての学会発表でしたが、落ち着いて聞き取りやすく話していたし、会場からの質問にも堂々と答えていて、なかなか立派でした♪
(編集長)
発表中のちくわ先生
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必ず全部読影する!
先日Zoomで開催された、山形大学の井上純人先生による「呼吸器専門医と読む胸部X線写真」からのシェアです。
井上先生が繰り返し強調していたことの一つが前回紹介した「見落としやすい場所を覚えておくこと」でしたが、もう一つ何度も強調していたことがあります。
それが「一つの所見にとらわれずに必ず全て読影すること」です。
でも、全て読影って、どうすればいいのか?そんな時に役立つ読影の順番を紹介します。
井上先生は「小三J」と「人のハイ」の2つの読影法を教えてくれましたが、編集長は研修医らに「人のハイ」読影法を勧めています。大事なことは読影の順番を決めて全て読影することですから、どんな読影方法でもいいのですが、今回はこの「人のハイ」読影法を紹介します。
まず、「人」で気管→気管支→肺門部をチェックします。
「の」で大動脈弓→下行大動脈→心臓を追っていきます。
「ハ」で心臓の輪郭を確認。
「い」で胸膜→CPA→横隔膜→肺野の順にみていきます
あなたも胸部X線写真を見るときは「見落としやすい場所を覚えておいて、一つの所見にとらわれずに必ず全て読影すること」を忘れずに繰り返してください!
(編集長)
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見落としやすい場所を覚えておく
水戸済生会には呼吸器内科の非常勤医がいて外来をしてくれていますが、残念ながら常勤医はいません。
ですが、市中肺炎や高齢者の誤嚥性肺炎など、コモンな呼吸器感染症やCOPDの患者さんを総合内科で担当しています。総合内科には膠原病内科医も加わっているので、ある程度の間質性肺炎などは対応する機会が増えてきたものの、そうは言っても不安なく呼吸器疾患を診療できている訳ではありません。
そこで、2021年度から呼吸器専門医の井上純人(いのうえすみと)先生を講師に迎えてZoomレクチャーを開催するようになりました。
井上純人先生は山形大学の第一内科講師、附属病院教授で、実は編集長と大学の同級生です。山形大学では、ベストティーチャー賞を何度も受賞して、今では殿堂入りを果たしています。教え上手で面倒見がいい先生なので、医学部の学生では知らない人はいません。
今回のテーマは毎年恒例の「呼吸器専門医と読む胸部X線写真」。胸部レントゲンの読み方を、かなり丁寧に教えてもらいました。
井上先生が繰り返し強調していたことの一つに、「見落としやすい場所を覚えておくこと」がありました。見落としやすい場所については下図の4か所ですから、あなたもじっくり見るようにしてください。
最後に恒例となった、レントゲン読影の問題10問にみんなで挑戦しました。昨年に比べて難しめの問題が多かったようですが、後半になると順番に読むこと、見落としやすい場所を把握しておくことのコツがつかめてきた人が多かったですね。
11月と1月にも井上先生のレクチャーを予定しています。このブログを読んでいるあなたも、興味があれば参加できますので、当院にご連絡ください!
(編集長)
レクチャー中の一コマ
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研修医がよく見る鎮痛薬
こんにちは。研修医1年目のえむです。
先日帯状疱疹性髄膜炎の症例を担当しました。患者様は左前額部の皮疹と頭痛、倦怠感があり髄液検査を施行したところ帯状疱疹ウイルスが検出され、帯状疱疹性髄膜炎と診断されました。2週間のアシクロビル投与後症状改善し自宅退院となったのですが、退院時も顔面の皮疹に伴う疼痛を訴えておられました。
鎮痛薬は何を出すのだろうと疑問に思っていたところ、上級医の先生曰くミロガバリンベシル酸塩(タリージェ®︎)2.5mgから様子を見ようとのこと。ミロガバリンか!と今回の症例で学びました。なので今回は研修医の立場からよく見る鎮痛薬を簡単にまとめてみました。
まず今回使用したミロガバリンです。ミロガバリンは電位依存性Caチャネル抑制し痛みを感じる神経伝達物質の放出を抑制します。今回のような神経障害性疼痛に使用します。神経障害性疼痛に用いられるものには他にプレガバリン(リリカ®︎など)があります。ミロガバリンやプレガバリンの重要な副作用にめまい・傾眠があるので注意が必要です。
この2剤の違いについてですが、ミロガバリンの方がプレガバリンよりも後に発売され副作用の出現頻度が低いとされています。鎮痛効果についてはミロガバリンよりもプレガバリンの方が強い印象とのことでした(あくまで指導医の印象です)。通常この2剤を併用することはありません。中止する時1週間以上かけて漸減します。
これらが効かないときは、抗うつ薬であるデュロキセチン(サインバルタ®︎など)やオピオイドとセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害作用(SNRI)をもつトラマドール(トラムセット®︎など)を使ったりします。
他によく見る鎮痛薬は腰痛や尿路結石などで使われるロキソプロフェン(ロキソニン®)やジクロフェナク(ボルタレン®︎など)、関節リウマチなどで使われるセレコキシブ(セレコックス®︎)などのNSAIDSです。
NSAIDSは痛みのコントロールにはとても有用ですが、副作用の消化性潰瘍が有名です。NSAIDSの中でも選択的COX2阻害薬セレコキシブ(セレコックス®︎)は消化管障害が少ないのが特徴です。
実際の臨床では、イルソグラジンマレイン酸塩(ガスロン®︎)とかレバミピド(ムコスタ®︎)が一緒に処方されているのを多く見かけますが、消化性潰瘍の予防にはPPI(ランソプラゾール等)やP-CAB(ボノプラザン)、H2RA(ファモチジン等)が有効でエビデンスも豊富です。
選択的COX2阻害薬の場合は胃十二指腸潰瘍発生に対するリスクの増加はないものの、PPI併用により胃十二指腸潰瘍の発症や潰瘍出血の発症率は有意に抑制されるようです(消化性潰瘍診療ガイドライン2020改定第3版)。
そして、最もよく見かける機会が多いのはアセトアミノフェン(カロナール®︎やアセリオ®️)ではないでしょうか。他の鎮痛薬と比較して副作用が少なく小児や妊婦さんにも使いやすいです。ただ肝機能障害には注意が必要です。
痛みというのはその人のQOLを著しく低下させるものであると思います。いつかは患者さん一人一人に合わせた適切な鎮痛薬を処方できるように勉強頑張ります!
(えむ)
ERでCV挿入中
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副鼻腔気管支症候群(SBS)
遷延性・慢性咳嗽の原因として、今回は副鼻腔気管支症候群(SBS)を取り上げます。
SBSは「慢性・反復性の好中球性気道炎症を上気道と下気道に合併した病態」と定義されています。
ちょっと分かりにくいですが、慢性副鼻腔炎に慢性気管支炎、気管支拡張症あるいはびまん性汎細気管支炎が合併したものです。注意点としては、SBSで出てくる慢性気管支炎はタバコが原因の慢性気管支炎とは別物という扱いです。臨床像としては、慢性の湿性咳嗽、慢性副鼻腔炎による鼻閉感、後鼻漏を呈し、進行例では労作時呼吸困難も見られます。
診断基準としては以下の3点すべてを満たすことですが、さらに鼻汁や喀痰中に好酸球の増加を認めることが特徴とされています。
①8週間以上続く呼吸困難発作を伴わない湿性咳嗽
②次の所見のうち1つ以上を認める
1)後鼻漏、鼻汁、咳払いなどの副鼻腔炎症状
2)敷石状所見を含む口腔鼻咽頭における粘液性あるいは粘膿性の分泌物
3)副鼻腔炎を示唆する画像所見
③マクロライド系抗菌薬や喀痰調整薬による治療が有効
治療としてはマクロライド系抗菌薬(エリスロマイシン600㎎/日やクラリスロマイシン400㎎/日)の長期投与が第一選択となります。ただし、効果があらわれ始めるのは2~4週間目以降とされているので、効果判定は4~8週間で判定することになります。
参考文献:咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2019
(編集長)
ICUで気切造設中
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感染後咳嗽
遷延性・慢性咳嗽の原因として、今回は感染後咳嗽を取り上げます。
外来などで咳が長引く患者さんには、「かぜなどの感染後に咳が長いこと残ることが多くて、感染後咳嗽なんて呼ばれています」といつも説明するのですが、感染後咳嗽の定義は何かと言われると答えられないことに編集長は気づきました。
そこで、定義から確認すると、
「呼吸器感染症(特にかぜ症候群)の後に続く、胸部X線写真で肺炎などの異常所見を示さず、通常、自然に軽快する遷延性ないし慢性咳嗽」となっています。
付け加えると、原因微生物が気道から排除され、抗菌薬治療の適応がない、感染の後遺症としての咳嗽を指しています(マイコプラズマ肺炎や百日咳などは3週間以上となっても気道中に原因微生物が存在することがあるので、この場合は該当しません)。
感染後咳嗽は、臨床的な診断が基本で、以下の3点がある場合に診断されます。
①かぜ症候群が先行していること
②遷延性咳嗽あるいは慢性咳嗽を生じるた疾患が除外できること
③自然軽快傾向がある
成人の遷延性咳嗽に占める感染後咳嗽の割合は35%という報告がありますが、感染後咳嗽に対する特異的な薬剤はないため、中枢性鎮咳薬など非特異的治療となります。なので患者さんへは、禁煙やマスクの着用、飲水やアメなので喉を湿潤させることなどを指導します。咳のピークが過ぎて、他の疾患が除外されていれば自然軽快を待つように指導することも必要となります。
参考文献:咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2019
(編集長)
回診の一コマ
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胃食道逆流症(GERD)その2
遷延性・慢性咳嗽の原因としての胃食道逆流症(GERD)の続きです。
GERDが関与する遷延性・慢性咳嗽の診断については、実際の臨床では詳細な問診と、診断的治療を行って診断をしていきます。疑うポイントとして、以下の特徴を有する慢性咳嗽(特に乾性)ではGERDによる咳嗽を疑っていきます。
①胸やけ、呑酸などの食道症状を伴う
②咳払い、嗄声、咽喉頭異常感などの咽喉頭症状を伴う
③咳が、会話、食事中、体動・就寝・起床直後、上半身前屈、体重増加などのタイミングで悪化(夜間の咳はない/少ない場合が多い)。
④咳き込んで嘔吐してしまう。
⑤咳の原因となる薬剤の服用(ACE阻害薬など)がなく、咳喘息、副鼻腔気管支症候群(SBS)などの治療が無効、あるいは効果不十分。特に咳喘息の治療で夜間の咳は改善したが、昼間の咳が残存する場合にはGERDの合併を疑う。
治療効果による診断確定は、GERDに対する治療(PPI、消化管運動機能改善薬、肥満・食生活の改善)により咳嗽が改善すれば確定できるとされています。
治療については、胃酸分泌抑制薬で高用量のPPIが第一選択になりますが、食道症状の改善は早期に得られるものの、咳の改善には2~3か月かかる場合もあり、改善度も低いようです。このため消化管運動機能改善薬(モサプリドなど)の追加を早めに追加することが勧められていますが、エビデンスには乏しいようです。
保存的療法としては、GERDの危険因子である肥満、喫煙、激しい運動、飲酒、カフェイン、チョコレート、高脂肪食、炭酸飲料、柑橘類、トマト製品、各種薬剤)の回避はしばしば有効で、減量や就寝前の絶飲食、睡眠時の上半身挙上、腹圧を上昇させる衣類を避けることなども有効のようです。
参考文献:咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2019
(編集長)
ERでの一コマ
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胃食道逆流症(GERD)その1
今回は遷延性・慢性咳嗽の原因としての胃食道逆流症(GERD)を取り上げます。
GERDとは、胃酸や胃内容物が胃から食道に逆流することによって、何らかの症状や合併症を生じた状態を指します。欧米では慢性咳嗽の3大原因疾患の一つとされていますが、日本でも増加傾向とされ、食生活や肥満の頻度や程度が欧米に近づいてきたことや、原因疾患としての認知度が高くなってきたことなどが関与していると言われています。
このGERDが咳の原因になる機序は2つあるとされています。1つ目が、逆流が下部食道の迷走神経受容体を刺激し、中枢を介して反射性に下気道に刺激が伝わる機序。そして2つ目が逆流内容が上部食道から咽喉頭や下気道に到達して直接刺激する機序です。
臨床像としては、夜間に咳が好発して食道症状も多いタイプと日中に多く、食道症状が少ないタイプに分けられます。
夜間に多く、食道症状が多いタイプは食道裂孔ヘルニアなどが関与が多いとされ、高齢で肥満が強い人に多いようです。一方で日中に多く、食道症状が少ないタイプは若年者に多く、咳が会話、食事中、上半身前屈に伴って悪化しやすいとされています。
診断のために検査には、上部消化管内視鏡で異常を示さないことが多く感度が低い検査となり、24時間食道pHモニタリングは偽陰性や擬陽性が多くなるようです。酸以外の逆流も感知できるpHーインピーダンスモニタリングが逆流をとらえる最も感度が高い検査法とされていますが、どこの病院でも施行できる検査ではありません。実際の臨床では詳細な問診と、診断的治療を行って診断をしていきますが、詳細は次回に紹介します。
参考文献:咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2019
(編集長)
病棟で指導医と明日の打ち合わせ中
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喉頭アレルギー
今回はアトピー咳嗽に似た疾患として喉頭アレルギーを紹介します。
喉頭アレルギーとは、鼻や口腔より吸入された抗原により喉頭粘膜に引き起こされる慢性的ないし断続的な抗原暴露によるⅠ型アレルギー疾患で、季節性と通年性とに分類されます。
アトピー咳嗽とは非常に似ていますが、アトピー咳嗽では中枢気道に限局した好酸球性炎症ですが、喉頭アレルギーは喉頭を中心に病変を認める点が異なっています。
症状としては、慢性咳嗽と咽喉頭違和感で、ヒスタミンH1受容体拮抗薬が著効することが特徴です。ガイドラインには診断基準ではなく、「疑うポイント」として表にまとめられているので紹介します。
なお、季節性の場合は下線部分を「原因花粉飛散時期の前後を含めた」に読み替えて適応してください。
治療としてはヒスタミンH1受容体拮抗薬が第一選択となります。効果不十分な場合はICSの追加を考慮しますが、ICSはCVAにも効果があるため、あまり早期に用いると鑑別が困難になるので注意です。他に漢方薬を用いられます。鼻アレルギー同様に舌下免疫療法が行われる場合もあるようです。
参考文献:咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2019
(編集長)
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