臨床研修ブログ

水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
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救命救急センターだより「 思い込みとの戦い」

2023.05.04
カテゴリー: 救命救急センター

空を目指す消化器内科医ことNaoです。

 

そろそろ「空を目指す消化器内科医」から「空飛ぶ消化器内科医」に昇格したいなと夢見ております。救命センターのボスにも「急変対応がもうすっかり救急医になったね」と言ってもらえてうれしいばかりです。今後は山P目指して、プライベートでも聴診器を持ち歩こうかと思います。

 

さて、いろんなものを目指しすぎて何が何だかよくわからない状態になっていますが、この記事を書いている今日はゴールデンウィーク初日です。ヘリから地上を診ていると、田植えの準備がすすみ一面水のはられた田畑が広がっており、美しい景色だなと思うと同時に、この時期に一生懸命田植えをしてくださっている農家の方々に感謝の気持ちでいっぱいです。また、茨城の田舎にもたくさんの車が走っていて、活気づいているのが見て取れて大変うれしく思います。

 

GWとは全く関係ありませんが、先日立て続けに「思い込み」に注意しなければ、と思う症例に出会いました。いずれもヘリ症例でした。

 

一例目

第一報は、車VS歩行者の交通外傷、歩行者の高齢男性が意識レベル低下しており、切迫するDを疑っての覚知要請。この時点で、僕は重症頭部外傷と「診断」し挿管準備などを整えていました。しかし、この時の救急医は、元脳外科医。第2報で、そのほかのvitalや自然止血された鼻出血などの情報から、内因性先行の症例ではないかと言っていました。

 

実際に接触してみると、ふらついて車道に倒れこんできた患者をよけきれずに車が接触したものの、撥ねたわけではない、交通事故としてはほぼ接触事故に過ぎないことがわかりました。結果的には内因性の脳出血が先行した症例でした。

 

二例目

第一報は高齢女性の意識障害、けいれん。接触すると全身性強直性間代性けいれんをきたしており、右共同偏視、右上肢麻痺が認められました。けいれんをとめてヘリへ収容し帰院。自分としてはLVOあるいは脳出血と思っていましたが、脳血管障害としては違和感があるとヘリドクターは言いながら帰ってきました。

 

胸部レントゲンを撮ると、あれ…?CTでは多発脳腫瘍が認められました。

 

いずれも思い込みがそこまで大きな問題をきたす状態ではありませんでしたが、時として思い込みが正しい診断を妨げ、正しい治療介入を遅らせることになります。救急医たるもの、判断は早めなければならないが、安易に思い込みで診断してはいけないと思わされる事態でした。

 

病院前診療は、限られた資材で判断し対応しなければならない分、緊張感はありますがとても楽しいです。あなたも、救急医を目指しませんか?

(Nao)

慌ただしいERの一コマ

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救命救急センターだより「 診療科の垣根を超えた診療」

2023.04.27
カテゴリー: 救命救急センター

空を目指す消化器内科医ことNaoです。こんにちは。今回はERでの出来事ではなく、消化器内科医としての経験のお話です。

 

先日、上部消化管出血の患者さんに緊急内視鏡を行うことになりました。昇圧剤や輸血だけでは血圧を保つことができず、ポンピングを行いながらの内視鏡となりました。内視鏡を挿入すると血液が津波のごとくとめどなく押し寄せ、内視鏡的止血は不可能であると瞬時に悟りました。消化器内科医として、内視鏡止血をこんなにもあっさりと諦めたのは初めての経験でした。それほどまでに激しい出血でした。

 

直ちにER、カテ室へ連絡し内視鏡室から直接ERに隣接するハイブリッドカテ室へ患者さんを搬入しました。移動中も血圧を保つのが困難なほどの出血でした。

 

ハイブリッドカテ室へ向かうためにERを通過するときに救急医が周囲を取り囲み、カテ室ではIVR医がすぐにでも穿刺可能な状態に本当に無駄のない動きで準備を進めていました。透視台へ移乗すると同時に消毒がなされ、我々消化器内科医はvitalの安定化のために輸液、輸血を準備しポンピングを行い、救急医は気道管理を行い全員で一つの命を追い続けました。外科の医師もIVRで止血が得られなかった際に備えて一緒にカテ室で状況を確認し手術に向けた準備を同時に行ってくれていました。

 

術中、あらゆる循環動態管理にも血圧が反応せず、血圧触知不能になり心臓マッサージを行うなど、何度も危うい状況を迎えましたが、救急医とIVR医からの檄により何とか心を奮い立たせて処置を行い続けました。非常に太い破綻血管を同定し塞栓が完了すると、今までの血圧低下が嘘のように一気にvitalが改善し、救命することができました。

 

内視鏡で止血ができないという絶望の中で、カテ室に入室したときのIVRの姿は神様にも見えるほど輝いていました。

 

救急診療は診療科の垣根を超えた治療です。普段からの横のつながりがあれば、このような緊急の事態でも連携して処置を行うことができます。僕もいち早く空飛ぶ消化器内科医として独り立ちし、自分の姿だけで周りのスタッフを勇気づけられる、そんな存在になりたいと強く思いました。

(Nao)

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救命救急センターだより「 救命士によるオリエンテーション」

2023.04.18
カテゴリー: 救命救急センター

 「だってフライトドクターって響きがカッコいいじゃん?」が口癖のNaoです、こんにちは。

 

4月から新たな救急科の先生が来てくれていますが、うち一人は数年前に専門医プログラムの一環で当院で働いてくださっていた先生です。大きくレベルアップして再び当院へ来てくださいましたので、いろいろ教えを請いながら僕も成長したいと考えております。

 

そして、また研修医の先生も新たに来てくれています。当院には12名の初期研修医(基幹10名、大学からのたすき2名)の先生が来てくれました。他院からいらした先生に「当院の研修医は良く動くし、優秀だ」と言っていただけて、臨床研修センターの端っこから応援している人間として本当にうれしく思っています。

 

さて、この新しいJ1の先生たちに今年から新たな取り組みとして救命士によるオリエンテーションを行いました!

 

救急救命士という資格は、本来病院外でのみ生かすことができる資格でしたが、法改定により現在は入院前の患者さんに対してであれば院内でも一部の医療行為ができるようになっています。なので、病院救命士が続々増えています!

 

当院の若手の救命士たちはやる気に満ち溢れており、何か研修医の先生たちのために貢献できることはないか?ということで、今回オリエンテーションの一環で講義&実技トレーニングをしてもらいました。

 

具体的には、BLSとACLSの簡単な流れ、役割分担。また外傷患者さんの初療の手順など、3次救急病院に勤める研修医なら知っていた欲しい!を詰め込んでもらいました。これまでは、救急科を回るまでは日当直帯の重症患者さんの初療にまごついてしまうことがありましたが、このオリエンテーションにより、自分に何ができるか?がわかるのでより動きやすくなっていくと思います。

 

消化器内科を回ってくれている研修医の先生も、「2か月の間に胃カメラを挿入から全部ひとりでできるようになりたい」など高い目標で声をかけてくれるので、やる気に満ち溢れた新しい先生たちがまぶしいです。

 

こんな生き生きした救命センターです。皆さんの当院での研修をお待ちしております!

(Nao)

講義&実技トレーニング

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救命救急センターだより「新しい機体」

2023.04.04
カテゴリー: 救命救急センター

空を夢見る消化器内科医のnaoです、こんにちは。

 

救命センターだよりの間が空いてしまい申し訳ありませんでした。実は、この間に新しいドクターヘリが来たんです。

 

注:最高齢ヘリドクターが少し見切れています

 

新しい機体の話をする前に、ドクヘリに憧れる皆さんにお伝えしておくことがあります。

 

ドクヘリ搭乗って実はすごくつらいんです。1日3件くらいまではいいですが、4件以上の要請があると本当につらいんです。振動と音、それから僕の場合はミーティングポイントまでの全力疾走で体力を削られていきます。夏場はエアコンなんてほとんどあてにならないので汗だくで、こっちが脱水でやられちゃいそうです。6件とか要請が続くと「ほんと勘弁して…」ってなってます。

 

それを踏まえて新しい機体になって何が変わったか。

 

・パワーが上がったとのことで、離着陸時の余裕ができました。

・振動が非常に減りました!

・まだ涼しい時期ですが、エアコンめちゃ効く感じがします!

・今諸般の事情で某社のノイズキャンセル機能のあるヘッドフォンを使用していますが、空の旅が非常に快適になりました!外すとうるさくてびっくりします。

・広くなりました。OJTの僕は目の前に座るNsをガシガシ蹴ってしまうのですが、それがなくなりました!

 

4月2日に、僕にとっては新しい機体での初フライトを迎えました。みんなが良いというのでとっても期待して乗りました。確かに上記の通りとっても良い機体でした。

 

が、結局全力疾走で体力削られることに変わりはないので、ダイエットが必要だと痛感しました。燃費も悪くなりますからね。夏に向けて痩せなきゃなぁ・・・

(Nao)

最高齢ヘリドクターの横顔

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救命救急センターだより「頭部外傷とCT」

2023.02.18
カテゴリー: 救命救急センター

空を夢見る消化器内科医のNaoです。こんにちは。

 

皆さんは、放射線科の授業で「日本は世界でも非常に医療被曝の多い国である」という話をお聞きになられたことはあるでしょうか。日本は、世界で最もCTの設置台数が多いとされており、その影響もあって医療被曝が非常に多いといわれています。そのため自分では安易にCT撮影に頼らないように、と自制するように心がけています。

首相官邸からのアナウンス記事

 

ところが先日、こんなことがありました。

 

救急外来に前期高齢者の転倒による後頭部打撲の患者さんが受診しました。担当してくれた研修医の先生からCT検査を行う方針の提案を受け、その根拠について尋ねました。打撲部は軽度の皮下血種と擦過傷はあるものの、神経学的異常はありませんでしたが、硬い地面に受け身なく頭部を直接打撲していることなどを踏まえて、CT検査を行いたいとのことでした。

 

研修医の先生は2年目ですので2か月後には単独で当直業務を行うようになります。自分であればCTは行わないだろうと考え、その意見は伝えましたが、一人の当直医として、自分で責任を取らなければならないとしたらどうするか考えてもらい、結果的にCTを行うこととしました。

 

結果的には、軽度の外傷性SAH、軽度の硬膜外血種、頭頂骨の骨折が認められました。自分の想定以上の所見でしたので大変驚きましたが、担当してくれた研修医は受傷起点から高リスクであるとちゃんと判断してくれていました。

 

頭部外傷時のCTの適応については成人と小児とで違いますが、成人ではカナダ頭部CTルール、ニューオーリンズ基準が有名かと思います。

 

【カナダ頭部CTルール】

  • 受傷後2時間時点でGCS<15
  • 65歳以上
  • 2回以上の嘔吐
  • 頭蓋骨開放あるいは陥没骨折疑い
  • 頭蓋亭骨折疑い
  • 受傷30分以上前の記憶の消失
  • 危険な受傷起点

 

【ニューオーリンズ基準】

  • 頭痛
  • 嘔吐
  • 60歳以上
  • アルコールor薬物中毒
  • 前向性健忘の持続
  • 鎖骨よりも上部の明らかな外傷
  • 痙攣

 

どちらの分類も一つでも当てはまればCTを推奨しています。安易に年齢で区切るのではなく、臨床判断も必要であると個人的には考えます。大事なのは、今回の研修医の先生のようにちゃんと患者さんの話を聞き、そこから判断する姿勢だなと、反省の当直になりました。

(Nao)

ERでの一コマ

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当院は 2月21日(火)18:30からです。

 

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救命救急センターだより「低体温症」

2023.02.11
カテゴリー: 救命救急センター

週末救急医のNaoです、こんにちは。

(この記事は2023年1月末に書いてますが、公開されるのはちょっと先になるかと思います)

 

さて、日本列島には記録的大寒波が到来しており、当地域でも珍しく降雪しています。そうなると救急外来をにぎわすのが、事故や転倒そして転落などの外傷と低体温症です。

 

偶発的低体温症は、何らかの理由により体内の熱産生よりも放熱が上回ってしまい、深部体温が35℃以下になってしまった状態を指します。当院へ運ばれてくるような患者さんは、それに伴いCPAになってしまったような病態の方ばかりです。しかし、重度の低体温症に伴うCPAはROSCまでに比較的長時間を要しても神経学的予後が良好な例も報告されており、救急医としては本気で向かっていく病態です。特に深酒をして道路で寝込んじゃって重度の低体温になったような方は簡単には諦められません。

 

ちなみに、重度の低体温症からのCPAでは、ECMOを日常的に回している病院であれば、ECPRの良い適応になります。ECPRとは体外循環式心肺蘇生法で、救命センターに運び込まれたら直ちに静脈に脱血管、動脈に送血管を留置してV-A ECMOを回して呼吸循環動態を保つという方法になります。ECMOでは血液を加温することができますので、効率的な復温を図ることができるのです。

 

と、いつも通り前置きが非常に長くなってしまったのですが、今回は医学生や初期研修医の皆様がうっかり街中や雪山で低体温症の患者さんに遭遇してしまったときにどう対応したらいいか、という話を非常に簡潔にお話ししたいと思います。

 

寒い中に倒れている方がいたら、まずBLSのスタートです。が!

低体温症を疑う方の場合、呼吸、循環、意識の評価のほかに重要になるのが、震えの有無です。寒いのに震えが消失している場合は重度の低体温症を示唆するためです。震えているうちは、まだましです。

 

心肺停止に至っていない低体温症の場合、濡れている場合は衣服を除去して乾かします。そして、基本的には外から加温する必要がありますので、ホッカイロなどあれば使用しましょう。屋内や車内など暖房の効いた空間への収容も大切です。加温ができない場合は、衣類や毛布などで保温します。

 

いざというとき、医師として、医学生として動けるようにシミュレーションしておきましょう!何より、低体温に自分がならないように、泥酔して外で寝ちゃったりしないように注意してくださいね!

(Nao)

ICUでECMO抜去中

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救命救急センターだより「医療とお金」

2023.02.04
カテゴリー: 救命救急センター

皆さんこんにちは。空飛ぶ消化器内科医をめざすNaoです。

 

突然ですが、皆さん、命とお金どちらが大切でしょうか?命は金に換えられない。かけがえのないものだ。本気でそう思いますか?

 

僕は昔ブラックジャックを好きでずっと読んでいましたが、ブラックジャック先生は、この質問をずっと患者に投げかけ続けていました。金のあるものはいとわずブラックジャック先生の最高の医療を享受でき、金のないものは苦労して金を工面してブラックジャック先生の医療を受ける。資本主義の最たるものなのかもしれません。

 

さて救命センターで使用する薬剤には非常に高額なものがあります。例えば抗凝固薬の拮抗薬であるイダルシズマブやヒトプロトロンビン複合製剤などはそれぞれ1回あたりの薬剤コストが20万や15万ほどかかります。抗DIC薬のトロンボモジュリンアルファは1日当たり8万程度のものを数日間投与します。

 

抗がん剤治療に目を向けますと、ニボルマブという薬剤は発売当初の話ですが、1年あたりの一人の薬剤費が3500万円に上るといわれていました(現在は薬価改定されています、依然として高価ですが)。

 

私たちの使用する薬剤のコストは医療費という形で、みんなで背負っているわけですが、これがもし、日本の皆保険制度が破綻し、全て自費診療となった場合に、それでもなお、お金より命が大切だと言えますか。

 

コロナで人工呼吸器からECMO, CHDFとなった場合に、1日当たり10万円以上のお金をかけて延命していくわけですが、1日10万円のお金を全額自分で払うとなった場合にも、お金より命が大切だと言えますか。

 

実際に医師として働く中では、こっちの薬よりこっちのほうが効果は強いけど、でも効果のわりに薬価は倍違うし…など色々な小さなことを天秤にかけながら医療を推し進めていくことになります。それでも、日本の医者はまだいいほうですね。みんな保険に入っていますから、自費診療の患者さんの懐具合を心配する必要は殆どの場合ありません。

 

救命センターにはいろいろな事情で医療に近づけなかった人が、消えかけの灯状態で搬送されてくることが多々あります。でも、救急外来では、目の前の消えゆく灯を保ち続けるために、とにかく全力を尽くし続けます。そこに打算はありません。こんな医療を行ったら費用が、この薬剤を投与したら費用が、などと細かいことを天秤にかけて検討している間に灯が消えてしまうのです。ですから目の前の患者さんにとにかく全力を尽くします。

 

なので、あとで「あちゃーっ」となることもないわけではないのですが、それも含めて救命センターは楽しいところです。

 

ちなみに当院は済生会の一員でありますので、命は金に換えられない、かけがいのないもので、それに最も近い医療ができる場所であると思います。当院は、医療者としての技術だけでなく、心も育てられる、そんな研修病院であると思っています。

(Nao)

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救命救急センターだより「急性アルコール中毒」

2023.01.28
カテゴリー: 救命救急センター

皆さんこんにちは。2023年も空飛ぶ消化器内科医をめざすNaoです。こんにちは。

 

年末年始、成人式と12~1月は酩酊状態の患者さんが搬送されてくる事例が多数あります。急性アルコール中毒のほか、アルコール+喧嘩、アルコール+交通事故など色々な形でアルコールが絡んでくる時期です。

 

コロナでアルコールは下火でしたが、この年末年始は復活してきましたね。この後、春に向けて花見や送別会、新年会がありますので、また風物詩的にアルコール患者さんと向き合う時期だなーっと思っております。

 

さて、前置きが長くなりましたが、今までは酩酊状態の患者さんが来ると補液をガンガンしておしっこ出して薄めろー!ってやっていたのですが、先日救命の先生に、その考え方は本当に正しいですか?と聞かれて、はっとして調べてみました。

 

オーストラリアで行われた研究では144名の急性アルコール中毒患者に対して20ml/kgの生食ボーラス投与群と経過観察のみの群でランダム化比較試験が行われました。病院滞在時間は輸液群では287分、経過観察のみの群では274分で有意差はなく、そのほかバイタルサインや血中アルコール濃度の変化、その他症状においても有意な差は認められなかったは認められなかったとのことです。

 

日本においては東京ベイ・浦安市川医療センターからの短施設の後ろ向き研究で、106例の急性アルコール中毒患者さんについて点滴群と非点滴群で滞在時間を比較したところ、点滴群で254分、非点滴群で189分と有意差はないものの点滴群で長い傾向でした。年齢や性別、外傷の有無などを調整して多変量解析を行ったところでは、点滴群では非点滴群に比べ、有意に早期帰宅が半減していたとのことです。

 

この二つの研究から言えることは、点滴することが早期帰宅につながることは、少なくともないという点でしょうか。だって、アルコールって肝代謝ですもんね。消化器内科医なのに頭に入っていませんでした(笑)

 

ただ、アルコールにより脱水をきたしている部分もありますので、脱水の補正という意味での補液は必要になることもありますから、現場判断ということになりますよね。救急搬送されてきて、点滴の一本もないのか!って怒る方も、酔っていると特にありますし。。。

 

ということで、皆さんも固定観念にとらわれず、自分の考えを疑うことも忘れずに!という話でした。

(Nao)

ERの一コマ

(酩酊者の対応ではありません)

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救命救急センターだより「搬送困難症例」

2023.01.21
カテゴリー: 救命救急センター

皆さんこんにちは。空飛ぶ消化器内科医を目指して早1年半以上経ちました、naoです。

 

寒さが厳しくなってきていますがいかがお過ごしでしょうか。今年もさっそく低体温でECMO導入など冬の寒さを実感しております。

 

昨年末から救急要請件数が異常に増加しています。発熱患者さんの不適切な救急要請もあり、特に水戸市では救急車の稼働率が異常に上昇してしまい、市が救急車の適正利用についてお願いを繰り返している状況です。

 

この背景にはやはりコロナに端を発する発熱患者さんの受け入れ困難があります。当院のコロナ病床はほぼ満床を常にキープしており、一人退院すればすぐに次が入院する状態です。年末年始は、10件以上断られた発熱患者さんが当院へ搬送されるなども多数ありました。もはやコロナ病床だけでは足らず、やむを得ず一般病床を一部利用して入院対応しました。

 

先日は他県での発熱、呼吸困難のため救急要請され、酸素10L投与が必要な方が、一晩中病院が見つからず、50件以上病院選定を繰り返した結果当院へ搬送された事例がありました。当院へは2時間以上の距離でしたが、その時の担当だった救急医が、酸素需要も大きく、6L⇒10Lと酸素投与量が増えている状況も鑑みて受け入れてくれました。ニュースでは見ていましたが、実際にこのようなケースを目の当たりにして、事態の異常さを痛感しております。

 

当院も事情でお断りして、近隣の病院へ迷惑をかけてしまうことがありますので、大きなことは言えませんが、私が本来所属している消化器内科ではこの地域で消化器患者の難民は出してはいけないをモットーに、断らない医療を続けています。若手の先生たちが一生懸命頑張ってくれているからこそできることではありますが。

 

このブログを読んでいただいている、これから医師になる皆さんもぜひ、自分が最後の砦になる気持ちで医療にあたっていただけたらと思います。

 

当院のコロナ診療も、自主的に集まった専門外メンバーで開始されました。地域医療を支えるには知識と技術だけでなく、想いが大切です。そんな想いを持った医師になってください!

(Nao)

ERの一コマ

PPEで患者対応と外回り

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救命救急センターだより「病院前診療と急性心筋梗塞」

2023.01.14
カテゴリー: 救命救急センター

空飛ぶ消化器内科を目指すnaoです。

 

救命センターだよりを読んでいただいている医学生の皆さんの中には、「救急」に興味がある方も多くいらっしゃることと思います。私も元々救急志望、その後なぜか耳鼻科医を目指し、最終的には消化器内科を選択し消化器内科医としてキャリアを積んできましたが、重症COVID診療を担うなかで、救急医に集中治療について教わる中で、本当は救急医になりたかったんだと思い出し、集中治療に興味をもって今に至っています。

 

今後は消化器内科医という立場で、専門診療(救急診療も専門診療があってこそですから)をより充実させつつ、病院前診療と集中治療の分野で救急の先生たちの仲間に入れてもらいながら修行を積んでいきたいなと思っています。

 

さて、それは閑話休題として、皆さんは病院前診療ではどんな症例で呼ばれることが多いと思いますか?

 

私の記事を読んでいただいている人はなんとなくイメージがついているかもしれませんが、「意識障害」と「胸痛」、「目撃ありCPA(目撃ナシはドクターカー適応外となっています)」が多いです。

 

そう。外傷は少ないんですよ。少なくとも当県では。外傷が一番テンションが上がるんですが。なんつったって救急医が目に見えてかっこよく動き回れますからね!

 

でも、地味な仕事の中にこそ問われる真価というものがあります。内科系救急医の僕としては、地味な仕事をひたむきにこなしていく中でカッコよさを見せつけていく必要があります。

 

さて、今回は「胸痛」がテーマなわけですが、病院前診療ではそれがいわゆる「本物」かそうでないかをいち早く見極め、適切な医療機関へ搬送することが求められます。

 

最近の救急車は十二誘導心電図が取れるようになっています。でも「とれる」のと「読める」のでは雲泥の違いがあります。救急医は迅速に十二誘導心電図を撮り、かつ心エコーをあて、それが本物かどうかを見極めます。ここで本物であると確信した場合は患者収容要請と同時に、循環器内科医師呼び出しを依頼します。

 

脳血管疾患と違い、心電図と心エコーが使えるので、虚血性心疾患の見極めは精度高く行うことができます(陳旧性の梗塞がある場合などでスカしてしまうこともあるのですが…)。

 

将来的には、救命士たちが心電図を読み、心エコーをあて判断できる日が来ることを願いますが、現状ではすでにその経験のある医師たちがそれを行うことでより迅速に患者さんの対応に当たることができます。

(Nao)

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