
臨床研修ブログ
水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
医師の生涯のうち最も実りある初期臨床研修期間を私たちは強力にサポートします。
救命救急センターだより「頭部外傷とCT」
空を夢見る消化器内科医のNaoです。こんにちは。
皆さんは、放射線科の授業で「日本は世界でも非常に医療被曝の多い国である」という話をお聞きになられたことはあるでしょうか。日本は、世界で最もCTの設置台数が多いとされており、その影響もあって医療被曝が非常に多いといわれています。そのため自分では安易にCT撮影に頼らないように、と自制するように心がけています。
ところが先日、こんなことがありました。
救急外来に前期高齢者の転倒による後頭部打撲の患者さんが受診しました。担当してくれた研修医の先生からCT検査を行う方針の提案を受け、その根拠について尋ねました。打撲部は軽度の皮下血種と擦過傷はあるものの、神経学的異常はありませんでしたが、硬い地面に受け身なく頭部を直接打撲していることなどを踏まえて、CT検査を行いたいとのことでした。
研修医の先生は2年目ですので2か月後には単独で当直業務を行うようになります。自分であればCTは行わないだろうと考え、その意見は伝えましたが、一人の当直医として、自分で責任を取らなければならないとしたらどうするか考えてもらい、結果的にCTを行うこととしました。
結果的には、軽度の外傷性SAH、軽度の硬膜外血種、頭頂骨の骨折が認められました。自分の想定以上の所見でしたので大変驚きましたが、担当してくれた研修医は受傷起点から高リスクであるとちゃんと判断してくれていました。
頭部外傷時のCTの適応については成人と小児とで違いますが、成人ではカナダ頭部CTルール、ニューオーリンズ基準が有名かと思います。
【カナダ頭部CTルール】
- 受傷後2時間時点でGCS<15
- 65歳以上
- 2回以上の嘔吐
- 頭蓋骨開放あるいは陥没骨折疑い
- 頭蓋亭骨折疑い
- 受傷30分以上前の記憶の消失
- 危険な受傷起点
【ニューオーリンズ基準】
- 頭痛
- 嘔吐
- 60歳以上
- アルコールor薬物中毒
- 前向性健忘の持続
- 鎖骨よりも上部の明らかな外傷
- 痙攣
どちらの分類も一つでも当てはまればCTを推奨しています。安易に年齢で区切るのではなく、臨床判断も必要であると個人的には考えます。大事なのは、今回の研修医の先生のようにちゃんと患者さんの話を聞き、そこから判断する姿勢だなと、反省の当直になりました。
(Nao)
ERでの一コマ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
水戸済生会総合病院の臨床研修は
総合診断能力を有するスペシャリスト
を目指します
◆”レジナビFairオンライン2023 東日本”に参加します!
2月1日から開催されているレジナビFairに当院も参加します。
研修医も参加するので、どしどしご質問ください♪
当院は 2月21日(火)18:30からです。
レジナビのサイトからお申し込みが必要ですので、
下記リンクからお申し込みください。
↓
◆専門研修ブログもご覧ください!
当院には基幹型内科専門研修プログラムがありますが、その強みは消化器内科、循環器内科、腎臓内科の診療体制です。あなたも最短で内科専門医、そして施設を異動することなくサブスペシャルティ専門医と関連する各種の資格を取得できます。そんな内科専門研修プログラムを紹介するブログもぜひご覧ください。
↓
救命救急センターだより「低体温症」
週末救急医のNaoです、こんにちは。
(この記事は2023年1月末に書いてますが、公開されるのはちょっと先になるかと思います)
さて、日本列島には記録的大寒波が到来しており、当地域でも珍しく降雪しています。そうなると救急外来をにぎわすのが、事故や転倒そして転落などの外傷と低体温症です。
偶発的低体温症は、何らかの理由により体内の熱産生よりも放熱が上回ってしまい、深部体温が35℃以下になってしまった状態を指します。当院へ運ばれてくるような患者さんは、それに伴いCPAになってしまったような病態の方ばかりです。しかし、重度の低体温症に伴うCPAはROSCまでに比較的長時間を要しても神経学的予後が良好な例も報告されており、救急医としては本気で向かっていく病態です。特に深酒をして道路で寝込んじゃって重度の低体温になったような方は簡単には諦められません。
ちなみに、重度の低体温症からのCPAでは、ECMOを日常的に回している病院であれば、ECPRの良い適応になります。ECPRとは体外循環式心肺蘇生法で、救命センターに運び込まれたら直ちに静脈に脱血管、動脈に送血管を留置してV-A ECMOを回して呼吸循環動態を保つという方法になります。ECMOでは血液を加温することができますので、効率的な復温を図ることができるのです。
と、いつも通り前置きが非常に長くなってしまったのですが、今回は医学生や初期研修医の皆様がうっかり街中や雪山で低体温症の患者さんに遭遇してしまったときにどう対応したらいいか、という話を非常に簡潔にお話ししたいと思います。
寒い中に倒れている方がいたら、まずBLSのスタートです。が!
低体温症を疑う方の場合、呼吸、循環、意識の評価のほかに重要になるのが、震えの有無です。寒いのに震えが消失している場合は重度の低体温症を示唆するためです。震えているうちは、まだましです。
心肺停止に至っていない低体温症の場合、濡れている場合は衣服を除去して乾かします。そして、基本的には外から加温する必要がありますので、ホッカイロなどあれば使用しましょう。屋内や車内など暖房の効いた空間への収容も大切です。加温ができない場合は、衣類や毛布などで保温します。
いざというとき、医師として、医学生として動けるようにシミュレーションしておきましょう!何より、低体温に自分がならないように、泥酔して外で寝ちゃったりしないように注意してくださいね!
(Nao)
ICUでECMO抜去中
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
水戸済生会総合病院の臨床研修は
総合診断能力を有するスペシャリスト
を目指します
◆”レジナビFairオンライン2023 東日本”に参加します!
2月1日から開催されているレジナビFairに当院も参加します。
研修医も参加するので、どしどしご質問ください♪
当院は 2月21日(火)18:30からです。
レジナビのサイトからお申し込みが必要ですので、
下記リンクからお申し込みください。
↓
◆専門研修ブログもご覧ください!
当院には基幹型内科専門研修プログラムがありますが、その強みは消化器内科、循環器内科、腎臓内科の診療体制です。あなたも最短で内科専門医、そして施設を異動することなくサブスペシャルティ専門医と関連する各種の資格を取得できます。そんな内科専門研修プログラムを紹介するブログもぜひご覧ください。
↓
救命救急センターだより「医療とお金」
皆さんこんにちは。空飛ぶ消化器内科医をめざすNaoです。
突然ですが、皆さん、命とお金どちらが大切でしょうか?命は金に換えられない。かけがえのないものだ。本気でそう思いますか?
僕は昔ブラックジャックを好きでずっと読んでいましたが、ブラックジャック先生は、この質問をずっと患者に投げかけ続けていました。金のあるものはいとわずブラックジャック先生の最高の医療を享受でき、金のないものは苦労して金を工面してブラックジャック先生の医療を受ける。資本主義の最たるものなのかもしれません。
さて救命センターで使用する薬剤には非常に高額なものがあります。例えば抗凝固薬の拮抗薬であるイダルシズマブやヒトプロトロンビン複合製剤などはそれぞれ1回あたりの薬剤コストが20万や15万ほどかかります。抗DIC薬のトロンボモジュリンアルファは1日当たり8万程度のものを数日間投与します。
抗がん剤治療に目を向けますと、ニボルマブという薬剤は発売当初の話ですが、1年あたりの一人の薬剤費が3500万円に上るといわれていました(現在は薬価改定されています、依然として高価ですが)。
私たちの使用する薬剤のコストは医療費という形で、みんなで背負っているわけですが、これがもし、日本の皆保険制度が破綻し、全て自費診療となった場合に、それでもなお、お金より命が大切だと言えますか。
コロナで人工呼吸器からECMO, CHDFとなった場合に、1日当たり10万円以上のお金をかけて延命していくわけですが、1日10万円のお金を全額自分で払うとなった場合にも、お金より命が大切だと言えますか。
実際に医師として働く中では、こっちの薬よりこっちのほうが効果は強いけど、でも効果のわりに薬価は倍違うし…など色々な小さなことを天秤にかけながら医療を推し進めていくことになります。それでも、日本の医者はまだいいほうですね。みんな保険に入っていますから、自費診療の患者さんの懐具合を心配する必要は殆どの場合ありません。
救命センターにはいろいろな事情で医療に近づけなかった人が、消えかけの灯状態で搬送されてくることが多々あります。でも、救急外来では、目の前の消えゆく灯を保ち続けるために、とにかく全力を尽くし続けます。そこに打算はありません。こんな医療を行ったら費用が、この薬剤を投与したら費用が、などと細かいことを天秤にかけて検討している間に灯が消えてしまうのです。ですから目の前の患者さんにとにかく全力を尽くします。
なので、あとで「あちゃーっ」となることもないわけではないのですが、それも含めて救命センターは楽しいところです。
ちなみに当院は済生会の一員でありますので、命は金に換えられない、かけがいのないもので、それに最も近い医療ができる場所であると思います。当院は、医療者としての技術だけでなく、心も育てられる、そんな研修病院であると思っています。
(Nao)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
水戸済生会総合病院の臨床研修は
総合診断能力を有するスペシャリスト
を目指します
◆病院見学に来ませんか?
当院の研修医がどんなふうに仕事しているのか?どんな生活を送っているのか?あなたの目で確かめてみてください!
病院見学をご希望の方は、下のフォームからご連絡ください。
なお、病院見学がむずかしい時は、Zoomで個別説明会を行っていますので、下のフォームに「Zoom希望」と記入してご連絡ください。
↓
https://recruit-mito-saisei.jp/entry
◆専門研修ブログもご覧ください!
当院には基幹型内科専門研修プログラムがありますが、その強みは消化器内科、循環器内科、腎臓内科の診療体制です。あなたも最短で内科専門医、そして施設を異動することなくサブスペシャルティ専門医と関連する各種の資格を取得できます。そんな内科専門研修プログラムを紹介するブログもぜひご覧ください。
↓
救命救急センターだより「急性アルコール中毒」
皆さんこんにちは。2023年も空飛ぶ消化器内科医をめざすNaoです。こんにちは。
年末年始、成人式と12~1月は酩酊状態の患者さんが搬送されてくる事例が多数あります。急性アルコール中毒のほか、アルコール+喧嘩、アルコール+交通事故など色々な形でアルコールが絡んでくる時期です。
コロナでアルコールは下火でしたが、この年末年始は復活してきましたね。この後、春に向けて花見や送別会、新年会がありますので、また風物詩的にアルコール患者さんと向き合う時期だなーっと思っております。
さて、前置きが長くなりましたが、今までは酩酊状態の患者さんが来ると補液をガンガンしておしっこ出して薄めろー!ってやっていたのですが、先日救命の先生に、その考え方は本当に正しいですか?と聞かれて、はっとして調べてみました。
オーストラリアで行われた研究では144名の急性アルコール中毒患者に対して20ml/kgの生食ボーラス投与群と経過観察のみの群でランダム化比較試験が行われました。病院滞在時間は輸液群では287分、経過観察のみの群では274分で有意差はなく、そのほかバイタルサインや血中アルコール濃度の変化、その他症状においても有意な差は認められなかったは認められなかったとのことです。
日本においては東京ベイ・浦安市川医療センターからの短施設の後ろ向き研究で、106例の急性アルコール中毒患者さんについて点滴群と非点滴群で滞在時間を比較したところ、点滴群で254分、非点滴群で189分と有意差はないものの点滴群で長い傾向でした。年齢や性別、外傷の有無などを調整して多変量解析を行ったところでは、点滴群では非点滴群に比べ、有意に早期帰宅が半減していたとのことです。
この二つの研究から言えることは、点滴することが早期帰宅につながることは、少なくともないという点でしょうか。だって、アルコールって肝代謝ですもんね。消化器内科医なのに頭に入っていませんでした(笑)
ただ、アルコールにより脱水をきたしている部分もありますので、脱水の補正という意味での補液は必要になることもありますから、現場判断ということになりますよね。救急搬送されてきて、点滴の一本もないのか!って怒る方も、酔っていると特にありますし。。。
ということで、皆さんも固定観念にとらわれず、自分の考えを疑うことも忘れずに!という話でした。
(Nao)
ERの一コマ
(酩酊者の対応ではありません)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
水戸済生会総合病院の臨床研修は
総合診断能力を有するスペシャリスト
を目指します
◆病院見学に来ませんか?
当院の研修医がどんなふうに仕事しているのか?どんな生活を送っているのか?あなたの目で確かめてみてください!
病院見学をご希望の方は、下のフォームからご連絡ください。
なお、病院見学がむずかしい時は、Zoomで個別説明会を行っていますので、下のフォームに「Zoom希望」と記入してご連絡ください。
↓
https://recruit-mito-saisei.jp/entry
◆専門研修ブログもご覧ください!
当院には基幹型内科専門研修プログラムがありますが、その強みは消化器内科、循環器内科、腎臓内科の診療体制です。あなたも最短で内科専門医、そして施設を異動することなくサブスペシャルティ専門医と関連する各種の資格を取得できます。そんな内科専門研修プログラムを紹介するブログもぜひご覧ください。
↓
救命救急センターだより「搬送困難症例」
皆さんこんにちは。空飛ぶ消化器内科医を目指して早1年半以上経ちました、naoです。
寒さが厳しくなってきていますがいかがお過ごしでしょうか。今年もさっそく低体温でECMO導入など冬の寒さを実感しております。
昨年末から救急要請件数が異常に増加しています。発熱患者さんの不適切な救急要請もあり、特に水戸市では救急車の稼働率が異常に上昇してしまい、市が救急車の適正利用についてお願いを繰り返している状況です。
この背景にはやはりコロナに端を発する発熱患者さんの受け入れ困難があります。当院のコロナ病床はほぼ満床を常にキープしており、一人退院すればすぐに次が入院する状態です。年末年始は、10件以上断られた発熱患者さんが当院へ搬送されるなども多数ありました。もはやコロナ病床だけでは足らず、やむを得ず一般病床を一部利用して入院対応しました。
先日は他県での発熱、呼吸困難のため救急要請され、酸素10L投与が必要な方が、一晩中病院が見つからず、50件以上病院選定を繰り返した結果当院へ搬送された事例がありました。当院へは2時間以上の距離でしたが、その時の担当だった救急医が、酸素需要も大きく、6L⇒10Lと酸素投与量が増えている状況も鑑みて受け入れてくれました。ニュースでは見ていましたが、実際にこのようなケースを目の当たりにして、事態の異常さを痛感しております。
当院も事情でお断りして、近隣の病院へ迷惑をかけてしまうことがありますので、大きなことは言えませんが、私が本来所属している消化器内科ではこの地域で消化器患者の難民は出してはいけないをモットーに、断らない医療を続けています。若手の先生たちが一生懸命頑張ってくれているからこそできることではありますが。
このブログを読んでいただいている、これから医師になる皆さんもぜひ、自分が最後の砦になる気持ちで医療にあたっていただけたらと思います。
当院のコロナ診療も、自主的に集まった専門外メンバーで開始されました。地域医療を支えるには知識と技術だけでなく、想いが大切です。そんな想いを持った医師になってください!
(Nao)
ERの一コマ
PPEで患者対応と外回り
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
水戸済生会総合病院の臨床研修は
総合診断能力を有するスペシャリスト
を目指します
◆病院見学に来ませんか?
当院の研修医がどんなふうに仕事しているのか?どんな生活を送っているのか?あなたの目で確かめてみてください!
病院見学をご希望の方は、下のフォームからご連絡ください。
なお、病院見学がむずかしい時は、Zoomで個別説明会を行っていますので、下のフォームに「Zoom希望」と記入してご連絡ください。
↓
https://recruit-mito-saisei.jp/entry
◆専門研修ブログもご覧ください!
当院には基幹型内科専門研修プログラムがありますが、その強みは消化器内科、循環器内科、腎臓内科の診療体制です。あなたも最短で内科専門医、そして施設を異動することなくサブスペシャルティ専門医と関連する各種の資格を取得できます。そんな内科専門研修プログラムを紹介するブログもぜひご覧ください。
↓
救命救急センターだより「病院前診療と急性心筋梗塞」
空飛ぶ消化器内科を目指すnaoです。
救命センターだよりを読んでいただいている医学生の皆さんの中には、「救急」に興味がある方も多くいらっしゃることと思います。私も元々救急志望、その後なぜか耳鼻科医を目指し、最終的には消化器内科を選択し消化器内科医としてキャリアを積んできましたが、重症COVID診療を担うなかで、救急医に集中治療について教わる中で、本当は救急医になりたかったんだと思い出し、集中治療に興味をもって今に至っています。
今後は消化器内科医という立場で、専門診療(救急診療も専門診療があってこそですから)をより充実させつつ、病院前診療と集中治療の分野で救急の先生たちの仲間に入れてもらいながら修行を積んでいきたいなと思っています。
さて、それは閑話休題として、皆さんは病院前診療ではどんな症例で呼ばれることが多いと思いますか?
私の記事を読んでいただいている人はなんとなくイメージがついているかもしれませんが、「意識障害」と「胸痛」、「目撃ありCPA(目撃ナシはドクターカー適応外となっています)」が多いです。
そう。外傷は少ないんですよ。少なくとも当県では。外傷が一番テンションが上がるんですが。なんつったって救急医が目に見えてかっこよく動き回れますからね!
でも、地味な仕事の中にこそ問われる真価というものがあります。内科系救急医の僕としては、地味な仕事をひたむきにこなしていく中でカッコよさを見せつけていく必要があります。
さて、今回は「胸痛」がテーマなわけですが、病院前診療ではそれがいわゆる「本物」かそうでないかをいち早く見極め、適切な医療機関へ搬送することが求められます。
最近の救急車は十二誘導心電図が取れるようになっています。でも「とれる」のと「読める」のでは雲泥の違いがあります。救急医は迅速に十二誘導心電図を撮り、かつ心エコーをあて、それが本物かどうかを見極めます。ここで本物であると確信した場合は患者収容要請と同時に、循環器内科医師呼び出しを依頼します。
脳血管疾患と違い、心電図と心エコーが使えるので、虚血性心疾患の見極めは精度高く行うことができます(陳旧性の梗塞がある場合などでスカしてしまうこともあるのですが…)。
将来的には、救命士たちが心電図を読み、心エコーをあて判断できる日が来ることを願いますが、現状ではすでにその経験のある医師たちがそれを行うことでより迅速に患者さんの対応に当たることができます。
(Nao)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
水戸済生会総合病院の臨床研修は
総合診断能力を有するスペシャリスト
を目指します
◆病院見学に来ませんか?
当院の研修医がどんなふうに仕事しているのか?どんな生活を送っているのか?あなたの目で確かめてみてください!
病院見学をご希望の方は、下のフォームからご連絡ください。
なお、病院見学がむずかしい時は、Zoomで個別説明会を行っていますので、下のフォームに「Zoom希望」と記入してご連絡ください。
↓
https://recruit-mito-saisei.jp/entry
◆専門研修ブログもご覧ください!
当院には基幹型内科専門研修プログラムがありますが、その強みは消化器内科、循環器内科、腎臓内科の診療体制です。あなたも最短で内科専門医、そして施設を異動することなくサブスペシャルティ専門医と関連する各種の資格を取得できます。そんな内科専門研修プログラムを紹介するブログもぜひご覧ください。
↓
救命救急センターだより「ロード アンド ゴー」
空飛ぶ消化器内科を目指すNaoです。本年も宜しくお願い致します。
「飛ばねぇ豚は、ただの豚だ。」
最近はドクターヘリよりドクターカーの出勤が多くて飛べていません。冬は、空気が澄んでいるのと、暑くないので空が楽しいんですけどね。ただの豚じゃなくなりたいものです。
さて、僕たち救命に携わる医師および看護師が現場進出の上で、病院外で患者さんに一刻も早い治療を届けるべく働いたりしますが、これを病院前診療と言います。現場進出の手段によりドクターカーやトクターヘリと呼んでいます(最近はドクタージェットというものもありますが、これはどちらかというと搬送が目的ですかね)。医師や看護師が現場進出するのも大切ですが、現場でできることには限りがありますので、やはり一刻も早い「搬送」が大切になります。
僕が現場に行った事案ではありませんが、このことを示す一つ良い事例がありました。交通外傷により大動脈損傷、横隔膜損傷および腹腔臓器損傷をきたした症例です。胸部大動脈損傷に対してTEVARを行い、その後緊急開腹して救命したというものになりますが、この時現場進出した救急医は、当然ながら超重症であることを一目で判断しました。
そこからがポイントなのですが、現場でできることは少ないと判断し、必要最小限の治療を行い一刻も早く搬送することを優先したのです。ともすると、僕のようなひよっこは、現場で色々細かく評価したり、できる検査や処置全部やりたくなってしまったりしますが、患者さんの救命には、早く病院に連れていき、より正確に診断し治療介入することのほうが重要なこともあります。重症だからこそ、です。
医師の介入なしでも現場の救急隊でこれを判断して行えるようにした仕組みが、「Load and Go(ロード アンド ゴー)」です。Load and Goは収容してすぐに現場離脱するものですが、生命の危険が少しでも疑われる傷病者への対応方針を言います。状況評価で高エネルギー事故に該当するもの、初期評価ででABCに異常がみられるもの、全身評価でJPTECが定める損傷(フレイルチェストや頭頚部および体幹部の穿通性外傷、骨盤骨折、両側大腿骨骨折など)がある場合などに適応とされます。
この場合、救急隊はLoad and Goを宣言し、救命救急センターである我々は必要最小限の情報だけを受け取り、受け入れの準備を行います。病院選定時に不必要に情報のやり取りで時間をかけないための方策で、これにより収容から搬入までに少なくとも数分以上の時間短縮が見込まれます。
数分、数秒が命の時間を左右することは、救命センターでは少なからず経験されます。消防および救命センターの強い連携のもとで引き続き地域医療を守っていきたいと思います。
実際そこまでシビアな症例は多くありませんが、当院で2年の研修を積むと経験することになります。救命センターでの仕事は、大きなやりがいがあります。
皆さんと当院で一緒に働けるのを楽しみにしています。ぜひ見学にいらしてください!
(Nao)
慌ただしいERの一コマ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
水戸済生会総合病院の臨床研修は
総合診断能力を有するスペシャリスト
を目指します
◆病院見学に来ませんか?
当院の研修医がどんなふうに仕事しているのか?どんな生活を送っているのか?あなたの目で確かめてみてください!
病院見学をご希望の方は、下のフォームからご連絡ください。
なお、病院見学がむずかしい時は、Zoomで個別説明会を行っていますので、下のフォームに「Zoom希望」と記入してご連絡ください。
↓
https://recruit-mito-saisei.jp/entry
◆専門研修ブログもご覧ください!
当院には基幹型内科専門研修プログラムがありますが、その強みは消化器内科、循環器内科、腎臓内科の診療体制です。あなたも最短で内科専門医、そして施設を異動することなくサブスペシャルティ専門医と関連する各種の資格を取得できます。そんな内科専門研修プログラムを紹介するブログもぜひご覧ください。
↓
救命救急センターだより「当センターでの救急医の役割分担」
みなさんこんにちは、空飛ぶ消化器内科医を目指すNaoです。
以前の記事で次のチャンスでは「外傷外科医を目指したい」とうっかり書いてしまったために、記事を読んでくれた当院の外科のセンセイから「今後はぜひ一緒に」と声をかけてもらいました。最初は「うわ、やってしまった」と思いましたが、これはまたとないチャンスだと思いましたので、「是非呼んでください」と返事しました。今のところ実際には呼ばれていないのですが、この記事も読んでいただいていると思いますので、必ず、忘れずにぜひ呼んでくださいね!
さて前回の記事で紹介しましたが、当院の救急外来では一般日当直(walk in担当)、ER日当直(救急車対応)、ドクターカー番、ドクターヘリ番と4人の医師がおり、このうちER、ドクターカー、ドクターヘリを救急科が担当しています。ちなみにほかに、ICU当直、麻酔科当直、産婦人科当直がおり、研修医当直が2名おりますので、常時院内には最低でも研修医を含めて9名の医師がいます。
私はドクターカーだけ独り立ちさせてもらっているのですが、ER やドクターヘリはOJT(On the job training:上級医について仕事をしながら学ぶ)立場です。なぜドクターカーは独り立ちできて、ERとヘリは独り立ちできないのか、についてお話させていただこうと思います。私の個人的な意見も入る回ですのでその点よろしくお願いいたします。
まずは既に独り立ちしているドクターカー医師の役割について説明します。ドクターカーは水戸市からの委託事業であり、日中のみの運用となっています。カバー範囲はざっくりと水戸消防の管轄地域になります。ただし当院は水戸市の西のはずれの方にありますので、東のはずれに向かうと救急車でも30分以上かかります。
ドクターカーの場合は車で移動していますので、基本的にいざとなったら自分の病院へU-turnしてくれば良いということになります。とにかくABCを安定させることを考え、その後、純粋に患者さんの状態からどこに搬送すればよいかを考えるということになります。水戸市内ですので近隣病院の事情も頭に何となく入っていますし、医療機関の選定も比較的スムーズに行えます。
一方でドクターヘリはカバー範囲が県内全域、状況によっては隣県も含まれます。ドクターヘリの場合は、医療者の現場出動の他にヘリコプターによる高速搬送という役割もあります。「適当な医療機関」の選定範囲が陸送に比較し広くなりますので検討すべき事情が大きくなります。患者さんの状態、来院する家族の事情、交通事情や土地の状況・天候を踏まえた搬送手段および搬送先の選択、空中での急変に備えた準備(AMI疑いの患者さんにはあらかじめ除細動パッドを貼っておくなど)と考慮すべき事情が増えます。また多重事故や災害などドクターカーより大きな現場へ投入される可能性も大きくなります。そのため、ドクターカー医師より多くのことを考え対応できる必要があるのです。
最後はER番です。ER番は、おそらく救急科の先生たちは一番好きじゃないと思います。ER番は20名程度の救急科入院患者の対応と救急車、ドクターカーやヘリの搬送患者すべてに対応する必要があります。カーやヘリが出動していない時は、その担当医も手伝ってくれますが、ER処置中に呼ばれていなくなってしまうと、ER番の先生が全部自分でやらなければならなくなります。また、院内急変があった場合の対応もER番の医師がリーダーとなり対応することになるため、その肩に乗る責任は非常に大きくなります。
いつの日かERを任せてもらえる日が来るかもしれません。あまり望んではいませんが・・・(笑)
全然関係ないですが、最後に皆さんに一言。
いつも書いていますが、人生に無駄なことはないです。医学生の皆さんはこの後、初期研修、後期研修の中でやりたくもないことをやらされたり、経験させられたりすることがあることと思います。そのすべてとは言いませんが、でも多くの経験が何らかの形で役に立つ日が来ます。卒業試験や国家試験のために覚えるマイナーな病気も、役に立つ日が来ます。今与えられた役割をしっかりこなして、将来の研修・勤務先に当院を選んでいただけた日には、一緒に空を目指しましょう!(笑)
(Nao)
ICUでの処置中の一コマ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
水戸済生会総合病院の臨床研修は
総合診断能力を有するスペシャリスト
を目指します
◆病院見学に来ませんか?
当院の研修医がどんなふうに仕事しているのか?どんな生活を送っているのか?あなたの目で確かめてみてください!
病院見学をご希望の方は、下のフォームからご連絡ください。
なお、病院見学がむずかしい時は、Zoomで個別説明会を行っていますので、下のフォームに「Zoom希望」と記入してご連絡ください。
↓
https://recruit-mito-saisei.jp/entry
◆専門研修ブログもご覧ください!
当院には基幹型内科専門研修プログラムがありますが、その強みは消化器内科、循環器内科、腎臓内科の診療体制です。あなたも最短で内科専門医、そして施設を異動することなくサブスペシャルティ専門医と関連する各種の資格を取得できます。そんな内科専門研修プログラムを紹介するブログもぜひご覧ください。
↓
アナフィラキシー
小児科医を目指しているJ1のminimumが記事を書いてくれました。今回がブログのデビュー記事になります♪
少し前にニュースになったワクチン接種後のアナフィラキシーについてまとめてくれましたので、ぜひご覧ください。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
最近、新型コロナウイルスのワクチン接種によるアナフィラキシーショックのニュースがありましたが、世間の関心も高く、自分自身もう一度勉強し直したいと思いまとめてみました。
•アナフィラキシーとは?
<アレルゲン等の侵入により、複数臓器に全身性にアレルギー症状が惹起され、生命に危機を与え得る過敏反応>をアナフィラキシーといい、血圧低下や意識障害を伴うものをアナフィラキシーショックという。
(日本アレルギー学会)
診断基準は以下の通りです。
急速(数分〜数時間)に発現する以下の症状を①〜③いずれかを満たす
①皮膚粘膜症状+呼吸器症状、循環器症状どちらか
②皮膚粘膜症状、呼吸器症状、循環器症状、持続する消化器症状
③アレルゲン暴露後の急速な血圧低下 平常時血圧の70%以下 またはsBP90以下(11歳から成人)
※
皮膚粘膜症状:全身の発疹、掻痒、紅潮、浮腫
呼吸器症状:呼吸困難、気道狭窄、喘鳴、低酸素血症
循環器症状:血圧低下、意識障害
消化器症状:腹部疝痛、嘔吐
原因は薬剤、抗菌薬、造影剤、食物、蜂、蟻、ラテックスなど多岐にわたります。もちろん、コロナワクチンも含まれます。
アナフィラキシーの初期対応は次のようになります。
①バイタルサインの確認
循環、気道、呼吸、意識状態、皮膚、体重を評価する
②助けを呼ぶ
院内→蘇生チーム、院外→救急隊
③アドレナリン
0.01mg/kg 大腿外側 筋注 (最大量 成人0.5mg 小児0.3mg)
(新型コロナワクチンのアナフィラキシー時の緊急対応ガイドでは0.3mg)
④体位変換
(仰臥位、足を30cmほど高くする。 呼吸が苦しい場合は少し上体を起こす。嘔吐している時は顔を横向きにする。)
⑤酸素投与(6-8L フェイスマスクor経鼻エアウェイ)
⑥静脈ルート確保
⑦必要に応じて心肺蘇生
⑧バイタル測定
一番重要なのはアドレナリンの投与をためらわず速やかに行うことで、そのためには上記の診断基準を頭の中で整理しておく必要があります。また、アドレナリンについては、打つ部位、投与量、投与経路に関しても合わせて押さえておきたいところです。
私自身、まだそのような場に遭遇したことはありませんが、いざという時はすぐに体が動かせるよう準備したいと思っています。
(minimum)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
水戸済生会総合病院の臨床研修は
総合診断能力を有するスペシャリスト
を目指します
◆病院見学に来ませんか?
当院の研修医がどんなふうに仕事しているのか?どんな生活を送っているのか?あなたの目で確かめてみてください!
病院見学をご希望の方は、下のフォームからご連絡ください。
なお、病院見学がむずかしい時は、Zoomで個別説明会を行っていますので、下のフォームに「Zoom希望」と記入してご連絡ください。
↓
https://recruit-mito-saisei.jp/entry
◆専門研修ブログもご覧ください!
当院には基幹型内科専門研修プログラムがありますが、その強みは消化器内科、循環器内科、腎臓内科の診療体制です。あなたも最短で内科専門医、そして施設を異動することなくサブスペシャルティ専門医と関連する各種の資格を取得できます。そんな内科専門研修プログラムを紹介するブログもぜひご覧ください。
↓
救命救急センターだより「ECPELLA」
空飛ぶ消化器内科医を目指して修行中(いつまで続くんだろう…)のNaoです、こんばんは。
当院の救急科Drs+研修医たちはメールでつながっており(slackやteamsではないところがポイント)、毎日情報交換が行われています。そこで救急対応や集中管理で必要な知識を適宜共有してくれます。先日の救急医学会に関する話題が出ていた中で、「ECPELLA(エクペラ)」という言葉が出てきました。
ECPELLAの話の前に皆さんはE-CPRというものをご存じでしょうか。心肺停止例に対して心臓マッサージは当然行うのですが、これにV-A ECMOを導入することで(E-CPR)救命を図る方法です。PCPS研究会からの報告では2015年度のE-CPRによる救命率は44.6%に達したとされています。E-CPR症例は多少症例が選別されているかと思いますので、何でもかんでもE-CPRすれば救命できるというものではありませんが、症例を選ぶと単に救命率の向上だけでなく、救命後の神経学的予後を含めた向上が期待されます。
しかし、救命のためにV-A ECMOには悪い点もあります。それは、心停止から回復直後の心臓は機能が落ちていることが多く(有効な血圧が出せない、EFが保たれていないなど)、どうしてもV-A ECMOによるサポート量が多くなります。それでも、心機能の改善とともに機会によるサポート量を減らしてECMO離脱可能な症例がほとんどです。しかしながら、ECMO依存度が高い心臓の場合、V-A ECMOによる後負荷の増大がかえって回復の妨げになるということがあります。
ここで登場するのがIMPELLA(インペラ)であり、IMPELLA(インペラ)とECMO(エクモ)の組み合わせが、ECPELLA(エクペラ)といい、今後大きく期待されている領域です。
さて皆さんはIMPELLAをご存じでしょうか。IMPELLAは左室負荷を直接軽減する補助人工心臓の一つです。実は当院は茨城県で2番目にIMPELLAが可能となった施設で、2019年に施設認定を受けています。
IMPELLAは・・・と話を続けようと思ったのですが、話が長くなるうえに、よく見てみたら当院の循環器内科のホームページでとても詳しく解説されていますのでそちらを診てもらったほうが良いでしょう。
3次救急の世界は、治療法があるだけではだめです。救命に携わる者が、その治療法があることを理解していないといけません。ECPELLAは医療コストはかかる治療ですので、乱発することは許されませんが、これにより職場復帰している症例が少なからず存在していることもまた事実ですので、いざというときの一つの治療手段として皆さんも覚えていてください。
研修医のうちに救急救命の世界を見ておきませんか?将来、救急医になるつもりがないあなたこそ、初期研修中に三次救急の世界で一緒に戦いましょう!待ってます!
(Nao)
ERの一コマ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
水戸済生会総合病院の臨床研修は
総合診断能力を有するスペシャリスト
を目指します
◆病院見学に来ませんか?
当院の研修医がどんなふうに仕事しているのか?どんな生活を送っているのか?あなたの目で確かめてみてください!
病院見学をご希望の方は、下のフォームからご連絡ください。
なお、病院見学がむずかしい時は、Zoomで個別説明会を行っていますので、下のフォームに「Zoom希望」と記入してご連絡ください。
↓
https://recruit-mito-saisei.jp/entry
◆専門研修ブログもご覧ください!
当院には基幹型内科専門研修プログラムがありますが、その強みは消化器内科、循環器内科、腎臓内科の診療体制です。あなたも最短で内科専門医、そして施設を異動することなくサブスペシャルティ専門医と関連する各種の資格を取得できます。そんな内科専門研修プログラムを紹介するブログもぜひご覧ください。
↓