臨床研修ブログ

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貧血の鑑別・・・RI(網状赤血球指数)

2022.04.14
カテゴリー: カンファレンス 内科

今回はJ1のミッフィーが貧血の鑑別、特に網状赤血球指数を中心にまとめてくれたのでシェアします。

 

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担当した患者さんのプロブレムに貧血(その患者さんは正球性貧血でした)があったので、貧血の鑑別について調べてみました。

まず貧血がある場合、他に白血球減少や血小板減少がないか確認します。あれば造血器疾患や骨髄疾患を考えます。

次にRI(網状赤血球指数)を調べます。

RIは以下の式で求めるものですが、RIが2以上であれば骨髄の造血は正常の反応であり、2以下だと反応が低下しているとわかります。

ちなみに網状赤血球とは、赤血球の中で最も若いもので、赤芽球が成熟し脱核した1~2日以内の赤血球のことを指します。正常値は4~19‰(パーミルと読みます)で、パーミルは%(パーセント)の1/10の単位なので、0.4~1.9%でも同じことです。また、RIはReticulocyte Indexの略ですが、RPI(Reticulocyte Production Index)と書かれているものもありますが同じことです。

RI >2の場合、さらに溶血しているか検査し、溶血がない場合出血を考えます。溶血ある場合は自己免疫性溶血性貧血や、遺伝性球状赤血球症、発作性夜間血色素尿症などの溶血性貧血を考えます。

RI<2の場合、MCVを確認し、それぞれ大球性貧血、正球性貧血、小球性貧血の鑑別を行います。

小球性貧血ではフェリチンが低下していれば鉄欠乏性貧血。フェリチンの低下なければ慢性疾患に伴う貧血。

正球性貧血では慢性腎臓病や脾腫、甲状腺機能を確認し、腎性貧血や脾機能亢進症、甲状腺機能低下症を鑑別として考えます。

大球性貧血ではビタミンB12欠乏や葉酸欠乏がある場合、巨赤芽球性貧血を考えます。

 

実は国家試験勉強中、貧血の問題が出てきたら鉄欠乏貧血や溶血性貧血など国家試験に出やすい種類の貧血の鑑別をまず考えていましたが、実際には胃潰瘍や大腸癌など出血に伴う貧血や腎性貧血、慢性疾患に伴う貧血など、患者さんの背景を踏まえて鑑別することの大切さを学びました!

(ミッフィー)

今日はペースメーカー植え込みの助手

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脊髄空洞症

2022.01.18
カテゴリー: カンファレンス 内科

J1の Dr.muscle が自分の経験症例からのまとめを書いてくれたのでシェアします。

 

この記事のように、自分が関わった患者さんの主病名はもちろん、主病名以外の既往などから知らない疾患とかあやふやな点を拾い上げ、調べて整理しておくのが一番効率の良い勉強法だと思います。

 

ちなみにペンネームのDr.muscleは同期の研修医たちが名付け親です。理由はあなたのご想像通り・・・です。

(編集長)

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今回、既往に脊髄空洞症の手術歴があり、尿道カテーテル長期留置患者の尿路感染症という症例を受け持つことになったので、脊髄空洞症について調べてみました。

 

【脊髄空洞症とは】

脊髄の中に液体がたまり、脊髄がちくわのように空洞が形成され、脊髄の中心部分を交差する温痛覚が宙吊り型(上肢・胸部のみ障害され、頭部や下肢は正常)に障害されます。また、病状の進行に伴い、脊髄の中心以外にも空洞が広がるため、筋力低下や自律神経障害など多様な神経症状を引き起こします。

 

原因としてはキアリ奇形が原因となることが多いですが、脊髄損傷や脳脊髄神経の癒着を起こすような病気でも起こります。片手の痛みや温痛覚障害で発症することが多く、その後徐々に両上肢の麻痺が進行し、治療せずに放置した場合は下肢にまで麻痺がおよび、車いすが必要になることも。

 

ちなみに、キアリ(Chiari)奇形の定義は以下の通りです。
1型:小脳扁桃が大後頭孔より3mm以上下垂し、原則として小脳扁桃の変形を生じているもの。延髄の下垂を伴ってもよい。
2型:小脳下部(主に虫部)と延髄が大後頭孔より下垂し、第4脳室も下垂する。原則として腰仙部に脊髄瘤又は脊髄髄膜瘤を伴う。

治療としては空洞を縮小させる手術の他はありません。

 

手術法としては大後頭拡大術・空洞短絡術があり、どちらも全身麻酔下に行います。

 

・大後頭拡大術

キアリ奇形が原因となっている脊髄空洞症に有効

頭蓋骨から脊柱管に移行する部分を拡大させて、脳脊髄液の流れを改善する。

 

・空洞短絡術

脊髄空洞内に直接カテーテルを留置し、そのチューブから他の場所へ空洞内にたまった水を逃がす。具体的には『空洞-くも膜下腔シャント(SS shunt)』が行われることが多い。

 

手術による合併症としては手足のしびれや動きの悪化、髄液瘻や髄膜炎、感染などが挙げられます。手術によって空洞は縮小し症状の悪化を止められることは多いですが、空洞が縮小しても、手足のしびれや痛みは残存し、期待通りの神経症状の回復はできないことは少なくなく、そのような場合は内服での治療を継続する必要があります。

 

以上です。国家試験の際になんとなく宙づり型というキーワードは目にしたことはあったのですが、それ以外、治療法や予後などについてはほとんど知らなかったのでとても勉強になりました。

(Dr. muscle)

頚髄レベルの脊髄空洞症

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画像問題・胸部レントゲン

2022.01.06
カテゴリー: カンファレンス 内科

胸部レントゲンは基本の検査ですが、実際のところ読影はすごく難しいものです。パッと見た時の印象も大事ですし、細かい所見を丹念に見ていくことも大事です。

 

そんな胸部レントゲンから決して難しくはないけど、研修医が意外と分かっていないものを取り上げてみます。

 

今回はこのレントゲン。

 

あとで質問するので、まずはじっくり見てください。

あ、ペースメーカーが入っていますが、これは気にしなくてOKです。

そろそろイイですか? では、質問です。

左右の下肺野の透過性が異なっていますが、どうしてでしょうか?

もちろん、画面が小さくとも、この解像度でも分かることです。

正解は・・・・・、右乳房切除後だからです。

 

よく見ると、下記の矢印ように乳房の輪郭が左では見えているのに、右では見えていません。

 

 

正解できましたか?

この症例は80歳台の女性のもの。本人も忘れているくらい昔に乳がんで手術を受けた方です。

 

今は乳がんでも、乳房を温存する術式が多いですが、以前は乳房切除が当たり前でした。患者さんを診察すればすぐにわかることですが、左右の胸壁の厚さが明らかに異なっているので、レントゲンでも左右差が出ます。ときどき遭遇しますので、覚えておくとイイですよ。

(編集長)

 

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喘息の話(6)・・・吸入薬の特性

2021.11.27
カテゴリー: カンファレンス 内科

井上先生の呼吸器レクチャーからです。

 

今回は吸入薬の特徴です。あくまで井上先生の私見ということでご覧いただきたいのですが、吸入薬を外来で処方する機会もそれなりにある編集長としては、非常に納得する部分と、目からうろこの部分がありました。あなたも、是非とも患者さんに合わせて使い分けられるようになってください。

 

【タービュヘイラー】

<良い点>

・違和感が少ない

・合剤、単剤の変更がしやすい

<悪い点>

・吸った感じがあまりしない

・操作が難しい

 

【ディスカス】

<良い点>

・操作は簡単

・吸った感覚がある

・合剤、単剤の変更がしやすい

<悪い点>

・違和感が強い

・いずれ無くなる?

 

【エリプタ】

<良い点>

・操作の手順が最も簡単

・ラインナップが多い

<悪い点>

・ためしができない

・違和感は強い

 

【ブリーズヘラー】

<良い点>

・吸った感覚がある

・吸う時に音が出る

<悪い点>

・吸入後の席がある

・詰め替えが必要

 

【ジェヌエア】

<良い点>

・吸ったときに表示が変わる

<悪い点>

・ラインナップが少ない

 

【レスピマット】

<良い点>

・肺への拡散が良好

・吸入力が少なくとも大丈夫

<悪い点>

・操作に力が必要

・吸入のタイミングが必要

 

【エアゾール】

<良い点>

・違和感が少ない

・吸入力が少なくとも大丈夫

<悪い点>

・タイミングが合わないと吸えない

・アルコール臭がある製品もある

 

あなたも「患者さんが使える吸入薬」を選ぶ時の参考にしてみてください!

(編集長)

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喘息の話(5)・・・吸入薬の指導

2021.11.25
カテゴリー: カンファレンス 内科

井上先生の呼吸器レクチャーからです。

 

前回は喘息の長期管理について紹介しました。

その中に「服薬アドヒアランスは良好か?吸入手技が正しいか?」というチェック項目がありました。喘息でもCOPDでも吸入薬が治療の中心となりますので、正しく吸入できているかは大変重要なポイントです。そこで10月に続いて、11月も井上先生に吸入指導についてのZoomレクチャーをお願いしました。

 

喘息やCOPDで使われる吸入薬にはICS(吸入ステロイド)、LABA(長時間作用型β刺激薬)、LAMA(長時間作用型抗コリン薬)がありますが、単剤のものやICS+LABAやLABA+LAMAの2剤合剤、今ではICS+LABA+LAMAの3剤合剤があり、非専門家にはとても覚えられません。しかも、ご覧の通りいろいろなタイプのデバイスがあります

 

井上先生の診察室にある吸入器たち

 

使い方をきちんと指導して、患者さんができるようにならないと・・・

・ふたを開けないで吸入する

・タンクを装着しないで使用している

・吸入剤に息を吹き込んでしまう

・吸入剤のカプセルを飲んでしまう

・吸入剤の粉末を水に入れて飲んでしまう

・吸入剤を部屋に噴霧している

などと、笑い話のようなことがホントに起こってしまっています。

 

どんなに「エビデンスがある」とか「効果が強い」と言っても、個々の患者さんが吸入できなければ意味がありません。井上先生も「吸入できる薬剤であることが絶対条件」と何度も強調していました。

 

井上先生の吸入剤の使い分けのポイントとして

・吸入を自分のタイミングしたい・・・DPI(ドライパウダー吸入)

・吸入力が弱い・・・pMDI、ソフトミスト

・吸入した感覚が欲しい・・・音、味がある

・吸入の違和感が嫌・・・粒子が細かい

・手先が不自由・・・力がいらないもの

・介護が必要・・・外から見て吸入が分かる

といったことを挙げていました。

 

次回はそれぞれの吸入剤の特性について紹介します。

 

*なお、それぞれの吸入剤の使い方やピットフォールについても、もちろん教えてもらいましたが、ここでは割愛しました。もし興味のある方はお問い合わせフォームからご連絡ください。動画を閲覧できるようにいたします。

(編集長)

相変わらず分かりやすい話でした!

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喘息の話(4)・・・井上先生の呼吸器レクチャー@Zoom

2021.11.20
カテゴリー: カンファレンス 内科

井上先生の呼吸器レクチャーからです。前回は喘息の治療について紹介しました。症状から治療ステップを選択するというものです。

 

しかし実際の臨床では、なかなか症状がコントロールできない場合があります。そんな時の診療の進め方がガイドラインにあります。

 

 

他に井上先生は、喘息のコントロール状態について医師と患者との間で認識に大きなギャップがあることを強調していました。治療を受けている患者らを調べると、医師側は79%でコントロール良好と認識していたのに、患者側では約半数しかコントロール良好と回答していなかったというデータがあるそうです。つまり、患者側の喘息治療に対する治療満足度が低いということです。

 

もう一つ、全身ステロイド投与、つまり経口とか点滴でのステロイド投与についてですが、長期に全身投与することは、いろいろ問題があるのは容易に想像できると思います。ですので、喘息コントロールのための経口ステロイドの使用は短期間の間欠投与(ステロイドバーストと呼ぶそうです)が原則です。

 

でも、ステロイドバーストを年4回以上行っていると、いくら短期使用といっても、骨粗鬆や高血圧、肥満、糖尿病などのリスクが上昇してしまいます。ですので、年に何度もステロイドの全身投与をするような患者さんでは、生物学的製剤の位置づけが高くなっているそうです。生物学的製剤は値段も高くて使用に条件がありますので、専門医に紹介して導入してもらいましょう。

 

まとめると、喘息の管理目標である

 

1、症状のコントロール(発作や喘息症状がない状態を保つ)

2、将来のリスク回避(喘息死回避、急性増悪予防、呼吸機能の経年低下抑制、治療薬の副作用回避、健康寿命と生命予後を良好に保つ)

 

これらを意識しながら、患者さんの満足度を高めるように積極的な治療を行う必要があります。

(編集長)

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喘息の話(3)・・・井上先生の呼吸器レクチャー@Zoom

2021.11.16
カテゴリー: カンファレンス 内科

前回の続きです。

前回は喘息を疑ったら、ICS/LABA(吸入ステロイド/長時間作用型β刺激薬)を使って積極的に診断していきましょうという内容でした。

 

では、診断したら治療を行う訳ですが、喘息ではICSが治療の中心になることは、どこかで聞いたことがあるはずです。このICSが導入されたことで、1995年から2013年までの18年間で、喘息による死亡が80%近くも低下しています。凄いですよね。こんなに死亡率が低下した疾患は他にないそうです(編集長としてもすごく実感します)。

 

さて、治療を行う際には症状の重症度をおさえたうえで、治療ステップに基づいて薬剤の選択をしていきます。重症度や治療ステップの表は見たことあると思いますが、その中から長期管理のための基本治療薬をまとめると以下のようになります。

 

なお、発作時はいずれのときでもSABA(短時間作用型β刺激薬)が基本となります。

 

【軽症間欠型】

頻度:週1回未満

強度:症状は軽度で短い

夜間症状:月2回未満

➡治療ステップ1

  ・低用量ICS

  ・LTRA(ロイコトリエン受容体拮抗薬)内服

  ・テオフィリン徐放剤内服

 

【軽症持続型】

頻度:週1回以上だが、毎日ではない

強度:月1回以上、日常生活や睡眠が妨げられる

夜間症状:月2回以上

➡治療ステップ2

  ・低~中用量ICS+LABAまたはLAMA(長時間作用型抗コリン薬)

  ・LTRA内服

  ・テオフィリン徐放剤内服

 

【中等症持続型】

頻度:毎日

強度:週1回以上、日常生活や睡眠が妨げられる。しばしば増悪

夜間症状:週1回以上

➡治療ステップ3

  ・中~高用量ICS+LABA+LAMA

  ・LTRA内服 

  ・テオフィリン徐放剤内服

  ・抗IL-4受容体α鎖抗体(デュピルマブ)

 

【重症持続型】

頻度:毎日

強度:日常生活に制限、しばしば増悪

夜間症状:しばしば

➡治療ステップ4

  ・高用量ICS+LABA+LAMA

  ・LTRA内服

  ・テオフィリン徐放剤内服

  ・抗IgE抗体(オマリズマブ)

  ・抗IL-5抗体(メポリズマブ)

  ・抗IL-5受容体α鎖抗体(ベンラリズマブ)

  ・抗IL-4受容体α鎖抗体(デュピルマブ)

  ・経口ステロイド薬

  ・気管支熱形成術

 

次回紹介する予定ですが、ポイントは経口ステロイド薬よりも生物学的製剤の位置づけが上に来ていることに注意しましょう。

(編集長)

ER当直中の一コマ

(手を出したいけど、出さない指導医)

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喘息の話(2)・・・井上先生の呼吸器レクチャー@Zoom

2021.11.11
カテゴリー: カンファレンス 内科

井上先生の呼吸器レクチャーからです。今回は喘息を疑った時の対応についてです。

 

前提として、

・喘息は小児から高齢者まですべての年代において発症し得る疾患

・喘息の診断には「ゴールデンスタンダード」となりうる客観的指標はない

・喘息の診断には症状が重要なので、詳細な問診が必要

・症状の中で最も特異性の高い症状が「喘鳴」、最も頻度が多いのが「咳嗽」

 

これらを踏まえて、まず問診チェックリストを用います。

・「大項目+小項目のうちいずれか1つ以上」あれば喘息を疑い、次に紹介する診断アルゴリズムに移ります。

 

<問診チェックリスト>

大項目

  喘息を疑う症状(喘鳴、咳嗽、喀痰、胸苦しさ、息苦しさ、胸痛)がある

 

小項目

〔症状〕

 ①ステロイドを含む吸入薬もしくは経口ステロイド薬で呼吸器症状が改善したことがある

 ②喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒュー)を感じたことがある

 ③3週間以上持続する咳嗽を経験したことがある

 ④夜間を中心とした咳嗽を経験したことがある

 ⑤息苦しい感じを伴う咳嗽を経験したことがある

 ⑥症状は日内変動がある

 ⑦症状は季節性に変化する

 ⑧症状は香水や選考などの香りで誘発される

〔背景〕

 ⑨喘息を指摘されたことがある(小児喘息も含む)

 ⑩両親もしくは兄弟に喘息がいる

 ⑪好酸球性副鼻腔炎がある

 ⑫アレルギー性鼻炎がある

 ⑬ペットを飼い始めて1年以内である

 ⑭末梢血好酸球が300/μl以上

 ⑮アレルギー検査(血液もしくは皮膚検査)にてダニ、真菌、動物に陽性を示す

 

繰り返しになりますが、上記チェックリストで「大項目+小項目のうちいずれか1つ以上」あれば、下記のアルゴリズムに従って診断します。

 

日本喘息学会 喘息診療実践ガイドライン2021より 

 

これを見ると分かりますが、喘息を疑ったらICS/LABAを試して積極的に喘息を診断しに行きましょうという感じが伝わりますね。

(編集長)

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喘息の話(1)・・・井上先生の呼吸器レクチャー@Zoom

2021.11.09
カテゴリー: カンファレンス 内科

今年度から始まった井上先生の呼吸器レクチャー@Zoomが先日開催されました。

 

今回のタイトルは「それでいいのか?喘息、COPDの診療」ちょっと攻めた感じでした(理由は井上先生の専門領域だからです)。今回から井上先生のレクチャーの中から気管支喘息(以下、喘息)について紹介していきます。

 

まず、あなたの喘息に対するイメージはどんなものでしょうか?

ゼーゼーしながら病院に来て、吸入や点滴をすると良くなって帰宅する病気と言った感じでしょうか?

 

編集長が研修医の頃は喘息発作の入院が多くて、それはもっぱら研修医の仕事でしたが、今は喘息発作の入院を経験したことがない研修医が大半かもしれません。。

 

ところが、喘息として治療を受けている人は約111万人(2017年統計)ですが、喘息様の症状がある人は数百万人いると推定されているそうです。その全てが喘息ではないとしても、、喘息と診断されておらず、未治療の人がまだまだ多いということです。

 

その未治療の喘息患者さんを診断し、治療に結び付けていくにはどうしたら良いか?それにはあなたが喘息を診断しなければいけません。

 

では、どうやって診断しますか?

初めに喘息の定義を振り返ってみると、
「気道の慢性炎症を本態とし、変動性を持った気道狭窄(喘鳴、呼吸困難)や咳などの臨床症状で特徴付けられる疾患」

となっています。

 

ここでのポイントは、纐纈奴や糖尿病などと異なり、数値が入っていないぼんやりした定義だということです。つまり、何か検査をして喘息と診断する訳でなく、症状から疑っていく必要があるということです。

 

具体的には

 風邪でもないのに・・・、

 冷たい空気を吸うと・・・、

 風呂の湯気を吸うと・・・、

 タバコや線香の煙で・・・、

 天気が悪くなると・・・、

 

 咳が出る

 息が吸いづらい

 胸が重苦しい

 胸が圧迫される

これらは喘息の症状かもしれません。

 

実際のところ、長引く咳の原因の7割が喘息関連(咳喘息+咳優位型喘息)というデータがあるそうです。(Niimi A et al. J Asthma. 2013; 50: 932 937)

 

繰り返しになりますが、あなたが「もしかしたら喘息かもしれない」と疑うことが未治療の喘息を診断する第一歩になります。

 

次回は、喘息を疑ったときの対応を紹介します。

(編集長)

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高齢者の食欲不振

2021.09.28
カテゴリー: カンファレンス 内科

今回はJ1で総合内科をローテー中のE.Tが記事を書いてくれました。よく遭遇する問題の鑑別のヒントです。

 

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誤嚥性肺炎で入院された患者さん。抗菌薬の治療で熱も下がって呼吸状態も良くなってきて、よし退院だと思っていたら、なんだかご飯を全然食べてくれなくて困り果ててしまいました…。

 

なにか介入できる原因はないか?食欲低下や体重減少を鑑別する時に使えるゴロを紹介します!

 

それが、MEALS ON WHEELS

(車輪の上に乗った食事、いわゆる配食サービスの意味です)

 

M:Medication 薬剤

E:Emotional  特にうつ病

A:Alcoholism, Abuse, Anorexia アルコール依存、拒食症

L:Late life paranoia 老年期妄想

S:Swallowing problems 嚥下障害
O:Oral Problems  義歯が合っていない、虫歯、口内炎

N:Nosocomial infections, No money  院内感染、金欠
W:Wandering 認知症など行動異常

H:hypothyroidism, Hyperglycemia 甲状腺機能低下症、高血糖

E:Enteral problems: 吸収障害など

E:Eating problems 自分で食べられない

L:Low salt, Low cholesterol カロリー不足など

S:Stones, Shopping problems, Social Problems, isolation 買物、社会的問題、孤独

 

これで原因を鑑別してみてください!

 

ちなみに、薬で食欲増やしてください!と言われたら、なかなか厳しいですが、、、食欲増やすと言われている薬はこちら↓↓↓

 

・副腎皮質ステロイド
・抗精神病薬(オランザピンなど)
・ヒスタミン受容体(H1受容体)拮抗薬(ザイザル、アレロック、ペリアクチンなど)

 

よければ参考にしてみてください!

(E.T)

このカルテ書き終えればちょっと休憩♪

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水戸済生会総合病院の臨床研修は

総合診断能力を有するスペシャリスト

を目指します

◆病院見学に来ませんか?

当院の研修医がどんなふうに仕事しているのか?どんな生活を送っているのか?あなたの目で確かめてみてください!

病院見学をご希望の方は、こちらからご連絡ください。

https://recruit-mito-saisei.jp/entry

 

◆レジナビFairでの病院紹介動画が見れます!

6月21日に開催されたレジナビFairでの紹介動画(11分)を、こちらからご覧いただけます。ぜひご覧ください!

初期研修紹介動画

 

◆水戸済生会の内科専門研修説明動画はこちら

「レジナビFair 専門研修(内科)プログラム」で紹介された説明動画がご覧いただけます。

内科専門研修プログラム動画