臨床研修ブログ

水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
医師の生涯のうち最も実りある初期臨床研修期間を私たちは強力にサポートします。

P(リン)のお話・3

2019.02.05

今回は低P血症に関してです。

 

前々回のPの体内動態から考えて

わかるように、低P血症の原因も

①腎臓からの排泄増加

②腸管からの吸収低下

③細胞内への移行

に分けて考えることができます。

 

①腎臓からの排泄増加

 副甲状腺機能亢進症

 先天性疾患(骨軟化症、X連鎖性低P血症性くる病など)

 腎移植後

 薬剤(利尿剤、抗がん剤、グルココルチコイド、

 アセトアミノフェン、フェジン®)

 Fanconi症候群

 

②腸管からの吸収低下

 経口摂取低下

 ビタミンD不足

 慢性下痢

 P吸着剤

 慢性飲酒

 

③細胞内への移行

 呼吸性アルカローシス

 Hungry bone syndrome             

 糖尿病性ケトアシドーシスの治療中

 栄養失調やアルコール依存者への栄養補給

 白血病

 テオフィリン

 

などが挙げられます。

薬剤性のものとしてアセトアミノフェン

とありますが、こちらは中毒の際に

起こる可能性がある程度です。

 

フェジンでの低P血症に関してはPTHの

活性型ビタミンD産生作用の低下や

尿細管での再吸収の抑制が考えられて

います。

 

糖尿病性ケトアシドーシスの場合、

細胞内からPが細胞外へ移動して

いるため、濃度は正常に見えるが

体内のPが減少しています。その状態で

治療することにより低P血症を起こす

ことがあります。

 

急激なPの低下は横紋筋融解などを

引き起こす可能性もあるため、Pを補充

しながら治療することが必要です。

 

また外来で見かける軽度の低P血症の

中には、食後採血で細胞内にPが取り

込まれているだけのものもあるので

正確なPの値としては、空腹時が望ましい

とされています。

 

治療としては経口での摂取になります、

その際、乳製品などを積極的に摂取して

もらうように指導を行うこととなります。

 

1.0㎎/dl未満の高度の低P血症の場合には

リン酸Naなどを使用して経静脈的に

補正することになります。

 

ICUなどで高カロリー輸液などを行う際に

低P血症に気づかず行ってしまうと

肝機能障害などを起こすことがあるため

注意が必要です。

(腎臓内科のベイマックス)

—–

頭が真っ白になりました・・・

2019.02.04
カテゴリー: 水戸医学生セミナー

「冷静に考えればそんなに難しいこと

じゃないのに、あの場でいろいろ言わ

れると頭が真っ白になる・・・・。

できなかったことは悔しいけど学生の

うちに「知っているのとできるのは違う」

ってことに気が付けたのは大きな収穫

でした。」

 

 

これは水戸医学生セミナーでのメディカル

ラリーを終えた直後の参加者の言葉です。

ラリー中に、この医学生が何をしていい

のか分からず立ち尽くしていたので、

終了後にスタッフが「どうでした?」と

尋ねたらこの言葉が返ってきたそうです。

 

水戸医学生セミナーでのメディカルラリー

は医学生と研修医の4,5名が1チームと

なって、約20分間のラリー中にスタッフ

が演じる患者のトリアージ、診断、処置を

行い、その点数を競うものです。

スタッフは臨調感あふれる演技で、

参加者を戸惑わせます。

 

冒頭の医学生は、外傷患者を評価して、

それに続けて現場での処置をしようとして

いたのですが、別の傷病者役のスタッフから

「はやく何とかしてくれ!」と大声で

言われてしまったことで頭が真っ白に

なってしまったのです。

 

あなたが知識としては知っている、理解

していることでも、実際にやってみると

出来ないことは多くあります。

 

「そんなに難しいことじゃないのに・・・、」

と、「できない自分」と今のうちに対峙

しておくことは、これからの臨床の現場

に出ていくあなたにとって間違いなく

貴重な経験になります。

 

そんな

な経験ができる水戸医学生

セミナーのメディカルラリーに

ぜひ、あなたも挑戦してください!

 

参加者のラリーの感想は

・リアリティーを追及しており、とても

 楽しむことが出来た

・とても緊迫感があり、現実差があり勉強に

 なった

・大学の実習ではできない経験をたくさん

 得ることができた

・実際に体を動かすことの難しさを痛感した

・何もできなくて情けなく思ったが、本当に

 貴重な経験になった

 

 

水戸医学生セミナーは外傷を含めた

救急医療や身体診察を通した内科診断学、

言うなれば臨床における「動」と「静」

学べる究極の「体験型セミナー」です。

 

平成31年3月2日(土)と3日(日)の

2日間で開催します。

 

あなたも是非メディカルラリーに挑戦

してください!参加をお待ちしています! 

 

開催概要はこちら

 

第19回水戸医学生セミナーの

申込みはこちらのメールから

entry@mito-saisei.jp

 

メールには

・お名前

・大学名および学年

・住所

・携帯電話(前日や当日の連絡先)

 

以上を必ずご記入ください。

お申し込み後は、自動返信メールが

送信されます。

追って担当者からご連絡します。 

(編集長)

 

 

—–

P(リン)のお話・2

2019.02.02

今回は高P血症についてです。

ほとんどは低Ca血症に伴うもの

と言われていますが、高P血症の

原因としては

 

①腎臓からの排泄低下

②腸管からの吸収亢進

③細胞内からの移行

④偽性高P血症

に分けることができます。

 

①腎臓からの排泄低下

 腎機能低下

 副甲状腺機能低下症

 偽性副甲状腺機能低下症

 末端肥大症

 ビスホスホネート製剤

 

②腸管からの吸収亢進

 経口摂取の増加

 ビタミンD過剰

 

③細胞内からの移行

 二次性副甲状腺機能亢進症

 呼吸性アシドーシス

 腫瘍崩壊症候群

 

④偽性高P血症

 高γ―グロブリン血症

 高ビリルビン血症

 脂質異常症

 溶血

 

以上のような鑑別が挙げられます。

副甲状腺機能低下症と二次性

副甲状腺機能亢進症があるので

混乱があると思いますが、

副甲状腺機能低下症の場合には

腎臓からのP排泄にかかわるPTHが

不足するため高P血症となります。

 

一方、二次性副甲状腺機能亢進症

の場合には腎機能が廃絶している

ためPが排泄されず、PTHの作用

により骨からPが遊離するために

起こります。

 

臨床でよく見かける内服薬として

ビスホスホネート製剤もありますが、

こちらは近位尿細管からのP吸収を

増大させる作用があるため起こります。

 

治療としては食事からのP制限と

P吸着薬が基本となります。

 

食事のP制限に関しては乳製品や

たんぱく質を多く含むものの制限が

必要になることが多く、いつも

栄養士さんが良く指導をしてくれます。

 

おなじ肉でも鶏肉のほうが牛肉より

Pの含有率が低いなど食材の工夫も

必要になります。

 

P吸着薬に関してはいくつか種類が

あり、Ca系、Fe系、ポリマー系、Rn系

などがあります。透析をしているか

どうか、Caやi-PTHなどのホルモンも

含めて個々の患者さんに合わせて

どの薬剤を選択するのかを検討する

必要があります。

 

またP低下作用の強さや副作用なども

それぞれ違いますし、内服のしやすさ

なども検討する必要があります。

 

次回は低P血症について紹介します。

 (腎臓内科のベイマックス)

 

病棟での一コマ

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