臨床研修ブログ

水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
医師の生涯のうち最も実りある初期臨床研修期間を私たちは強力にサポートします。

透析患者の血糖コントロール指標

2023.03.07
カテゴリー: カンファレンス 内科

糖尿病で維持透析中の患者さんが入院してきました。採血データをみると、HbA1cが5.9%と正常範囲内でした。ところが、内服薬を確認するとDPP4阻害薬を服用していました。コントロールは非常によいのに、なぜDPP4阻害薬を継続しているのでしょうか?

 

糖尿病のコントロール目標としてHbA1cが使用されるのはご存じの通りです。過去1~2か月の平均血糖値を反映する便利な指標です。ところが、一般的に透析患者さんはHbA1cが低くなって、平均血糖値と解離することが知られています。ですから糖尿病のコントロール指標としては不適とされています。

 

HbA1cは、すごく単純に言うと砂糖漬けのヘモグロビンの割合のことですが、これは平均血糖だけでなく赤血球寿命にも関連があります。具体的には出血や溶血性疾患、肝硬変のときには低値になります。

 

透析患者は透析による失血(回路内の残血など)や出血、エリスロポエチン製剤による幼弱赤血球の増加などの影響でHbA1cが低値、つまり過小評価になるのです。

 

そんな透析患者さんの血糖コントロールに役立つ指標がグリコアルブミン(GA)です。

 

グリコアルブミンは血清アルブミンの糖化産物のことで、半減期約17日。つまり約2週間の平均血糖を反映しています。基準値は11~16%。血糖の管理目標としては20%未満が目標とされています。

 

冒頭の患者さんに戻ると、HbA1cは5.9%でしたが、GAは20.1%とやや高めでしたので、DPP4阻害薬の継続が必要なことが理解できました。

(編集長)

参考文献:糖尿病治療ガイド2022ー2023

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インスリンを処方する時に覚えておくべきこと

2023.03.04
カテゴリー: カンファレンス 内科

病棟で看護師さんから「インスリンがもうなくなるので処方して下さい」と言われました。つい2日前にその患者さんに処方した記憶があるけど・・・、と思いつつ言われた通りに処方しましたが、どうもスッキリしません。

 

ちなみにその患者さんは、入院前には3種類の経口糖尿病薬を処方されていましたが、今回は肺炎で入院して、血糖コントロールが悪化していたのでインスリン強化療法を行っていました。具体的にはノボラピッド朝14単位、昼10単位、夕10単位とグラルギンを眠前に12単位で打っています。実は2日前に処方したのはグラルギンで、今日言われたのはノボラピッドの方でした。

 

さて、あなたはグラルギンが何日で無くなるか、ノボラピッドは次に何日後に処方しなくてはいけないか、分かりますか?

 

研修医に聞いてみると、たいてい答えが返ってきません(笑)。でも難しくないので、覚えておくと便利です。

 

患者さんが使うインスリンには、プレフィルドタイプとカートリッジタイプの2種類がありますが、いずれも1本あたり300単位入っています(ランタスXRという製剤のみ450単位入っています)。そして、インスリンを1回打つごとに、空打ち分として2単位必要になります。

 

つまり、1回打つたびに「打つ単位数+2単位」必要になることを覚えておけば大丈夫です。

 

冒頭の例で考えると・・・・、

 

グラルギンは1日1回12単位ですから、1日あたり12+2=14単位を使用することになります。グラルギン1本に300単位入っていますから、300÷14=21日分ということになります。

 

ノボラピッドでは、1日3回で14+10+10=34単位となりますが、空打ち分として毎回2単位ずつ必要になるので2×3=6単位

つまり1日あたり34+6=40単位を使用することになります。ノボラピッドも1本に300単位入っていますので、300÷40≒7日分ということになります。

 

そうなると、グラルギンは3週間に1本処方、ノボラピッドは1週間に1本処方でOKということになります。

 

またインスリンの際に必要な注射針についても簡単です。当院で採用されているナノパスニードル®は1パックに14本入っているので、インスリン強化療法(=1日4回打ち)をやっている時は、2パック処方すれは1週間もつことになります。

 

これらを前もって処方しておけば、看護師さんからのPHSが減ることになりますので、ぜひ覚えておいてください。

(編集長)

病棟で看護師さんと情報共有

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病院見学のススメ

2023.03.02
カテゴリー: 初期研修

3月になりました。コロナも落ち着いてきて、世間では卒業旅行など、春休みはすごくにぎわっているようです。国試の発表まで、まだ時間があるあなたは残りの時間を有効に使って下さいね。

 

そして4年生や5年生のあなたは、春休み中の病院見学をいろいろ計画しているところかと思います。もちろん、せっかくの春休みですから遊びにも行って欲しいですが、春休みが終わるとあっという間にマッチング面接の時期になってしまいます。まだ時間があると思わないで、少しずつでも情報収集を始めるのが良いと思います。

 

時間や予算の制約があるかもしれませんが、自分の研修先(=就職先)を決めるのですから、それなりの時間と労力を費やすことは必要だと思います。そこで、このブログでは何度も取り上げていますが、研修先を決める時のコツを紹介します。

 

①気になる病院には、可能な限り病院見学に行くべきです。

レジナビなどのリアルイベントも再開されていて、当院も3月19日に東京ビックサイトで開催されるレジナビフェアに参加予定です。このようなイベントは、情報収集を効率的にできる点でぜひ利用すべきと思います。が、それで安心しないで、気になる病院や候補の病院には可能な限り病院見学に行ってください。実際に病院見学に行ってみると、それぞれの病院によって想像以上に雰囲気が違うことに気づくはずです。行けない時には、Web病院説明会で質問コーナーや個別面談のようなコーナーを設けているものが増えているので、積極的に利用して研修医たちの雰囲気をつかむのが良いと思います。

 

②病院見学に行った際のポイントは・・・、

指導医クラスの話は、半分程度に聞いておけばOKです。なぜかと言えば、基本的にイイことしか言わないからです(編集長も自覚があります・・・)。

 

必ず研修医たちに直接話を聞きましょう。そしてあなたの知りたいことを質問してみましょう。研修医も1年前には同じように悩んでいた訳ですから、たとえあなたがつまらない質問かもと思っても、そのような質問こそ聞いておくべきです。一番参考になる答えが返ってくるはずです。

 

そして研修医たちの元気の良さや看護師さんや技師さんたちの雰囲気にも注目してみて下さい。研修医を育ててくれるのは指導医だけではありませんからね。

 

③できるだけ複数回行きましょう。

気になっている病院には2回、3回と見学に行くことをおススメしています。なぜかと言えば、どうしても初めてのところは緊張するし、余裕がないので周りを見ているようで見えていません。2回目になると余裕ができて、おなじ病院見学でも見える風景が違うはずです。

 

加えて1回目にあった研修医が、2回目にはものすごく頼りになる研修医に見えるはず。春休みなら、1年間仕事をして後輩を迎え入れる直前なのでかなり仕事ができるようになっている時期です。そんな研修医の姿を見ると、あなたの研修のイメージも描きやすくなるはずです。

 

④当院に病院見学に来ていただいた方からは

・研修医の先生が担当してくれて質問しやすかった。

・昼食の時に研修医の先生とお話する時間が確保されていて、聞きたいことを全部聞くことができ、とても参考になった。

・研修医の先生方が当たり前のように現場に溶け込んでいて、手技もこなしていて、自分もこんなにできるようになれるのか、という驚きと期待感が強く印象に残りました。

・廊下ですれ違う看護師さんたちが、普通にあいさつしてくれて雰囲気の良さを感じました。

 

などのコメントをいただいています。

 

連日のように春休みの病院見学の申し込みをいただいています。あなたもお早めに下のリンクからお申し込みください!

病院見学の申し込みはこちら

(編集長)

 

PICC挿入(研修医の大事なお仕事)

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