
臨床研修ブログ
水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
医師の生涯のうち最も実りある初期臨床研修期間を私たちは強力にサポートします。
検査結果は、必ずその日のうちに確認する
編集長に限らず総合内科の先生たちは、普段から「オーダーした検査結果は、必ずその日のうちに確認するように」と研修医らに繰り返しています。でも最近のことですが、そんな総合内科の先生も、自宅に帰ってから結果を確認していないことに気づき、確認するために夜中に病院に出て来たと話していました。
あなたは「そこまでするの?」と思うかもしれませんが、編集長が検査結果を確認する重要性を痛感したエピソードを紹介します。以前にも紹介したことがあり、電子カルテのない編集長が研修医のころの話です。Sensitiveな内容ですが、すでに20年以上経っており時効ということにして、ぜひ知ってほしいので紹介します。
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研修医が担当患者さんの心エコーをオーダーしました。心エコーでは僧帽弁に明らかな疣腫を認め、感染性心内膜炎(IE)と診断。検査技師さんは、レポートを書くと同時にオーダーした研修医に連絡を入れました。
でも、研修医はレポートを当日のうちに確認しませんでした。その結果、何が起こったと思いますか?
その日の夜中に、疣腫によるひどい脳塞栓を起こし、結果的に患者さんは亡くなってしまいました。その時、編集長は別の病院に異動していたのですが、あとから裁判になったと聞きました。
もし、その日のうちに抗菌薬治療を開始していたら、塞栓症のリスクを少し減らせることができたかもしれません。心臓外科と相談して、緊急手術を考慮できたかもしれません。たとえ、結果が同じであったとしても、結果が判明した時点ですぐに本人や家族に説明していたら、裁判までにはならなかったかもしれません。
この事例の教訓は
・検査結果は、必ずその日のうちに確認する
・すぐにアクションを起こさなければいけない状況を見逃さない
あなたも、当日のうちに検査結果を確認できているでしょうか?
(編集長)
エコーガイドで穿刺!
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水戸済生会総合病院の臨床研修は
総合診断能力を有するスペシャリスト
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レッドマン症候群
今回はJ1のA先生が書いてくれた記事を掲載します。前回のさくらもち先生に続いてのブログデビューです。これも日常臨床での経験からの記事ですので、是非読んでみてください。
(編集長)
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こんにちは!
さくらもち先生に引き続きブログデビューさせていただきます、J1のAと申します。
文章を書くことが苦手なのでずっと逃げていましたが、そろそろ編集長に怒られそうなので書いてみます。拙い文章ですが、ぜひ読んでみてください^ ^
あなたが当直中に病棟から電話がかかってきました。
「入院している〇〇さんですが、顔面が紅潮し、体全体が真っ赤です!薬疹でしょうか!先生診てください!」
研修医になってまだ3ヶ月目。こんな電話かかってきたら、普通に焦ります。病棟に早足で向かいながらこの患者さんのことを思い出してみました。
「60歳台の男性でパーキンソン病でかかりつけの方で脱力、歩行困難で入院した方だな。熱があったから血液培養出したら、MRCNSが確か4本中3本から検出されて、抗菌薬始めてたな。」
そうこうしているうちに病室に着きました。
電話で聞いていた通り、患者さんの顔面は真っ赤に紅潮しており、四肢、体幹には紅斑が広がっていました。
バイタルは安定していて、患者さんの様子は落ち着いており、「痒くないし痛くもない」と言っています。ひとまず安心、、。
一体、この患者さんに何が起こっているのでしょうか?
↓
↓
そういえば、看護師さんからの電話の時、「薬疹かも」と言っていた気がします。
カルテでこの患者さんへの処方を確認してみました。
〜、〜、イーシードパール、セフトリアキソン、バンコマイシン
ここまで読んで分かったあなたはもう国試合格間違いなしです。おめでとうございます。今すぐ勉強をやめて遊びにでも出かけてください。
では、答え合わせです。
“レッドマン症候群”という名前を聞いたことがあるでしょうか?
レッドマン症候群とは、バンコマイシンの急速投与によりヒスタミンが遊離されて生じるアナフィラキシー様反応で、顔面、頸部、体幹、四肢に搔痒感と紅斑性発疹が現れます。ほかには、脱力感、血管浮腫、胸痛・背部痛なども起こり得ます。発症機序にIgEは介在しないためアレルギー反応ではありません。
ここでバンコマイシンについて簡単におさらいです。
バンコマイシンはグリコペプチド系の抗菌薬で細胞壁の合成を阻害します。MRSAを含めたグラム陽性菌にのみ有効です。基本は点滴投与ですが、偽膜性腸炎には経口投与でしたよね。
忘れてはならないのは、薬物血中濃度モニタリング(TDM)が必要ということです!(国試頻出です‼️)
濃度が高ければ腎障害などの重篤な副作用を引き起こしますし、低い状態が続けば耐性菌が生えてしまうという、なかなか難しい抗菌薬です。
バンコマイシンの初回TDMは、投与3〜4日目(投与4〜5回目)に行うことが望ましいとされています。採血の時間帯ですが、「トラフ」と呼ばれる投与直前(約30分前)に行います。(なぜこのタイミングかを説明すると長くなってしまうのでぜひ調べてみてください。) また、場合によっては「ピーク」と呼ばれる点滴終了後1〜2時間のタイミングで濃度を測ることもあります。
さて、レッドマン症候群の話に戻りましょう。
レッドマン症候群を引き起こさないためには、バンコマイシンの点滴を60分以上かけてゆっくり点滴静注することがとても重要です。
実際に、上級医がオーダーしたカルテを見てみると、「投与時間1時間30分」としっかり書いてありました。
もし、あなたがバンコマイシン投与中の患者の全身の紅斑をみたら、すぐにアレルギーと判断するのではなくレッドマン症候群を疑って投与速度の確認を行いましょう!
レッドマン症候群は抗ヒスタミン薬により改善させることができます。この患者さんは、ポララミンを投与したところ翌日には紅斑は消退していました。
ここまで読んでいただきありがとうございました。バンコマイシンについて少しだけ詳しくなっていただけたかなと思います。
また、ぜひこのブログに遊びに来てください!
見学もお待ちしております\(^^)/
(A)
ERでの一コマ
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【御礼】エムスリーのオンライン座談会
先日のことですが、エムスリーのオンライン座談会<救急に強い病院特集>に当院も参加しました。ご参加いただき有難うございました。
エムスリーのWeb座談会は司会者付きで、レジナビよりも時間に余裕のある40分枠の形式です。前半のスライドを使った病院紹介もレジナビより内容を盛り込めますし、後半の質疑応答では司会者が上手にコントロールしてくれます。
今回は研修を始めて4か月たったJ1の桜井先生と、一通りの仕事ができるようになったJ2の蛯子先生の2人に参加してもらいました。5年生に多く参加いただきましたが、当院のイメージを少し掴んでいただけたかと思います。
8月になって、当院でも採用面接が始まりました。そして病院見学にお越しいただくのは5年生になりました。病院見学自体が初めてという方もいて、我々としては有難い限りです。
当院の病院見学では原則として、午前中に1つ、午後に1つの計2つの診療科を選択していただきます。できるだけ研修医の先生と話をできる時間をとるようにしています。日によっては病棟業務ばかりという時は、臨機応変に他の診療科の見学も手配していますので飽きさせません! ぜひお申し込みをお待ちしています。
(編集長)
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