臨床研修ブログ
水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
医師の生涯のうち最も実りある初期臨床研修期間を私たちは強力にサポートします。
水戸済生会の外来研修2025
水戸済生会の臨床研修の特徴の一つに1年間を通して内科外来を行う外来研修があります。具体的にはJ1の秋からJ2の秋まで週1回の外来を、地域研修などで院外にいる時も隔週で、1年間にわたって継続するというスタイルです。このようなスタイルで外来研修を行っている施設はほとんどないと聞きていますが、長期間にわたって患者さんをフォローすると非常に大きな学びがあるので、当初から継続しています。そして今年度も11月からJ1の外来研修を開始します。
そもそも外来研修では、研修目標として「コンサルテーションや医療連携が可能な状況下で、単独で一般外来診療を行える」ことが掲げられています。もちろん困ったときには指導医に聞いたり、コンサルテーションすればよいのですが、外来診療はERや病棟での診療とは対象となる患者さんや疾患も異なってくるので、やり方も変えていく必要が出てきます。
ERではヤバイ疾患を見逃さないことが重要で、そのために検査を一気に行ったり、ヤバイ疾患を除外するところから入る傾向があります。一方で外来診療では「患者さんの問題を解決する」ことが重要になってくるので、一気に検査をするのではなく、患者さんの生活を想像しながら話を聞く必要が出てきます。そして、そういった患者さんの問題を解決するために「時間を味方につける」ことがポイントになります。診察したその日に診断を付けられなくとも全く問題ないのです。
例えば、倦怠感を主訴に受診した70歳代女性があなたの外来を受診したとしましょう。体重減少もなく、受診日の採血では貧血はなく、甲状腺ホルモンも正常で軽度の肝機能異常のみでした。1週間後の外来で行ったエコーで脂肪肝のみ。心配になって悪性腫瘍も考えて胸部CTを撮影して、その1週間後に読影結果を説明するために受診してもらったところ、「だいぶ元気になりました」と笑顔で言われてしましました。
よくよく聞くと、同居している高校生のお孫さんの受験のことを考えると眠れなくなっていたのですが、無事に合格したのですっきりしたとのこと。ウソのようですが、何度もフォローすることで初めて把握できることがたくさんあるのです。
現在外来研修を行っているJ2も、最初はERとの違いに戸惑っていましたが、今では上手に話を聞きだしたり、患者さんの生活を把握しながら降圧剤や糖尿病薬を処方しています。
水戸済生会の外来研修では、時間を味方につけて患者さんの問題を解決できるような臨床能力を身につけてもらいます。
(編集長)

患者さんを診察する前の予習
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床頭台の上にあるもの
医学生や研修医のあなたは、入院患者さんのベッドサイドに行っても、病気のことを聞きだすのに精いっぱいで、どうしても職務質問のようになってしまいますよね。
でも、会話が弾まなくて患者さんがあまり話をしてくれない・・・、ということはあなたも経験があるはずです。患者さんに話をしてもらうヒントとして、以前にFORMというのを紹介しました。今回はそのFORMを使った応用編を紹介します。
早速ですが、あなたが今日患者さんのベッドサイドに行った時、患者さんの床頭台に何があったか見ましたか?
患者さんの床頭台にはいろいろなものがのっています。例えばご家族の写真、特にカワイイお孫さんの写真とか、飼っているイヌやネコの写真はよく見かけます。他にもコーラとかスポーツドリンクなどのジュース類。最近はご年配の患者さんでもスマホやタブレットもよく見かけますし、数独とかクロスワードの本があったり。強者だと、循環器病棟とか腎臓内科病棟でも梅干しが入った瓶とか小さい醤油のボトルが置いてあったりします(笑)。
患者さん床頭台の上にあるものからFORMにつなげていくと会話の導入がスムーズになるので、編集長はよく使っています。
例えば「かわいいお孫さんですね、何歳ですか?」とか、「このネコ何て言う種類でしたっけ?」という感じで編集長は多用しています(ちなみに編集長はイヌ派です)。
患者さんの家族のことから始まって、昔の職業とか上手くいくとご主人(奥さん)とのなれそめまで話してくれたことがありました。患者さんとの会話に困ったら、あなたもぜひ試してみてください。
(編集長)

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BNP/NT-proBNPの使いどころ(4)
前回はBNP/NT-proBNPが使える3つの場面を紹介しました。
その3つとは、
①心不全の診断・除外
②高リスク患者のスクリーニング
③心不全の管理
でした。
では、BNP/NT-proBNPのカットオフ値はどう考えればよいでしょうか?
心不全学会からのステートメントでは、下図のようにBNP/NT-proBNPの値で、前心不全、心不全、高リスク心不全と分けています。

ですので、①心不全の診断、除外や②高リスク患者のスクリーニング目的に測定した場合は、カットオフ値はBNPで35 pg/ml以上、NT-proBNPは125pg/ml以上を用いると良いでしょう。
なお、この値はBNP/NT-proBNPが低値になりやすい、EFの保たれた心不全(HFpEF)の見落としを避けるために設定されているので、簡単にこれらの値を超えてしまいます(つまり感度が高い)。
そうなると、①心不全の診断、除外には有用ですが、②高リスク患者のスクリーニングとしては特異度が下がります。そんな時は、生活習慣の改善を図ったり、その後のフォローを強化するなど、監視を強化するのが良いと思います。
一方、③心不全の管理に使う場合には、とっくにこれらの値を超えているので、胸部レントゲンや息切れなどの症状がない、調子のよい時のBNP/NT-proBNP値をベースとして把握しておき、そこからの変動を見ていきましょう。
最後に、BNP/NT-proBNPが心不全の除外に役立った症例を提示します。
70歳台の男性。気管支喘息のため吸入薬(ICS/LABA/LAMA)を使用していましたが、1週間前から夜間咳嗽が増悪してきたと受診しました。発熱はなく、喀痰も増えていない。下腿浮腫はありませんが、胸部レントゲンでは右下肺野に肺炎?胸水?という感じの微妙な陰影が出現していました。

右下肺野に肺炎? 胸水?
増悪する夜間咳嗽から心不全を心配してNT-proBNPを測定したところ、87.6pg/mlとカットオフの125未満だったので、心不全ではないと診断し、抗菌薬を追加したところ改善しました。

抗菌薬投与後の胸部レントゲン
右下肺野は改善
BNP/NT-proBNPは大きく変動するので、初めのうちは戸惑うことが多いと思いますが、症状や浮腫の有無、胸部レントゲンなどと組み合わせて判断すると、非常に有用な情報が得られるツールですので、ぜひ使いこなしてみて下さい。
(参考)
日本循環器学会/ 日本心不全学会 心不全診療ガイドライン 2025年改訂版
日本心不全学会 血中BNPやNT-proBNPを用いた心不全診療に関するステートメント2023年改訂版
(編集長)
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