
臨床研修ブログ
水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
医師の生涯のうち最も実りある初期臨床研修期間を私たちは強力にサポートします。
Legionella肺炎
2020.09.03
カテゴリー: カンファレンス 内科
レジオネラは1976年に米国の
在郷軍人会にて肺炎の集団発生が
あったことから、かつては在郷軍人病
とも呼ばれていた。
レジオネラ菌は土壌、河川、湖沼等に
生息しているが、通常は感染の危険が
あるほどの菌数はない。しかし、24時間
風呂や循環式の給湯器やクーラー等で
爆発的にに増殖することがあり、集団
感染を引き起こす。
国内では例年7月を中心に報告が
増加しており、季節変動が比較的明確
である。高齢(50歳以上)、喫煙、大量飲酒、
肺疾患、免疫機能異常などが感染の
リスク因子となる。
レジオネラ肺炎の潜伏期は2-10日程度
であり、初期には湿性咳嗽の他に発熱、
食欲不振、頭痛、消化器症状など様々な
非特異的症状を呈するため、症状のみ
ではレジオネラ症の診断は困難なことが
ある。
診断にはイムノクロマト法による尿中抗原の
検出が最も簡便である。この他には遺伝子
検出、ペア血清による抗体価上昇等で
診断可能である。
レジオネラ肺炎は感染症法の4類に
指定されるため、診断後は直ちに保健所に
届け出が必要である。
治療は、レジオネラ菌は細胞内寄生細菌
のため、宿主細胞に浸透するニューキノロン、
マクロライドなどを使用する必要がある。
重症例ではこれらの併用も行われることが
あるが、議論のあるところである。
(Megu)
—–