臨床研修ブログ

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感染性心内膜炎の手術適応

2023.02.07
カテゴリー: カンファレンス 内科

前回は感染性心内膜炎(IE)の症例を紹介しました。IEは抗生剤加療で軽快するケースもありますが、中にはすぐに手術に踏み切らないといけないものもあります。今回はIEの外科的治療についてまとめました。

 

外科的治療は、進行する心不全,心内構築の破壊,難治性感染症,塞栓症の可能性の際に考慮するものですが、起炎菌や併存疾患などによっても影響を受けるため、そのタイミングなどは症例ごとにチームで検討を要します。中でも早期の手術を考えなくてはいけないケースは以下の通りです。

 

・うっ血性心不全

IEで最も多くみられる合併症であり、弁破壊による逆流が原因となり発症します。NYHA分類Ⅲ-Ⅳ度であればそれ単独で緊急手術の適応であり、Ⅱ度であっても重度の弁逆流を伴う場合には肺高血圧等認めた際に早期手術の適応となります。

 

・抵抗性感染

最も効果的な抗菌薬が一定期間(3-5日程度)適切に投与された後も、血培が陰転化せず、発熱・白血球上昇・CRP高値などの感染所見が持続する場合には、治療抵抗性感染と判断し早期に手術を行う必要があります。また、抗生剤加療が奏功しにくい真菌・グラム陰性菌・MRSAなどの多剤耐性菌は治療抵抗性の経過をとることが多く、手術適応となります。

 

・疣腫が巨大な場合

重度の弁機能障害を伴う10mm以上の疣腫を有する自己弁IE患者に対しては、できるだけ早い手術を推奨する、とされています。

 

前回の記事で紹介した症例では、幸い塞栓症等の発症はなく疣贅も抗生剤投与後数日のうちに消失しましたが、僧帽弁腱索が断裂しておりsevere MRを認めました。心不全の予防の観点から、外来フォローののち待機的に手術の方針となりました。

 

参考資料:感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン(2017年改訂版)

(研修医S)

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