臨床研修ブログ

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Fisher症候群・・・山中先生のZoomレクチャー

2023.02.09
カテゴリー: カンファレンス 内科

先月のことになりますが、今年度2回目となる山中克郎先生のZoomレクチャーを開催しました。

 

山中先生は、福島県立医大会津医療センター総合内科の教授として活躍されていますが、総合内科の大御所の一人です。著書もたくさんあります。

 

コロナ前は当院にお越しいただいていましたが、コロナになってからは年に2回のペースでZoomでのレクチャーをお願いしています。今年度は昨年5月に開催しましたが、それに続いてのレクチャーとなりました。

 

今回は神経内科領域の話題でした。その中から1つシェアしたいと思います。

 

40歳代男性が「ふらつき」と「話しにくい」を主訴に受診。病歴では2週間前に友人と焼肉を食べて、その後発熱と水様性の下痢を来しました。3日前からふらつきと話しにくさ、むせこむようになりました。受診時は複視の訴えもありました。身体所見では左右の眼球運動が悪く、嚥下障害と構音障害を認めました。膝踵試験は両側で稚拙。さらに上腕二頭筋、上腕三頭筋、膝蓋腱、アキレス腱反射は消失していました。さて、疾患は?? (ちなみにJ1の研修医S先生は見事に診断していました♪)

急性の外眼筋麻痺、運動失調、腱反射消失があり、さらに抗GQ1b IgG抗体>3.00 陽性が判明し、Fisher症候群と診断されました。

 

Fisher症候群
• ①急性の外眼筋⿇痺、②運動失調、③腱反射消失
• 瞳孔異常、眼瞼下垂、顔⾯神経⿇痺、球⿇痺、四肢の痺れ
• 先⾏感染(インフルエンザ桿菌、カンピロバクター)後に発症。1~2週間の進⾏後に⾃然軽快
• ギランバレー症候群の亜型
• ⾎清ガングリオシドGQ1b IgG抗体陽性(80-90%)
• 動眼、滑⾞、外転神経はGQ1bが豊富
• 男︓⼥=2︓1 平均発症年齢40歳
• 意識障害などを起こしBickerstaff型脳幹脳炎に移⾏することあり

 

さらに、今回の契機となったのは焼肉(たぶん生焼けの肉)からのカンピロバクター感染ですが、これについてもまとめていただきました。

 

カンピロバクター感染症
症 状)・⽔様性下痢(しばし⾎便)
    ・臍周囲の腹痛
    ・嘔気/嘔吐
    ・前駆症状︓発熱、悪寒、頭痛、倦怠感
その他)・潜伏期︓2-7⽇

    ・最も多い⾷中毒
    ・5-6⽉、9-10⽉に多い
    ・鶏⾁の>50%は感染
    ・⼗分加熱されていない鶏⾁は危ない
    ・ギラン・バレー症候群と関連あり

(編集長)

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