
臨床研修ブログ
水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
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21 Trisomy
前回のブログで紹介しましたが、先日開催された修学生の集いで、当院J2ら3名が症例発表で優秀賞をいただきました。症例発表では、修学生の集いに参加している医学生向けのスライドも組み込むことになっているのですが、その内容からシェアします。
今回はそのうちの藤森先生の発表からです。藤森先生はお隣の県立こども病院で院外研修をしたのですが、そこで経験した21 Trisomyの症例について発表してくれました。
1歳の男児で、ウイルスによる気道感染が遷延し、呼吸不全に対してNIV(非侵襲的換気)と理学療法による肺痰ケアがカギとなった症例です。
21 Trisomyについては・・・
【概念】
21番染色体が3本ある先天性疾患
【臨床症状】
精神発達遅滞、低身長、筋緊張低下
先天性心疾患:心室中隔欠損、房室中隔欠損、ファロー四徴症
消化管疾患:十二指腸狭窄、ヒルシュスプルング病、 肛門狭窄
免疫異常:リンパ球減少
特異的顔貌:鼻根部平定、眼瞼裂斜上、内眼角贅皮、巨舌
【予後】
良好といわれ、罹患患者の大半が成人となる。
ここまでは教科書的なものですが、今回の症例のように21Trisomyにとっては下気道感染症が入院の主要な原因で、ときに重症化します。その理由としては免疫異常と解剖学的問題があるそうです。
①免疫異常
胸腺が小さいためリンパ球が少ない。
細菌感染症・ウイルス感染症いずれも頻度が多い
→B細胞の異常があるのでは?
特定の抗体応答が健常者と比べて低い力価
好中球の遊走能に差がある
②解剖学的問題
・気道の解剖学的異常
分泌物のクリアランスを悪化させる → 感染リスク↑
最も一般的な異常は喉頭軟化症(21trisomyの50%)
・閉塞性睡眠時無呼吸症
巨舌、下顎形成不全による
・胃食道逆流
胃内容物が気道へ誤嚥 → 肺炎や気管支痙攣につながる
・先天性耳異常
外耳道・耳管の狭窄 → 中耳炎のリスクになる
21trisomyがある患者では気道分泌物のクリアランスが悪いことから、感染の長期化や重症化を起こしやすく、患者の特徴をとらえた管理として、頻回の排痰ケアやNIVの圧サポートが重要になるという発表でした。
(編集長)
表彰式の一コマ
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