臨床研修ブログ

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ERでSTMIに遭遇した時の対処法①

2024.10.15
カテゴリー: カンファレンス循環器

水戸済生会のERは3次救急なので、重症の患者さんが搬送されてきますが、寒くなるこれからの季節は急性心筋梗塞(STEMI)の患者さんが増えてきます。

 

あなたもすでにSTEMIの患者さんを経験したことがあると思いますが、ERでSTEMI患者さんに遭遇したら何をするのか準備はできていますか?

 

もちろん循環器医をコールするのは大事ですが、あなたが循環器医をコールして「おしまい」では、いつまでたっても応用が利きません。自分がカテをやらなくても、いろいろとやることがあるので整理しておきましょう。

 

設定としては当院のように経皮的冠動脈形成術(PCI)を年間を通して緊急で行える中規模以上の病院で、あなたはERで夜勤をしています。救急隊のホットラインが鳴って、これから胸痛を訴える人が搬送されてくるという状況です。

 

まずはあなたが患者さんが到着するまでにすることは何でしょう?

一番大事なことは、救急隊からの少ない情報から鑑別疾患を考えておくことです。そうすれば心の準備だ出来ているので、慌てないで済みます。

 

例えば、「○○救急ですが、50歳代の男性の胸痛患者です。既往は高血圧で○△クリニックで薬をもらっているようですが、それ以外は不明。10分で到着します。」と言われたら、STEMI以外に、急性大動脈解離も忘れてはいけません。もし80歳代なら心不全でも胸痛を訴えることもあります。

 

また、過去のカルテがあるならば、ざっと目を通して既往を確認します。過去の心電図や胸部レントゲンなども比べられるように見ておくと素晴らしいですね。いずれにせよ「思い込みは禁物」。胸痛の患者さんだけど、STEMIではなかったときどうするのか?少ない情報から色々な鑑別疾患を考えながら到着を待ちましょう。

 

さて、患者さんが到着しました。最初にすることは何でしょう?

あなたがERで最初にすることは、患者さんを見ることです。まず患者さんの顔色をみて全身状態を把握します。重症か?そうでもないのか?挿管が必要そうか?バイタルサインはもちろん重要ですが、この一瞬の全身状態の把握で対応の順番も変わりますし、鑑別診断も変わってきます。 

 

次にバイタルサイン。もちろん心電図も早く知りたいのですが、バイタルサインだけでも色々なことを推定できます。

 

例えば看護師さんから、「先生、到着しました。血圧170/100でレートは92です。」と言われたら、当然STEMIを考えますが、高血圧もあるので大動脈解離も捨てきれません。もし血圧が低く、頻脈で酸素飽和度も低いなら肺血栓塞栓症も重要な鑑別になります。

 

バイタルサインは診断を絞り込んだり、重症度の判定をするのに必須です。もし看護師さんが他のことに手を取られていたら、待つことなくあなたがバイタルをチェックして、他のドクターを含めた周りのスタッフに大きな声で知らせ、情報を共有して下さい。

 

3番目は心電図になりますが、今回はここまでにします。次回に続きます。

(編集長)

STEMIのPCI


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