臨床研修ブログ

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腰痛のレッドフラッグサイン

2025.09.06
カテゴリー: カンファレンス 内科

40歳台の男性が、腰痛を主訴にERを受診しました。日中の仕事中に荷物を運ぼうとして腰を痛めたようです。帰宅してから徐々に痛みが強くなったので来院しました。

 

診察すると、痛そうにしていたものの、歩いて診察室に入ってきました。下肢のしびれや麻痺もありません。脊椎の叩打痛もなし。

 

レントゲンなどもチェックしないで、痛み止めを処方して帰宅させて良いでしょうか?

ちょっと考えてみて下さい。

↓  

ここで思い出してもらいたいのは「腰痛のレッドフラッグサイン」です。

 

腰痛はよくある症状で、すぐに画像検査や入院が必要となることは少ないのですが、中には重篤な疾患が隠れていることがあります。そこを見分ける時に役立つのがレッドフラッグサイン(警告症状・警告所見)です。

 

具体的には

 ・4~6週間の保存療法でも改善しない

 ・夜間疼痛や安静時痛

 ・筋力低下や感覚障害の進行

 ・50歳以上

 ・癌あるいは癌を強く疑わせるような病歴

 ・原因不明の体重減少

 ・静脈麻薬の使用

 ・最近の尿路感染症、皮膚感染症

 ・免疫抑制状態

 ・発熱、悪寒

 ・骨粗鬆症の既往

 ・慢性のステロイド使用

 ・薬物乱用

 ・強い外傷

 

冒頭の症例は、上記のいずれにも該当しないので、画像検査なしで帰宅で良い症例だと思います。もちろん、痛みが長引いたり、麻痺やしびれなどが出現したら、受診するように伝えておくことも重要です。

 

一方、最近のエムスリーの記事で、化膿性脊椎炎を疑ってMRIを施行すべきであったという判決が取り上げられていました。

 エムスリーの記事はこちら

 

少なくともこの記事の内容からは、患者さんは50歳以上で発熱を伴っていたことから、画像検査を考慮すべき状態であったようです。

 

ミスが心配だからと、なんでもかんでも検査というのは、あまりセンスの良いものではないと思いますが、検査を考慮すべき症例では、行えるようにしておいて下さい。

(編集長)

無事にAライン確保♪

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