臨床研修ブログ

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お酒は飲んで良いですか?

2025.08.28
カテゴリー: カンファレンス循環器

あなたがER当直をしていると、夕方からの動悸を主訴に50歳台の男性が受診しました。

 

モニター波形は心拍数が140~150bpmの頻脈で、12誘導心電図では心房細動のようです。今回が初めての動悸発作で、特に既往もありません。循環器の先生の指示で抗不整脈薬(ピルジカイニド)の点滴を行ったところ、比較的速やかに洞調律に戻りました。次回受診のことをお伝えして、帰宅してもらおうとしたら、一緒に来た奥様から「お酒は飲んでも良いのでしょうか?(飲んではダメですよねというニュアンス)」と質問されました。

 

あなたなら何と答えますか?

心房細動に限らず、患者さんからよく質問されることの一つに「アルコール」があります。患者さんにとっては毎日の大事な楽しみですから、医師からのアドバイスは重要で、決してテキトーなことを言ってその場をごまかしてはいけません。

 

実はアルコールの過剰摂取は心房細動誘発の危険因子です。編集長の患者さんでも、飲酒した翌日には、毎回心房細動になる患者さんがいました。さらにアルコールの過剰摂取は、抗凝固療法中の出血の危険因子にもなるし、血栓塞栓症の発症や死亡リスクも増加させることが知られています。

 

一方で、常用飲酒している心房細動患者において、禁酒が心房細動再発を抑制するという報告があり、ガイドラインでも、心房細動発症予防および抗凝固療法を考慮する心房細動患者においてはアルコールの過剰摂取を避けるための助言と管理を行うべき(Class IIa)となっています。

 

冒頭の患者さんでは、今回の心房細動の誘因になったものがないかを問診で聞き出すことをしつつ、「アルコールは禁止まではいかないけど、飲みすぎはダメですね。飲む機会は控えた方がよいと思いますよ」などとアドバイスするのが良いかもしれません。

 

(参考文献:2024JCS/JHRSガイドライン フォーカスアップデート版 不整脈治療)

(編集長)

 

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