臨床研修ブログ

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低ナトリウム血症の対処6

2018.09.11

前回はSIADHの診断と、その原因疾患に

ついてまとめてみました。今回はSIADHの

治療についてです。

 

治療は、

・急性で症候性(意識レベル低下や痙攣など)

・発症時期が分からず症状も軽微の場合

に分けて考えると良いようです。

この場合の急性とは48時間以内で進行したもの

だそうです。

 

急性症候性低Na血症の場合

Naを1~2mmol/lの速度で補正を開始します。

最初の24時間で8~10 mmol/l

最初の48時間で18~25 mmol/lを上限に

しましょう。

 

具体的には

3%高張食塩水の点滴

 (生理食塩水500ml+10%食塩水100ml)

 を作って1~2ml/㎏/h(体重60㎏の人なら

 60ml/h)で開始します。

 

さらにフロセミド20㎎の静注を併用しても

良いのですが、2時間ごとに電解質を確認し、

過補正にならないように細心の注意を

払います。

 

治療を開始して症状が改善すれば

補正速度を落とします。

 

発症時期不明で軽微な症状のみ

の低Na血症の場合

 

 ・水制限

 ・塩分の経口摂取

 ・尿素摂取

 ・デメクロサイクリン

 ・バソプレッシン受容体拮抗薬

 

具体的には

・水制限の目安としては

(尿中Na+尿中K)÷血清Naを用いて

 >1なら <500ml/日

 ≒1なら 500~700ml/日

 <1なら <1000ml/日

というものがあるそうです。

 

・塩分の経口摂取は200mEq/日以上

 

・尿素摂取は15~60g/日とありました。

 尿素は医薬品ではありませんので、

 編集長も過去に実験用の試薬を用いて

 治療したことがあります。

 15gでも量が多いし、マズいです。

 

・デメクロサイクリン

 編集長は使用経験がありませんが

 300~600㎎を1日2回となっています。

 

・バソプレッシン受容体拮抗薬は

 日本でSIADHに対して承認されて

 いませんが、トルパプタンがあります。

 

いずれにしても、急激な補正は浸透圧の

急激な変化を来し、橋中心髄鞘崩壊症(CPM)

など不可逆的な浸透圧性脱髄症候群を

来すので注意です。

(参考文献:NEJM 2007; 356;2064-72)

 

そして原疾患の検索と治療を忘れては

いけません。

 

次回は症例に戻って考えてみましょう。 

(編集長)

 

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