臨床研修ブログ
水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
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低ナトリウム血症の対処6
前回はSIADHの診断と、その原因疾患に
ついてまとめてみました。今回はSIADHの
治療についてです。
治療は、
・急性で症候性(意識レベル低下や痙攣など)
・発症時期が分からず症状も軽微の場合
に分けて考えると良いようです。
この場合の急性とは48時間以内で進行したもの
だそうです。
急性症候性低Na血症の場合は
Naを1~2mmol/lの速度で補正を開始します。
最初の24時間で8~10 mmol/l
最初の48時間で18~25 mmol/lを上限に
しましょう。
具体的には
3%高張食塩水の点滴
(生理食塩水500ml+10%食塩水100ml)
を作って1~2ml/㎏/h(体重60㎏の人なら
60ml/h)で開始します。
さらにフロセミド20㎎の静注を併用しても
良いのですが、2時間ごとに電解質を確認し、
過補正にならないように細心の注意を
払います。
治療を開始して症状が改善すれば
補正速度を落とします。
発症時期不明で軽微な症状のみ
の低Na血症の場合は
・水制限
・塩分の経口摂取
・尿素摂取
・デメクロサイクリン
・バソプレッシン受容体拮抗薬
具体的には
・水制限の目安としては
(尿中Na+尿中K)÷血清Naを用いて
>1なら <500ml/日
≒1なら 500~700ml/日
<1なら <1000ml/日
というものがあるそうです。
・塩分の経口摂取は200mEq/日以上
・尿素摂取は15~60g/日とありました。
尿素は医薬品ではありませんので、
編集長も過去に実験用の試薬を用いて
治療したことがあります。
15gでも量が多いし、マズいです。
・デメクロサイクリン
編集長は使用経験がありませんが
300~600㎎を1日2回となっています。
・バソプレッシン受容体拮抗薬は
日本でSIADHに対して承認されて
いませんが、トルパプタンがあります。
いずれにしても、急激な補正は浸透圧の
急激な変化を来し、橋中心髄鞘崩壊症(CPM)
など不可逆的な浸透圧性脱髄症候群を
来すので注意です。
(参考文献:NEJM 2007; 356;2064-72)
そして原疾患の検索と治療を忘れては
いけません。
次回は症例に戻って考えてみましょう。
(編集長)
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