
臨床研修ブログ
水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
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化学的と物理的 松永先生の感染症カンファから
60歳代の女性が発熱で入院。
CVA叩打痛と尿所見から
尿路感染症と診断しました。
尿培養と血液培養を採取後に
抗菌薬(CTRX)を開始。
培養結果は、尿も血液も素直な
E.Coliでした。感受性をみても
抗菌薬は当たっているはず。
なのに、解熱しないし、CRPも
良くならない。あなたには
こんな経験はありませんか?
今回は松永先生のカンファから
感染症治療の2つの軸を紹介します。
感染症治療=抗菌薬
というイメージを持っている人は
多くいます。もちろん抗菌薬が
感染症治療の重要な位置を
占めているのは間違いありません。
そもそも、抗菌薬の役割は
微生物を「化学的に除去する」
ことですが、用量が少なすぎたり、
目的のところに十分到達しな
ければ効果は得られません。
こんな時に、二つ目の大事な
治療の軸があります。それは、
「物理的に除去する」ということです。
ドレナージや洗浄、切除(切断)、
人工物の除去など、外科医など他の
診療科とも協力して治療を行う必要が
あることを忘れてはいけません。
物理的に微生物を排除するのは
具体的に以下のようなものがあります。
-膿瘍
-「うっ滞性」感染症
・胆石・腫瘍による胆道閉塞
⇒胆管炎
・尿路結石による尿路閉塞
⇒尿路感染症
-人工物
・中心静脈ライン
・動脈ライン
・人工呼吸器
・胃管
・尿カテ
・人工弁
・人工関節 など
-壊死組織
冒頭の症例は、腎周囲膿瘍を来して
いたため、単なる抗菌薬の点滴のみ
では改善に時間がかかった症例です。
幸いドレナージなどせずに、保存的
治療のみで治癒しました。
あなたも抗菌薬のオーダーをした
だけで安心してはいけません。
抗菌薬だけが感染症治療ではない
ことを忘れずに、化学的と物理的の
2つの治療の軸を忘れないように
しましょう。
(編集長)
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