臨床研修ブログ

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化学的と物理的  松永先生の感染症カンファから

2019.05.21

60歳代の女性が発熱で入院。

CVA叩打痛と尿所見から

尿路感染症と診断しました。

 

尿培養と血液培養を採取後に

抗菌薬(CTRX)を開始。

 

培養結果は、尿も血液も素直な

E.Coliでした。感受性をみても

抗菌薬は当たっているはず。

 

なのに、解熱しないし、CRPも

良くならない。あなたには

こんな経験はありませんか?

 

今回は松永先生のカンファから

感染症治療の2つの軸を紹介します。

 

感染症治療=抗菌薬 

というイメージを持っている人は

多くいます。もちろん抗菌薬が

感染症治療の重要な位置を

占めているのは間違いありません。

 

そもそも、抗菌薬の役割は

微生物を「化学的に除去する」

ことですが、用量が少なすぎたり、

目的のところに十分到達しな

ければ効果は得られません。

 

こんな時に、二つ目の大事な

治療の軸があります。それは、

「物理的に除去する」ということです。

 

ドレナージや洗浄、切除(切断)、

人工物の除去など、外科医など他の

診療科とも協力して治療を行う必要が

あることを忘れてはいけません。

 

物理的に微生物を排除するのは

具体的に以下のようなものがあります。

 

-膿瘍

-「うっ滞性」感染症 

・胆石・腫瘍による胆道閉塞

 ⇒胆管炎

・尿路結石による尿路閉塞 

 ⇒尿路感染症

-人工物

・中心静脈ライン

・動脈ライン

・人工呼吸器    

・胃管

・尿カテ

・人工弁

・人工関節 など

-壊死組織

 

冒頭の症例は、腎周囲膿瘍を来して

いたため、単なる抗菌薬の点滴のみ

では改善に時間がかかった症例です。

幸いドレナージなどせずに、保存的

治療のみで治癒しました。

 

あなたも抗菌薬のオーダーをした

だけで安心してはいけません。

 

抗菌薬だけが感染症治療ではない

ことを忘れずに、化学的と物理的の

2つの治療の軸を忘れないように

しましょう。

(編集長)

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