臨床研修ブログ

水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
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どこで? 何が? 松永先生のカンファより

2019.05.18

あなたがER当直をしていると

高齢の女性で、施設入所中の

患者さんが発熱を主訴に搬送されて

きました。血液検査ではWBCが1万、

CRPは18と炎症反応が上昇して

いましたが、それ以外は明らかな

異常はありません。尿所見は

白血球も細菌もなし、腹部は圧痛なし

でした。

 

胸部レントゲンは明らかな肺炎像は

ないけれど、施設のスタッフの話では

食事の際にむせこむこともあったらしい。

以前に肺炎で入院歴があるので、

今回もきっと肺炎だろう。

 

そう考えて、血液培養を2セット採取

後に抗菌薬(ABPC/SBT)を開始

しました。

 

よくありそうな症例ですよね。

 

ところが翌日に細菌検査室から

「4本中4本でグラム陽性球菌です」

と連絡がありました。

 

さらにその翌日には

「G群溶連菌(GGS)でした!」

こんな報告が届きました。

 

この症例の診断は、肺炎で良かった

でしょうか?

松永先生は「感染症診断の二つの軸」

を強調しています。

 

感染症を診断する時は、

同時に2つことを考えるということです。

 

その2つとは

感染巣(解剖学的診断)

起炎菌(微生物学的診断)

 

言い換えると、

どこで(Where?) 

なにが?(What?)

悪さをしているのかを考えましょう

ということです。

 

冒頭の症例は、血液培養からGGSが

検出されたら、「肺炎ではなさそうだぞ」

と違和感を持つ必要があります。

 

微生物学的診断(なにが?)はGGSと

判明しているので、どこを探すか?

 

GGSが起炎菌となりそうな臓器、

例えば口腔内、皮膚軟部組織、

血液を思い浮かべて探しに行きます。

 

この症例は、背部や臀部も含めて

皮膚軟部組織には異常なく、

感染性心内膜炎も否定されました。

最終的に口腔内の所見から

化膿性耳下腺炎と診断されました。

 

診断は違っていましたが、当初の

抗菌薬でカバーされていたので、

結果は同じだったかもしれません。

 

でも、もし感染性心内膜炎だったら、

中途半端な治療になってしまうことも

十分あり得ます。感染性心内膜炎の

再燃で再入院なんて経験したく

ないですよね。

 

感染巣が分かれば、起炎菌も絞られます。

微生物が分かれば、感染巣も絞られます。

 

どこで?(=感染巣) 

なにが?(=微生物)

をおさえながら診療に取り組んで

いきましょう!

(編集長)

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